| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十六話 票田その五

「そうした感じの言葉もあったか」
「そりゃまた物騒な言葉だな」
「確かロシアの言葉だ」
「あの国か」
「あの国のことをフランス人が言った」
 そうした言葉だというのだ。
「かく言うフランスも色々あったがな」
「ロシアだけじゃなくてか」
「とにかく暗殺が有効な手段であることは事実だな」
 このことは間違いないというのだ。
「やはりな」
「そうなんだな」
「そうだ、それでだ」
 正は久志にさらに話した。
「今度の黒幕も誰かわからないが」
「俺が邪魔で一時でもか」
「何とかしようと考えている」
「成程な、じゃあな」
「わかるな」
「ああ、用心しておいてな」
 そしてとだ、久志は正に不敵な笑みで答えた。
「そしてな」
「若し来ればな」
「その時はねじ伏せて捕まえてやるさ」
「そうしろ、しかし御前は捕まえて尋問もな」
「拷問は、だよな」
「しようと言わないな。俺達全員そうだが」
「だってよ、こっちの世界自白の薬もあるだろ」
 だからだというのだ。
「それでだよ」
「そうしたものは使わないでか」
「ああ、そしてな」
 そのうえでというのだ。
「自白剤、まあこの世界でも秘伝だけれどな」
「それを使ってか」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「自白させれば済むしな」
「拷問はさせないか」
「もっと言えばな」
「拷問は嫌いだな」
「ああ、何かそういうのってな」
 どうにもという顔になってだった、久志は正に答えた。
「どうしてもな」
「好きになれなくてか」
「しないんだよ」
「そうなんだな」
「それは御前もだろ」
「相手を無闇に痛めつける趣味はない」
 正もこう言った。
「俺にはな」
「だからだよな」
「御前が自白剤を使うことに反対していない」
「だよな、それじゃあな」
「これからもか」
「拷問は使わないでな」
 自白剤、これを使ってというのだ。
「やっていくな」
「そうか」
「ああ、それとな」 
 久志はさらに話した。
「あの自白剤秘伝だけれどな」
「効き目が凄いな」
「よくあんなのあったな」
「こちらの世界の医学と薬学、そして魔術と錬金術が合わさってだ」
「そうして出て来たんだったよな」
「それがだ」
 まさにというのだ。
「あれだけのものということだ」
「成程な」
「そしてだ」
 正はさらに話した。
「後遺症もない」
「そこもいいよな」
「高いが自白させたいならな」
「あれが一番だよな」
「そうなる、ではな」
「ああ、これからもな」
「あれを使ってだな」
「やっていくな」
 久志は正に明るい顔で答えた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