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レーヴァティン

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第八十四話 ローマに戻りその十

「徴兵制はどうかわからないけれどな」
「徴兵制か」
 正はこの制度についてこう言った。
「兵は一定数確保出来るがな」
「これはこれでな」
「数は確保出来るが」
 またこう言う正だった。
「問題は質だ」
「それなんだよな」
「マキャベリはそれで失敗した」
 徴兵制を提唱した彼はだ、理論としては間違っていなかった。むしろ後世の歴史を見れば正解だった。
「集めた市民兵がどうにもならなかった」
「滅茶苦茶弱いかったんだよな」
「戦いになると一斉に逃げだした位だ」
「そんなの徴兵で入れてもな」
「ものの数にもならない」
「その国を見てする必要があるな」
「古代ギリシアやローマならいいけれど」
 双葉も徴兵制についてこう言ってきた。
「ああした国や街を護る気概があるなら」
「そうでないとな」
「徴兵制を採り入れても」
「兵隊が我先に逃げ出すからな」
「採り入れられないわね」
「どうもこの街の市民や農民はな」
 この目で見てきた彼等についてだ、久志はどうかという顔で述べた。
「あまり戦うって意識ないな」
「ええ、街や田畑を護る為にモンスターに武器を向けても」
「それは金鎚やフォークだしな」
「武器を持ってという発想とはね」
「違うからな、あくまで生産者だよな」
 戦士ではなくだ。
「生産者をいきなり兵隊にしてもな」
「満足に戦えないわね」
「だったらな」
「徴兵制よりも」
「この島だと志願制がいいか」
「そちらを考えているのね」
「徴兵制やったら数は集まって払う給料も高くなくて済むけれどな」
 それが義務だからだ、それなら払う給料も安くて済むのだ。
「けれどな」
「さっき話したことが問題だから」
「やっぱり志願制だな」
「やる気がある人を集めるのね」
「ああ、それで経験者が来てくれたらな」
 戦いのそれがだ。
「いいしな」
「じゃあそっちね」
「ああ、志願制でいくか」
 久志はここで決めた。
「そうするか」
「兵の確保については」
「そうしていくな」
「それも決まったわね」
「それも結局金あってだしな」
「じゃあ本当にね」
「まずは金だよ、メディチ家やフッガー家目指すか」
 ルネサンスの富豪達だ、欧州では二十一世紀も残っている家々だ。
「ここはな」
「ほなあれか。後々金山や銀山もか」
「手に入れたいな」
「そこからも富得るんやな」
「あと塩だな」
 これもと言う久志だった。
「こっちの世界塩山あるだろ」
「海ないしな、この島」
 あるのは湖だ、淡水の場所しかないのだ。
「だったらな」
「塩を押さえたらやな」
「儲かるしな」
「めっちゃ大事な資源やしな」
「人間塩ないと生きられないからな」
 それ故にというのだ。 
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