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レーヴァティン

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第八十七話 上からの改革その十

「御前酒池肉林だよな」
「あちらでの夜はか」
「そうした意味でな」
 所謂食事と酒の宴ではなく色の面での酒池肉林という意味だというのだ、紂王はこの宴の時に色も楽しんだことからこの意味でも使われるのだ。
「そうだよな」
「否定しない。俺は自分でも意外に思っているが」
「女の人好きだよな」
「一度に何人も何度も相手にしてもな」
「平気だよな」
「全くな」
「その不愛想さでだ」
 好色さは全く感じられないがというのだ。
「そうなんだな」
「そうだ、それで女もな」
「酒と一緒にな」
「楽しんでいる」
 実際にというのだ。
「遊郭等に入るとな」
「病気には気をつけろよ」
 久志はそんな英雄にこう注意した。
「そっちの世界でも治る病気でもな」
「梅毒や淋病にだな」
「ああ、どっちの病気も厄介だからな」
「一度なるとな」
「特に梅毒な」
 この病気が一番の問題だというのだ。
「あれは怖いからな」
「淋病も厄介だというがな」
「あっちは痛いらしいな」
 尿を出す時に尿が膿となる、そして出す時に電気で責められた様な恐ろしい激痛が走ると言われている。
「やっぱり怖いよな」
「その様だな」
「死なないけれどな、ただな」
「梅毒は死ぬ」
「それだよ、治るにしてもな」
「そうした病気は最初から入れない方がいい」
「そうだよ」
 まさにその通りだとだ、久志は言い切った。
「なったら怖いからな」
「梅毒で死んだ者は多いしな」
「昔はな」 
 戦国時代の人物では結城秀康徳川家康の次男だったこの人物がそうだったという。鼻が欠けていたということから言われている。
「身体中に瘡蓋が出来てだ」
「それでな」
「身体が腐ってだ」
「それで死ぬってな」
「俺はまだ見たことはないが」
 梅毒患者、そこまで重症の者はだ。
「あちらの世界でもな」
「あっちの世界でも治って何よりだな」
「練丹術の薬で治る」
「所謂ペニシリンだな」
「それで治るからいいが」
 しかしというのだった。
「若しないとな」
「本当に死ぬしな、しかし俺もな」
「患者は見たことがないか」
「ああ、昔は多かったっていうけれどな」
 そして多くの者が命を落としたのだ。
「あっちの世界でも見ないな」
「あの文明レベルの頃のこちらの世界では多かったがな」
「それが、だからな」
「いいことだ、ペストもなかったな」
「ないぜ、結核だってな」
 この病気もというのだ、先に話に出た梅毒と結核それに脚気が戦前の日本を大いに悩ました病気だた。
「ないだろ」
「やはり薬で治る」
「それでな」
 まさにというのだ。 
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