星河の覇皇
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第六十九部第四章 国境外縁部その四十五
「民主政治では衝突は常で」
「それにですか」
「はい、それによる政治的停滞も」
「常ですね」
「むしろ連合は比較的小さな政府です」
このことは中央政府も各国政府も同じだ、エウロパやサハラ各国と違い連合の政府はそうしたタイプの国家なのだ。
「政治だけではありません」
「力があるのは」
「はい、様々な勢力はその中にあります」
「そしてそのそれぞれの勢力がですね」
「多層的、それにモザイク状に混在していますね」
「そうですね、ですから」
そうした様々な組織、勢力が存在しそれぞれが大なり小なり力この場合は権力も含めてそうである国家だからというのだ。
「政治が停滞していても」
「それでも連合は動き」
「そして発展していますね」
「そうです」
まさにというのだ。
「ですから百年遅れたという言葉は」
「妥当ではないと」
「私は考えています」
こうバールに話すのだった。
「その様に」
「そうなのですね」
「技術や文化は政府主導で全て発展するか」
「そうとは限らないですね」
「そうです、ですから」
「連合は政治が普通でもですね」
衝突がなくとも、というのだ。
「それでもです」
「百年の遅れはしていない」
「そうです」
まさにというのだ。
「そうしたことはないです」
「ならいいですが、しかし」
「しかしとは」
「私は遊牧生活でした」
バールは自身のことを話した。
「その時はです」
「百年遅れたという主張については」
「インターネットで聞きましたが」
しかしというのだ。
「そこまではです」
「思いませんでした」
「そうだったのですか」
「はい、どうしても」
それはというのだ。
「羊、そして馬に囲まれた生活でして」
「モンゴル人古来の生活ですね」
「その中にいました」
モンゴル人はこの時代でもそうした生活を送っている者が多い、あえてモンゴルに入り遊牧生活を送る者すらいる位だ。
「遊牧生活をしていますと」
「そうした主張も自覚することはなかったのですね」
「そうでした」
まさにというのだ。
「今までは」
「そうですか、そしてですね」
「軍に入りましたが」
それからはというと。
「軍の中でもです」
「そうしたことは感じられなかったですか」
「はい」
そうだったというのだ。
「どうにも」
「そうでしたか」
「はい、それは」
全く、という返事だった。
「感じませんでした」
「軍は機械の世界ですが」
「そうですね、ですが」
「それでもですか」
「モンゴルという国のせいでしょうか」
少し苦笑いになってだ、こう言ったバールだった。
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