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夢幻水滸伝

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第七十七話 筑後騒乱その一

               第七十七話  筑後騒乱
 北原の読み通りだった、彼が率いる九州南部の勢力が築後に進出したのを見ると美鈴は福岡城で家臣達に言った。
「これは危険たい」
「薩摩の筑後への進出は」
「このことはですね」
「そうたい、筑後を掌握されたら」
 北原達にというのだ。
「この筑前にも攻められる、九州の西はたい」
「ほぼですね」
「薩摩の手に落ちる」
「そうなりますね」
「そうなるたい、私等も肥前も個々に」
 各個撃破、それでというのだ。
「攻められてたい」
「降される」
「そうなりますね」
「絶対にたい」
 間違いなく、というのだ。
「そうなるたい」
「ではですね」
「ここはどうすべきか」
「もう棟梁には」
「考えが出来ているばい」
 美鈴は家臣達に答えた、今彼女は家臣達と共に福岡城の本丸の中庭で茶を飲みつつ話をしている。その後ろには福岡城の見事な天守閣がある。
 その天守閣を見てだ、美鈴はまた言った。
「既に私の中では」
「ではそのお考えは」
「どういったものでしょうか」
「それでは」
「肥前の本拠地の長崎に行くとよ」
 美鈴は家臣達に答えた。
「そうしてたい」
「同盟を結び」
「そしてですか」
「薩摩にあたる」
「それが棟梁のお考えですたい」
「そうたい、そしてたい」
 そのうえでとだ、美鈴はさらに話した。
「共にたい」
「薩摩の勢力と戦い」
「そのうえで」
「勝つたい」
 薩摩、彼等にというのだ。
「そうするたい」
「そうですか、では」
「それではですね」
「まずは長崎に向かう」
「そうされますか」
「空船を用意するたい」
 美鈴は茶を飲みつつ述べた。
「そしてたい」
「はい、それでは」
「空船に乗られ」
「すぐに長崎に向かわれますね」
「そうするたい」
 こう言ってだ、美鈴は長崎に行くことを決意した。そして長崎でもだった。
 雪路は福岡から出た空船が自分のいる長崎に向かっていると聞いてだ、グラバー園の前でこう言った。
「やっぱり来たね」
「棟梁の言われる通りでしたね」
「こちらに来ましたね」
「この長崎に」
「山田先輩私と同盟を結ぶつもりだよ」
 雪路はこのことを既に察していた、それで言うのだった。
「私は明日ね」
「福岡に向かわれるつもりでしたね」
「左様でしたね」
「そう思っていたけれどね」
 それがというのだ。
「先輩の方が早かったね」
「どちらが早いかと思っていましたが」
「福岡の方でしたね」
「あちらでしたね」
「そうだね、じゃあ先輩をお迎えして」
 そしてとだ、雪路はさらに言った。 
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