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転生したら、英霊になっていた。

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第2話「ゴブリン村と牙狼族:前編」

 
前書き
第2話目です。
前編後編と分けて書いて行こうと思います。 

 


〜リムルsaid〜
俺の名前はリムル、色々あってシャルルや
ヴェルドラと出会い、同じネーム仲間として
旅をして居るんだけど、目の前に今ゴブリンがいるんだよねー。

俺達は、ゴブリンを一瞥した。

 ゴブリン達からすれば必死なのだろう。油断なく武器を構えて、こちらをうかがっている。
 もっとも、残念ながら何匹かはすでに逃げ腰になっているようだが。
 だが、リーダー格は流石だった。
 俺やシャルルから目を離す事もなく、こちらを見つめている。
 ふむ、こいつからは知性を感じる。
案外会話も成り立つかもしれない。

 通じるか…。
 俺は、発生させた声に思念を乗せて、相手に言葉となって通じるか試してみる事にした。

「初めまして!俺はスライムの、リムルと隣にいるのがシャルルという。」

 ゴブリンがザワめきだした。
 スライムが喋ったから驚いたのか? と思ったのだが…
 中には、武器を投げ捨てて平服している者もいる。
 よくわからん。

「グガッ、強キ者ヨ! アナタ方ノお力ハ十分ニワカリマシタ!!! 声ヲ沈メテ下サィ!!!」

 む? 思念が強すぎたのか?
 これでは意思を伝えるどころではない。かってにビビっているし。

「すまんな。まだ調整が上手く出来なくて。」

 まあ、謝っておく。

「オソレオオイ。我々ニ謝罪ナド、不要デス!」

 言葉、通じてるみたいだな。
 いい練習になりそうだ。
 ちなみに、話しかけたのは日本語で、なのだ。意味が通じる事に驚いた。

「ところで俺達に何か用か? この先には別に用事なんかないよ?」

 相手が丁寧に話しかけてきたのだし、丁寧に対応すべきかとも思ったのだが…
 あまりにも、こちらを恐れているのが有り有りとしている為、ちょっと強気で出てみた。

「左様デシタカ。コノ先ニ、我々ノ村ガ在ルノデス。強力ナ魔物ノ気配ガシタノデ、警戒ニ来タ次第デス。」
「強い魔物の気配? そんなもの俺達には感じられないけど・・・?」
と言いながらシャルルを見ると彼は
どうやら納得していたらしく唖然としていた。

「グガッ、グガガッ。ゴ冗談ヲ! ソノヨウナお姿ヲサレテイテモ、我々ハ騙サレマセンゾ!」
後で聞くことにしよう。
それから暫くゴブリンと会話したのだが、話の流れで村にお邪魔する事になった。
どうやら泊めてくれるらしい。
貧相な見た目なのに、親切な奴らだ。
寝る必要もないのだが、休憩するのも悪くないだろう。
 そう思って、俺達は村への招待を受ける事にしたのだ。



 俺達は道すがら、色々な話を聞く事が出来た。
 1、最近彼等の信仰する神がいなくなった事。
 2、神の消失と同時に、魔物が活発に活動を開始した事。
 3、森の中に、力ある人間の冒険者の侵入が増えた事。
 
そして、会話を続けている内に、相手の言葉もクリアに聞こえるようになってきた。
 どうやら、【魔力感知】の応用での会話の遣り取りに慣れてきたお陰のようだ。
 人間と会話する前に、ゴブリンで練習出来たのは良かったかもしれない。
 そんな事を話しながら、彼等について行った。

 村は、え? と言いたくなるほど、こ汚い感じだった。
 所詮ゴブリンの巣穴、期待してはいけなかった。
 俺は、その中では一番マシに見える建物? に案内された。
 腐ったような藁の屋根で、隙間だらけであり、ベニヤ板を重ねただけのような壁の……
 前世の感覚からすれば、スラムの方がまだマシ! というレベルの家だった。

「お待たせ致しました。お客人。」

 そう言いながら、一匹のゴブリンが入ってきた。
 そのゴブリンを支えながら、先程まで俺達を案内して来たゴブリンリーダーが付き添っている。

「ああ、いやいや。それ程待っていません。お気遣いなく!」

 俺は営業で培った笑顔を浮かべて対応した。
 所謂、スライムスマイルである。
 笑顔一つで交渉を有利に進める。我ながら恐ろしい技である。
 何を交渉するのかはわからないけれども…。

