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レーヴァティン

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第八十五話 護民官その九

「足がつかない様にしてるから、けれど」
「足跡はか」
「あらためてね」
「消していくか」
「うん、そうしてね」
「スキャンダルだって言われてもか」
「根も葉もないってね」
 その様にというのだ。
「言える様にしておくよ」
「そこは頼むな」
「うん、まあこっちもこっちでね」
「相手のスキャンダルはか」
「握ってるしね、いざとなったら」
「スキャンダル暴きの応酬か」
「正直奇麗な方法じゃないけれど」
 それでもだとだ、淳二はまたく言ったのだった。
「それも政治だからね」
「やるんだな」
「そう、そうしていってでもして」
 そのうえでというのだ。
「勝とうね」
「本当に手段を選ばずだな」
「そりゃ奇麗事で済めばいいけれど」
「政治の世界でもな」
「けれど世の中奇麗事で済まない時もあって」
 それが理想にしてもだ、人はどうしても奇麗事が好きだしそれで済めばそれに越したことがないという言葉がある特撮であった。
 しかしだ、淳二はそれでもと言うのだ。
「政治の世界ではね」
「特にそうだよな」
「うん、結果が全てと言えば極論だけれど」
「目的を達成しての世界だからな」
「汚いこともね」
 それもというのだ。
「普通にやってね」
「そしてだよな」
「やっていく世界だよ」
「選挙でも政争でも同じだな」
「そう、まさにデッドオアアライブ」
 淳二は英語も出した。
「死ぬか生きるか」
「負けるか勝つか」
「そのどっちかだよ」
「そういうことだな。じゃあな」
「そう、手段を選ばず勝とうね」
「どれだけ汚い応酬になってもか」
「結局勝てばいいんだから」
「じゃあそっちも覚悟してな」
 スキャンダル暴きの応酬、それもというのだ。
「やっていくか、それとな」
「うん、スキャンダルで駄目なら」
「後はな」
「暗殺だよ」
 それもあるとだ、淳二は久志に話した。口調は明るいが話していることの内容はシビアなものだった。
「最後の手段としてね」
「刺客を送るなり一服盛るなりか」
「君に刺客を送っても勝てないから」
 一人で巨人やドラゴンを倒せる、そこまでの強さの者にはというのだ。
「だからね」
「他の方法で来るか」
「と、なるとね」
「毒か」
「どんな強い英雄も毒には勝てないよ」
 淳二は久志にこの現実も話した。
「そうそうね、解毒剤や解毒の術はあってもね」
「そして蘇生の術があってもな」
「要は選挙の間いなくなるか動けなくなればいいんだから」
 それ故にというのだ。
「眠って動けなくなる様な」
「そういうのを盛ればいいか」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「ここはね」
「毒にも注意か」
「こっちの世界じゃ毒を盛られたら」
「不覚だってことでな」
「迂闊な奴と思われてね」
 毒に気付かず身体の中に入れてしまった、そうしたことがそうみなされるというのである。この辺りこの世界の考えはシビアと言える。
「政治的にマイナスになるから」
「そこも注意か」
「うん、だからね」
 それ故にというのだ。 
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