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おぢばにおかえり

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第四十八話 合格してその三十二

「どういうこと?」
「ですからお互いの都合さえよかったらこうして回廊一周していいんですね」
「二人でね、参拝ならね」
 何かよくわからないまま阿波野君に答えました。
「いいわよ」
「わかりました」
 今度は満面の笑顔で言ってきた阿波野君でした。
「じゃあ宜しくお願いします、あと携帯の番号ですが」
「学校に持ってきたら駄目よ」
 このことは言っておきました。
「いいわね」
「あっ、メモでお願いします」
「それならね」
「今度お会いした時にお願いしますね」
「ええ、ただどうしたのよ」
 やけに嬉しそうなのでまた聞きました。
「今阿波野君にこにこしてるじゃない」
「してます?」
「してるわよ」
 合格した私以上に上機嫌です、どう見ても。
「もうこれ以上はない位幸せな感じに」
「そうですか、やっぱり」
「やっぱりって何よ」
「いえ、実際に今凄く嬉しいですから」
「何で嬉しいのよ」
「先輩が合格されましておぢばにも残られて」
 私がというのです。
「しかも、ですからね」
「そのしかもの先が気になるけれど」
「そうですか、まあとにかくこれからもですね」
 阿波野君は自分のペースで私に言ってきました、この子といると何故かいつもこの子のペースになってしまいます。
「回廊一緒に回って下さいね」
「ええ、これはね」
 私としても参拝は好きですしおみちの人ならとも思いますしでした。 
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