「大したもてなしも出来ませんで、申し訳ない。私は、この村の村長をさせて頂いております。」

 そう言って、目の前にお茶っぽいものを出された。
 ゴブリンにも、そういうのがある事に驚いた。
 俺達はお茶を啜る。
 味は感じられない。当然である、味覚が無いのだから。
 この場合は、良かったのか悪かったのか・・・成分を調べたが、毒ではない。
 ゴブリンなりの気遣いが感じられた。

「自分達をわざわざ村まで招待したという事は、何か用事があったのですか?」

 とシャルルは直球で訊ねた。
 村長はビクリ、と身体を震わせたが、覚悟を決めた様子でこちらを伺う。
 そして言った。

「実は、最近、魔物の動きが活発になっているのはご存知でしょう?」

 それは道すがら聞いたな。

「我らが神が、この地の平穏を守護して下さっていたのですが、ひと月程前にお姿をお隠しになられたのです・・・
 その為、近隣の魔物が、この地にちょっかいをかけ始めまして・・・
 我々も黙ってはいられないので、応戦したのですが、戦力的に厳しく・・・」

 ふーむ。
 神って、ヴェルドラさんの事か? 時期的には合う・・・な。
 まあ、ゴブリンは俺達に助けて貰いたい、って事か。

「話はわかりました。しかし、自分スライムですので、期待されているような働きは出来ないと思うのですが?」
「ははは、ご謙遜を! ただのスライムと人間様にそこまでの妖気は出せませんよ!
 スライム様 何故そのようなお姿をされているのか、当方には想像も出来ませんが、いずれ、名のある魔物なのでしょう?」

 妖気・・・だと?
 何だそれ? そんなの出した覚えはないけど・・・
 『魔力感知』の視点を切り替えて、自分を観察してみた。
 何やら禍々しいオーラの様なモノが漂うように、俺の身体を覆っていた。
 擬態や、『身体装甲』等を試した時に気付けていれば…。
 これは恥ずかしい。
 大通りを歩いていて、社会の窓を全開にしていた時のような感覚が、俺を襲う。
 洞窟内は魔素濃度が濃かったので、全く気付かなかった・・・。
 これはアカン! 明らかにアウト!
 この時ようやく、今まで洞窟から出てからの魔物の反応の理由が解った。
 こんな危険そうな奴、相手にしたがる魔物はいないだろう。
俺はシャルルをチラ見する時首を縦に振っていた。
その後は、無言になり俺と村長がはなしていく。
 
 こうなったら、自棄だ。

「ふふふ。流石は村長、わかるか?」
「勿論でございますとも! そのお姿でさえ、漂う風格までは隠せておりませぬ!」
「そうか、分かってしまったか。お前達はなかなか見所があるようだな!」

 だんだん気分がのってきたぞ! っと。
 この調子で上手く村長を誘導して、誤魔化してしまおう。
 同時に、禍々しいオーラ=妖気を消せないか試してみる。
 体外の魔素を操る要領で、妖気を引っ込むように念じた。

「おお・・・。我々を試されていたのですね! 助かります。その妖気に怯える者も多かったもので・・・。」

 妖気を隠す事に成功した。
 俺の見た目は、普通のスライムになっている。
 しかしだ。
 果たして、普通のスライムと同じ格好で歩いていたとしたら…
 かえって魔物の襲撃を受けて鬱陶しかったのではないだろうか?
 結果オーライという事でいいのではないか。

「そうだな。俺の妖気を見ても怯えずに話しかけて来るとは、見所があるぞ!」

 何の見所だよ…と、自分に突っ込みたいが、ぐっと我慢する。
 気分は役者だ。

「はは! 有難うございます。…で、本当のお姿をお隠しの理由はお尋ねしませぬ。ただ…
 お願いがあるのです。何とかお聞き届けて貰えませぬでしょうか?」

 まあ、そんなとこだろう。

「内容によるな。言ってみろ。」

 俺は尊大な態度を崩さずに、村長に尋ねた。

 話の内容はこうだ。
 東の地から、この地の覇権を狙って新参の魔物が押し寄せて来た。
 この周辺には幾つかのゴブリンの集落があるらしい。
 この集落はその内の一つなのだが、その新参の魔物との小競り合いでゴブリンの戦士が多数戦死したのだそうだ。
 で、その中に名持ち(ネームド)の戦士がいたのが問題だった。
 その戦士はこの村の守護者のような存在だったのだが、その存在を失った事で、この村の存在価値が激減した。
 他のゴブリンの集落は、この村を見捨てたのだ。
 新参の魔物がこの村を襲っている間に対策を立てる! それが、他の集落の総意だった。
 村長やゴブリンリーダーがいくら掛け合っても、冷たい対応をされたらしい。
 村長達は、悔しさを滲ませてそう語った。

