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社会人共がクトゥルフやった時のリプレイ

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大神村の怪異
  Part.1

 はい、ようやっと全員集まりましたので始めさせていただきます。TRPG【クトゥルフの呼び声】のセッションを始めます。

「「「「はーい」」」」

 プレイヤーは4人。GMは前回セッション射命丸文の中の人が担当させていただきます。
 PC作成はそれぞれ終了して頂いていると思いますので皆さん、自分の分身たるPCの名前と性別を教えてください。

「不動遊星、男だ」

「レミリア・スカーレット、女よ」

「十六夜咲夜、女性です」

「三尋木咏、女だ」

「夢幻の白夜、男だ」

 はい、ありがとうございます。

 さて、ここで読者の方々に説明させていただきます。
 今回のシナリオはああ、無情様作成の【大神村の怪異】を私なりのアレンジを加えたものです。
 このシナリオではPC全員、なにかしらの秘密、そして目的を持っています。PVPが発生する可能性が高いシナリオだよと説明しただけで、全員どんな秘密を持っているのか、どんな目的のために動いているのか、また、秘密を持っていない通常PCなのかすらわからない状態でセッションに臨んでいます。
 また、このセッションはオフセではなくオンセ、つまりパソコン上で行われている物であり、チャットを通じて各PCにそれぞれ個別に情報を開示、判定している場合がございます。
 要は、今回のセッションでは全員が全員、協力し合って探索に臨んでいるわけではなく、自分の目的や役割のために割と好き勝手に情報共有せずに単独行動をしているんです。パラノイアばっかりやっているから慣れているだけですので、良識ある人はこの形式のシナリオはやらない方がいいです。設定を大きくしやすいですが、アドリブ祭りですからね。胃がキリキリします。GMをやっていて実際かなり疲れました。その分、全部知っているGMとしては見ていて面白かったですけどね。

 閑話休題。

 えー、というわけですので、いつものように全員の行動をシーンに分けてまとめようとすると、このシナリオ、セッションの面白さが激減してしまいますので、今回はPC達の中の1人にスポットを当てて物語を描いていきます。
 スポットを当てるのはPC2、レミリア・スカーレットです。全員が公開で行動していることに加え、レミリアがどんな行動を秘密裏にしていたのかを描いていきたいと思いますのでご了承ください。
 それでは早速、本編セッション前日に行われた、レミリアの個別オープニングからスタートします。

 ――個別オープニング レミリア・スカーレット――

「で、今回のシナリオはどんな感じなの?」

 舞台は現代日本の山奥にある小さな村。あなたにはその村で行われるホラーツアーに参加していただきます。
 推奨技能は……特にはないですかね。強いて言うなら《目星》と《聞き耳》ですか。まぁ、自由にキャラメイクしていただいて結構ですよ。ただしPVP及び戦闘が発生する可能性のあるシナリオですので、簡単な戦闘技能を習得しておくといいかもしれませんね。

「ふーん、わかったわ。はい、キャラ出来たわよ」

 キャラ紹介お願いします。

「私の名前はレミリア・スカーレット。ディレッタントの占い師」

レミリア・スカーレット
性別:女 年齢:31
職業:ディレッタント 特徴:珍しい技能
STR:15 《幸運》55   《図書館》55     《精神分析》42
CON:09 《アイデア》75 《芸術(占い)》80   《聞き耳》63
POW:11 《知識》75   《信用》76
DEX:13 《母国語》75  《オカルト》45
APP:15 《回避》26   《法律》76
SIZ:13 《耐久力》12  《日本語》80
INT:15 《MP》11   《武道(空手)》72
EDU:16 《DB》+1D4 《ライフル》43
SAN:55 《年収》1400万《心理学》46

 2015のルルブには一応、占い師の職業はあるんですけど、ディレッタントなんですね。

「ええ。貴族のご令嬢が趣味で占いを始めたら大当たりしちゃった。だから勉強して占い業をやっている、みたいな設定でキャラを作ったわ。職業技能はディレッタントだけど、趣味的技能を使って占い師にも寄せているわ」

 確かに。《オカルト》《心理学》《精神分析》が中途半端にあるのがリアルですね。《日本語》をフルで習得したのは名前からして外国人だからですか?

「親日のイギリス人。今は日本で活動しているのよ。ちょくちょくメディアに出ているから《信用》もそこそこ。それからご令嬢だから稽古事として空手を嗜んでいるわ。《STR》が15あるし、不自然じゃないでしょ? あとライフルもね。空手は日本が好きだから真面目にやったけど、ライフルはまぁ、あったらちょっと使えるかな?って感じね」

 ふむふむなるほど……それではレミリア、あなたにはGMから1つ特殊能力をプレゼントしましょう。

「え?」

 あなたは生まれつき、他人とは違うある能力を持っていました。
 それは死者の魂と交流することのできる能力です。

「死んだ人と喋れるってこと?」

 はい。夜、夢の中であなたは死者と話すことが可能です。ただし3つの制限を設けますのでそれには注意してください。
 1つ。一度交流した死者と再び交流することはできません。
 1つ。一日の夢の中で交流できる死者は1人だけです。
 1つ。交流できる死者は、あなたと一度会話という会話を交わした人間でなければなりません。

「こちらから一方的に知っていたり、ただ会釈しただけの相手とじゃあダメなのね。ていうか、こんな能力くれるってことはさ、私の近くにいる人がシナリオ上で死ぬってことよね?」

