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レーヴァティン

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第八十四話 ローマに戻りその一

               第八十四話  ローマに戻り
 一行はローマに戻った、そのうえで。
 久志は自分の屋敷に戻る中でだ、仲間達に言った。
「何かな、自分の家でもな」
「自分の家って自覚はだね」
「ないんだよな」
 こう淳二に答えた。
「何しろ殆ど帰ってないっていうかな」
「入ったことすらね」
「殆どなかったからな」
 だからだというのだ。
「もうな」
「実感がなくて」
「それで部屋に帰ってもな」 
 それでもというのだ。
「どう思うかだな」
「それだよね」
「まあな、奥さんがいてもな」
 ハンナの笑顔はここでも思い出すが、だった。
「実感がな」
「結婚してるってことも」
「戻れて嬉しいけれどな」
 家と家族があることもだ。
「それでもな」
「実感はだね」
「やっぱり湧かないんだよな」
「冒険者だったからね」
「それだよ、冒険ばかりしてたからな」
 それでというのだ。
「家に戻るなんてな」
「実感が湧かないね」
「ああ、けれど住んでたらな」
「それでだね」
「徐々に出来るか」
 その実感がというのだ。
「そうなるか」
「そうなるかもね、まあそれはね」
「まず家に帰ってな」
 屋敷にというのだ。
「暮らしくか」
「さて、おいらもね」
 淳二はここで自分のことを話した。
「やがては」
「結婚したいか?」
「うん、いい奥さん貰って」
 そのうえでというのだ。
「幸せになろうかな、こっちの世界でね」
「それがいいだろうな、やっぱりな」
「家庭は持つべきなんだね」
「俺はそう思うぜ、あっちの世界じゃそれは難しいけれどな」
 大学生である彼等が家庭を持つことはというのだ。
「けれどな」
「こっちの世界じゃ違うから」
「それでな」
「結婚相手を見付けて楽しく暮らすのもいいね」
「本当にな、皆な」
 自分だけでなく仲間達もというのだ。
「結婚するのもいいぜ」
「じゃあ僕も」
 剛は自分から言った。
「結婚して」
「そうしてな」
「幸せな家庭持ってもいいね」
「ああ、ただしな」
「ただし?」
「いい奥さん貰って自分もな」
 久志は剛に話した。
「よくならないとな」
「駄目なんだね」
「まあ俺は殆ど家にいないけれどな」
 それでもと言うのだった。
「やっぱりな」
「結婚したら」
「自分もよくならないとな」
「いい奥さんを貰うだけじゃなくて」
「悪い奥さんで駄目になる男がいるって言うけれどな」
「悪い旦那さんで駄目になる奥さんも」
「こっちの方がずっと多いだろ」
 現実ではというのだ。 
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