「なるほど…、でこの村には何人住んでいる? その内、戦える者は?」
「はい、この村は100匹くらい住んでます。戦えるのは、雌も合わせて60匹くらいです。」

 何とも頼りない。
 しかし、数を大体でも把握出来るというのは、ゴブリンにしては賢いのかもしれない。

「ふむ。相手、その新参の魔物の数と種族はわかるか?」
「はい。狼の魔物で、牙狼族です。本来、一匹に対し、我々10匹で対応しても勝てるかどうか…、
 それが、100匹ほど……」

 は? 何その無理ゲー…
 俺は、再度シャルルを見ると目を瞑り何か考えごとをしていた。
再び村長を見ると決して、冗談を言っている目ではない。真剣に見つめ返してきた。
 若干の濁りはあるが、ゴブリンにしては真摯な眼差しとでも言うべきか。

「その、ゴブリンの戦士達、勝てないと判っていただろうに少数で向かったのか?」
「…いえ、この情報は、その戦士達が、命がけで入手したものです……」

 そうか、悪い事を聞いた。
 更に聞いたところ、ネームドゴブリンは村長の息子で、ゴブリンリーダーの兄だったそうだ。

 話を聞いて、どうするか考える。
 村長は何も言わず、俺の決断を待っている。
 俺の気のせいか、その目に涙が浮かんでいるような…気のせいだろう。
 魔物に涙は似合わない。
 傲岸不遜に行こう。それが、恐れられる魔物の正しい姿! ってものだ。

「村長、一つ確認したい。俺達が、この村を助けるなら、その見返りはなんだ?
 お前達は、俺達に何を差し出せる?」

 別に、気まぐれで助けてやってもいい。
 しかし、こいつら10匹で一匹相手に出来るかどうかという魔物が100匹。
 決して楽な相手ではない。
 黒蛇に擬態すれば何とかなるとは思うのだが…
 気安く請け負っていい話ではないのだ。

「我々の忠誠を捧げます! 我らに守護をお与え下さい。さすれば、我らは貴方様に忠誠を誓いましょう!!!」

 そんなモノ、正直貰っても嬉しくはない。
 しかし、今の俺は魔物なのだ。病気を恐れる事もない。
 それに何より、村長の目。完全に俺達を頼りにしている。
 前世を思い出す。
 何のかんの言って、俺は頼まれ事に弱かった。
 愚痴を言いながら、後輩に文句を言われながら、依頼主や先輩の頼みを聞き入れたものだ…。

「いいだろう! その願い、聞き届けよう!」

 俺は大仰に頷いた。
シャルルを見ると、OKが出せれて居た。

 こうして、俺達はゴブリン達の主、守護者となったのだ。

〜シャルルsaid〜
俺は、まぁリムルのやる事には賛成だから
問題ない。
「村長、現在この村にある武器全て広場に持って来てくれ。」
と俺は言うとゴブリンリーダーが頷き
部屋から出た。
リムルは村長と一緒に怪我人の所に
向かっている。

「シャルル様、此処にあるのが今現在ある
我々の武器です。」
と広場にはボロボロの剣、木の弓
木と石でできた矢、木の盾。
あとは木の柵……。
これらを見ながら俺は牙狼族についての情報を教えてもらう。
次に来るのが7日後…
「リーダー、今から教える物を大至急持ってきて並べてくれ。」
と簡単に伝えるとリーダーと入れ違いでリムルが帰って来た。
「シャルル、なんか策は思いついたのか?」

「まぁね?リムル、お前にも手伝ってもらうからな?」

と言いながらリーダーと他のゴブリン達が
俺が伝えた通りに並べて居た。

少し離れるように伝えると
エクストラスキル【錬金術】を
発動させる。
〈問、エクストラスキル【錬金術】がイメージの物を具現化させる【投影】にランクアップされました。〉
と声が響いてとりあえずは某錬金術師のように
両手を合わせて意識を集中し
地面に手を置くと電流が走り武器が
新品で強化されていた。

「後は柵の強化だ各自今から役割と説明するから集まってくれ!」
とゴブリン達に声をかけてこれからの
牙狼戦に向けての作戦会議が始まった。 
 

 
後書き
次回は後編。

なんか書いていたらシャルルがチートになっていく件
楽しいからいいけどね。by作者 
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