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レーヴァティン

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第八十二話 最後の一人その五

「まことにな」
「もうわかってるんじゃな」
「そのつもりだ、その最後の一人だが」
「ああ、どんな奴かのう」
「まずは会ってだ」
 そのうえでとだ、英雄は言うのだった。
「話をしてな」
「そうしてじゃな」
「仲間に入れる」
 そうすると言うのだった。
「必ずな」
「それからはじまりぜよ」
 笑って言う当季だった。
「いよいよ」
「そうだな、しかし最後の一人はどういった奴か」
「それは気になるのう」
「そうだな」
「あと少しとのことですが」
 紅葉が場所のことを言ってきた。
「一際大きな赤い門の道場で」
「赤か」
「そう言われています」
「そうか、ではすぐにわかるな」
「赤門と言われているそうです、そして看板も」
 道場の象徴と言っていいこれもというのだ。
「かなり立派なものだとか」
「その道場にか」
「最後の一人がいるのでしょう」
「そうか、ではな」
「その赤門の道場に入り」
「会うぞ」
 その最後の一人にとだ、こう紅葉に言ってだった。
 英雄は仲間達と共に赤門の同情を目指した、そして実際に見事な鮮やかな赤色の門の道場の前に来た。
 その道場の看板を見てだ、桜子は意外といった顔で言った。
「へえ、これはね」
「想像していなかったか」
「ああ、武芸は確かに色々だけれどね」
「柔術とはか」
「思わなかったよ」
 英雄に対してこう言った、皆その看板の前に立ってそれでそこに太い筆で書かれた見事な文字を見ている。
「これはね」
「全くだな、しかしな」
「それでもだね」
「柔術も武芸だ」
 そのうちの一つだとだ、英雄は言った。
「そしてだ」
「柔術もだね」
「武士達の嗜みだった」
 剣術や馬術と共にというのだ。
「闘いは刀や弓矢だけとは限らない」
「武器がなくてもするものだからね」
「だからだ」
 それでというのだ。
「柔術であってもいい」
「そうだね、じゃあね」
「この道場に今から入ってだ」
 そうしてとだ、英雄は確かな声で言った。
「仲間に会うとしよう」
「それじゃあね」
「中に入る」
 英雄が一歩踏み出した、するとすぐに上は白の着物下は紺色の袴の若侍が出て来た。そうしてだった。
 その若侍が英雄達にだ、こう尋ねてきた。
「何用でしょうか」
「この道場に外の世界から来た奴がいると聞いた」
 英雄は若侍にありのまま告げた。
「そいつに会いに来た」
「まさかと思いますが」
「噂を聞いて来た」
 ここでもありのまま答えたのだった。
「そしてだ」
「お会いになられますか」
「そうしたいが会わせてくれるか」
「はい」
 若侍は英雄にすぐに答えた。 
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