| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十九部第四章 国境外縁部その十八

「到底だ」
「はい、戦う軍隊ではなく」
「見せる為の軍隊ですね」
「市民に愛される軍隊であり」
「勝つ軍隊ではないですね」
「訓練はしても練度は低い」
 このことは実際にだ、そして連合軍は厳しい訓練も行わない。それで志願者が退職したり入隊志願者が減ることを恐れているのだ。
「あれではだ」
「弱いですね」
「どう考えましても」
「身だしなみは奇麗でも」
「兵器もよく磨かれています」
 清掃の一環として行われているのだ。
「どの艦艇も光る位です」
「ピカピカとさえしています」
「ですがそうしたことばかりで」
「訓練はあまりせず」
「戦う軍隊ではない」
「そうした軍ですから」
「何処か履き違えている」
 グータルズはサハラの者としてだ、正規軍を見てこう評した。
「どう考えてもな」
「そうですね、連合軍は」
「誰がどう見ましても」
「軍隊を勘違いしています」
「身だしなみも重要にしても」
「それは二の次でいいのです」
 幕僚達もサハラの者として言う、連合軍のむしろそちらを第一として身だしなみの徹底についてである。それと清掃にもだ。
「軍服は汚れます」
「作業服なら尚更です」
「それをあそこまで奇麗にしてもです」
「意味がありません」
「それもある程度でいいのです」
 あくまで、というのだ。幕僚達は口々に言う。
 グータルズは食事を楽しみつつだ、そしてまた言った。
「戦争を知らない国の軍隊だな」
「連合軍はですね」
「まさにですね」
「そうした軍隊ですね」
「エウロパ戦役や海賊の討伐は経験していますが」
「やはり戦争を知りません」
「そうした国のそうした軍隊ですね」
 こうしたことを口々に言うのだった、そうして。
 彼等もまた食事を口にしてだ、グータルズに言った。
「ただ、食事はです」
「やはり連合ですね」
「食材は豊富で保存技術もいいです」
「実に美味しいです」
「サハラの食事とは全く違います」
「全くだ、レーションもいい」
 そちらもとだ、グータルズはまた言った。
「多くの種類がありしかも味もいい」
「そうですね、サハラにはないです」
「サハラのどの国にもです」
「これだけの食事は口に出来ません」
「軍隊においても市井においても家庭においても」
「レーションもです」 
 とかくというのだ。
「美味しいものばかりです」
「実にです」
「連合の豊かさが出ています」
「途方もないまでのそれが」
「豊かさでも戦える」
 グータルズはこうも言った。
「それは即ち物資だ」
「その山の様な物資を使い」
「そして敵を圧倒する」
「そういうことですね」
「それが連合軍の戦い方ですね」
「連合軍は確かに弱兵だ」
 あまり訓練をしていないだ、そうした将兵達だというのだ。グータルズだけでなくサハラの難民達から成る義勇軍に共通した考えだ。
「しかし装備は比類がなくだ」
「数が多く」
「物資もですね」
「かなりのものですね」
「この食事にも出ている様に」
「そうしたもので戦う軍隊だな」
 まさにというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