 まぁぶっちゃけその通りですね。

「本当にぶっちゃけたわね。まぁいいわ。悪い役割を引き受けたわけじゃないし、こんなこと言っても信じてもらえないだろうから、普通の探索者としてシナリオ始まったら積極的に話しかけていくとしましょう。他の人たちのことも知りたいしねぇ。それに私が占い師として有能なことをロールプレイでうまく表現できれば、味方になりうるPCがきっと接触してくるはずだしね。どうせ私以外にもいるんでしょ? なんか変な秘密を持ってるPC」

 さぁ、それはどうでしょうね。
 あ、それからあなたは名の売れた占い師ということで、このシナリオ中3回まで《芸術(占い)》を使って指定した事柄を占うことを許可します。
 成功すればふわっとしたものではありますが、シナリオ攻略のヒントとなるような情報を差し上げましょう。ただし、この判定は《心理学》同様、非公開ロールとしてGMが執り行います。失敗した場合は偽の情報をプレゼントしますので、扱いには注意してください。

「いいわね。主役よりもサポートの方が得意だから、そういう能力は好きよ」

 あ。それからこれらの能力・技能を習得したことによって、《オカルト》に+50の補正をどうぞ。

「《オカルト》95……こんなにいらないわ。そうねえ。《オカルト》を55にして他の技能に40ポイント振り分けていい?」

 いいですよ。

「よし。それじゃあ《精神分析》と《心理学》に20ポイントずつ振り分けてと。うん、大分いいキャラができたわ」

 そういえば今回は珍しく《図書館》に技能振っているんですね。《目星》は相変わらずですが。

「設定的に占いやらオカルトやらは本で調べて興味を持ったことにしているのよ。まぁ、ポイントが余ったから振ったようなものだけどねぇ。シナリオ的に《運転》よりは使えそうだし」

 では個別オープニングを始めます。
 あなたはイギリスの資産家、スカーレット家の次女です。スカーレット家の当主は長男が、そして長女が別の資産家に嫁いだために、あなたは家の中で最もフリーなポジションを獲得していました。

「レミリアは長女なんだけど……フランドールに変えようかしら? いや、でもフランちゃんロールプレイとか無理だし、いいか」

 そんなあなたは5年前、両親の許しを得て、占い師として侍女を1人引き連れて日本へやってきました。

「侍女?」

 ええ。ああそうそう。この侍女はNPCではありません。列記としたPCです。

「そうなの?」

 侍女の名前は十六夜咲夜。あなたと同い年の少女です。彼女との主従関係は25年。気紛れとはいえスラム街で拾い、助けた彼女はそのままあなたの専属侍女として仕えています。

「咲夜って……それGMが名前決めたの? それとも本人?」

「本人が命名していました。役割とか決める前に」

「ってことはあいつもこのセッションに参加しているのね。そうねぇ、咲夜についてもっと詳しく知りたいわ。そんなに仕えてくれているんだったら彼女のこと、良く知っているでしょ? PCだからロールプレイ次第で崩壊しやすいけど、いつものあいつの咲夜ならその心配ないしね」

 はい、いつもの人の咲夜です。
 咲夜はあなたに対して忠誠を誓っている侍女です。家事も一通りでき、あなたが日本で占い業やメディア出演に専念できるように日本語を取得し、今は経理や裏方の仕事も自ら率先して引き受け、あなたのバックアップに日々走り回っています。

「な、なんて素敵な子なのかしら」

 ええ。美しく優しい、あなたにとって頼れる侍女であり、大切な友人。それが十六夜咲夜という侍女です。

「でも1つ気になることがあるわ。なんで咲夜の名前が日本人のそれなの? 拾ったのはイギリスのスラム街なのよね?」

 いいとこに気が付いていただきました。
 十六夜咲夜、この名前を命名したのは他でもない、レミリア、あなたです。

「え? 私?」

 はい。スラム街で拾った彼女はどこか不思議な少女でした。
 服はボロボロ、持っていたものといえば緑色に輝く石のペンダントくらいの、疲れ果てた状態で力なく壁にもたれかかっていた彼女は、見た目に反していたって健康な状態でした。そして自分が誰なのか、どうしてここにいるのかすらわからない、いわば記憶喪失にかかっていたのです。

「まぁ」

 そんな彼女に名前を与え、居場所も与えたのがあなたです。ゆえに、咲夜はあなたに対して並々ならぬ感謝の感情と絶対なる忠誠心を抱いています。例として挙げるなら、あなたが死ねと彼女に命じれば、喜んでその場で自害してしまうほどです。

「大分重いわね。でも私はそんなことは絶対に命令しないわ。こんないい子、これからも大切にそばに置いておくつもりよ。なんにせよ、この咲夜という従者は私にとっては完全な味方、と考えていいのね?」

 はい。その認識で大丈夫です。咲夜の人もあなたに合わせてロールプレイをすると言っていたので、大丈夫だと思います。
 さて、日本に来て早くも10年。仕事も順調で余裕も出てきたこの時期、オカルト好きなあなたは1つのパンフレットを手に取ります。

「なんのパンフレットかしら?」

 大神村と呼ばれる村で行われるホラーツアーについてのパンフレットです。

「ふーん」

 一目見て、面白そうだと直感したあなたは、従者の咲夜を連れてこのツアーに参加することにしました。
 これにてあなたの個別オープニングを終了します。続きは明日の本編でみんなと一緒にやりましょう。

「はーい、よろしくね」




     ――To be continued… 
 

 
後書き
不動遊星=不動遊星の中の人
レミリア・スカーレット=古美門研介の中の人
十六夜咲夜=十六夜咲夜の中の人
三尋木咏=星熊勇儀の中の人
夢幻の白夜=初登場

【クロノスを喰らうもの】を参考 
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