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夢幻水滸伝

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第七十七話 筑後騒乱その二

「そのうえで」
「はい、お話をして」
「これからのことを決めますね」
「そうしようね、しかし私はカラーギャングのせいか」
 ここでこんなことも言う雪路だった、自分の職業のことを。
「街が一番馴染むね」
「佐賀城におられるよりもですね」
「この長崎にいる方が落ち着く」
「そうなのですね」
「カラーギャングは街での戦闘や活動が得意だからね」
 そうした職業なのだ、街での活動を得意とする。
「街がね」
「一番ですね」
「落ち着きますね」
「そうなんだよね、村でもいいけれど」
 街でなくともだ、村で活動するカラーギャングもいるからだ。
「お城にいるとね」
「どうもですね」
「馴染めないですね」
「嫌いじゃないけれど寝起きする場所には思えないんだよ、私は」
 こう家臣達に話した。
「ああした場所はね」
「やはりカラーギャングは街ですか」
「だから拠点もこちらですね」
「そこのお家に住んでおられるのですね」
「そうさ、グラバー園の中にね」 
 まさにそのグラバー邸が今の雪路の家なのだ。
「住んでいるんだよ」
「そうですね、いい場所ですよね」
「あそこに住まれて」
「そしてですね」
「今もいるんだよ、それでね」
 雪路は家臣達にあらためて話した。
「今からね」
「福岡の方とですね」
「お話ですね」
「すぐにこちらに招待するよ」
 雪路は笑って決断を述べた、そしてだった。
 実際に美鈴をグラバー邸に案内した、庭の方にガーデニングがありそこで話をした。雪路はまずはコーヒーとカステラを出したが。
 そのうえでだ、自分の向かい側の席に座る美鈴に問うた。
「はじめましてですね」
「そうたいな、実際に会うのはこれがはじめてたい」
「はい、こっちの世界でもあっちの世界でも」
「その通りたい」
「同じ寮に住んでますけれど」
 八条学園高等部の女子寮である。
「それでもですよね」
「擦れ違ったことはあるたいか?」
「そうかも知れないですね。私あっちの世界では手芸部にいますけれど」
「手芸部たいか」
「あっちでも身体は大きいですけれどね」
 笑って言うのだった。
「こっちではバーバリアンでそのせいで大きいですけれど」
「確かに大きいたいな」
 美鈴はここで雪路の身体を見た、見れば優に二メートルを超えている。
「羨ましいたい」
「背欲しいですか」
「こっちの世界ではそう思っているたい」
 美鈴は鼠人のその顔を曇らせて答えた。
「あと十センチたい」
「そうですか」
「それで食べることにも努力してるたいが」
「牛乳飲んでます?」
「飲んでるたい、ただこっちの世界でも私は十八歳たい」
「女で十八はもう、ですからね」
 苦笑いで言った雪路だった。
「成長期終わってますからね」
「だから望み薄とよ」
「そう思われてますか」
「そうたい、しかしこのカステラは」
 美鈴は雪路が出してくれたそのカステラを食べつつ述べた。
「美味かとよ」
「はい、カステラはやっぱり長崎ですよ」
 雪路もそのカステラを食べつつ応えた、バーバリアンの巨体に対してそのカステラは随分と小さく見える。 
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