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レーヴァティン

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第八十七話 上からの改革その五

「どんどん減らしていくぜ」
「ただ締め付けるだけじゃないんだ」
「いや、後藤新平さんの政策参考にしてるんだよ」
 戦前に台湾や満州、そして震災後の東京の政治で活躍した政治家であり官僚であった人物だ。特に台湾統治と関東大震災からの復興が素晴らしいだろうか。
「それでだよ」
「そうした政治をしているんだ」
「あの人凄いよな」
 久志は後藤新平のことをさらに話した。
「台湾統治とかな」
「当時日本でね、台湾って」
「ああ、児玉源太郎の下でな」
 当時は彼が台湾総督だったのだ、日露戦争の時に実際に戦争全体の作戦を立案していたことでも知られ旅順要塞攻略にも貢献している。
「内政を行ってな」
「台湾を発展させたんだったね」
「治安も回復させてな」
「それでだね」
「俺も参考にしてな」
 そのうえでというのだ。
「ローマの内政考えてるんだよ」
「あんた伊藤博文も好きよね」
 留奈はこの政治家の名前も出した。
「それでやっぱり」
「あの人も参考にしてるけれどな」
「後藤新平もなのね」
「あと実は山縣有朋もな」
 やはり明治の元勲の一人である、ただ伊藤博文とは違って生前からその人気は高い人物ではないと言われている。
「嫌いじゃないしな」
「あの人もなの」
「実績出してるだろ」
「明治の日本を発展させたっていうのね」
「だからな」
 それ故にというのだ。
「山縣有朋もな」
「参考にしてるのね」
「汚職とか陰謀で評判よくないけれどな」
 こうしたことで生前から人気が薄いのだ。
「俺は結構な」
「好きでなの」
「いいと思ってるんだよ」
 即ち評価しているというのだ。
「だから参考にしてな」
「この世界の政治も考えてるのね」
「ローマもな、ヤクザ屋さんは取り締まるよりな」
「カタギにすることね」
「そっちの仕事に向かわせるべきだろ」
 ただ取り締まるだけでなくだ。
「これ鬼平もやってたな」
「長谷川平蔵ね」
「無宿者を捕まえて手に職を与えて」
「そうして表で暮らせる様にしたわね」
「そうしたしな」
 ただし当時の老中松平定信は無宿人つまりヤクザ者達に厳罰を考えていた、その為元々自身の政敵だった田沼意次と近かった長谷川とは仲が悪かったという。
「いいと思ってるしな」
「そうなのね」
「まあ罪犯していればな」
「処刑ね」
「殺人とかはな」
 そうした重罪を犯していればというのだ。
「もうな」
「そうした奴はなのね」
「処刑してな」
 そのうえでというのだ。
「魂もな」
「消していくのね」
「そうするけれどな」
「それでも普通のヤクザ屋さんは」
「ああ、大した罪を犯していないなら」
 それならというのだ。
「手に職を与えてな」
「働いてもらうのね」
「表の世界でな、それじゃあな」
「そうした政策をなのね」
「これからどんどんやっていくぜ」
 後藤新平等明治の頃の政治家や官僚が行ってきた政策をモデルとしてというのだ。そして実際にだった。 
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