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前世の知識があるベル君が竜具で頑張る話

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らんくあっぷ

『よう。見てたぜ「俺」よ。女庇って風穴開けられるたぁ中々に「英雄」してるじゃねぇか。
そのあと女に助けられたから結局チャラか?
まぁ、いい、兎に角、励めよ【主人公-ヒーロー】。
そう言えば「兎に角」って言葉アルミラージっぽくね?』









ベルがうっすらと目を開けた。

「……僕の部屋だ」

ベルは自分の腹に手を伸ばした。

「治ってる…」

ベルが体を起こすと、毛布が落ちた。

ルベライトの瞳が窓の外へ向けられる。

「朝……」

ベルはベッドから出て、着替える事にした。

クローゼットを開けると、そこには男物一割女物九割の服が置いてある。

「これでいいかな…」

ベルが手に取ったのは、白いワンピースだ。

これといった装飾の無い、最もシンプルな物で、最もマシな物だった。

着ていた寝間着(女物)を脱ぐ。

「はいりますよ」

ガチャ、とドアが開けられた。

「「あ」」

入ってきたのはレフィーヤだった。

「っきゃぁぁぁああああああ!?」

ベルのパン一を見たレフィーヤは悲鳴を上げて逃げていった。

「ぁー…………………」

ベルは物凄く微妙な顔をした後、ワンピースを着た。

直ぐに複数の足音がして、複数人がベルの部屋に入ってくる。

アイズ、リヴェリア、ロキ、ベートだ。

「あ、皆さんお早うございます」

「ベルっ!」

「おー…ととと…」

真っ先にベルに抱きついたのはアイズだった。

「どうしてっ、どうしてあそこでまってなかったのっ!」

「ごめんなさい。アイズさん。でも、でもね、僕も女の子に守られてるだけっていうのは、嫌なんですよ」

「…………」

「アイズさん?」

アイズは抱擁を解くと、ベルの肩に手を置いた。

「本当に…心配、したの」

「ごめんなさい」

アイズがプゥッと頬を膨らませる。

「うー…」

(なにこの人可愛い)

「アイズ、そこら辺にしてやれ」

「リヴェリア……」

「ベルだって、男の子だったという訳だな」

「そやでー。ベルもちゃーんと男の娘しとるわけやぁ。
あんまり子供扱いしてやらんといてや」

「ロキ、気付かないとおもったの?」

「なんでわかるん? 発音一緒やろ」

「僕に聞かないでよ…」

茶化すロキにアイズとリヴェリアの視線が刺さる。

「そ、そんなにらまんといてや…」

ロキが後退る。

「そ、そういえばレフィーヤはどないしたん?」

「「「……逃げたな」」」

「まぁ、ラッキースケベかまして直ぐに顔会わせぇっちゅうんも酷か」

「ロキ、僕は男」

「ラキスケに男も女もあらへんよ」

「むぅ…」

「ま、ええわ。ご飯にしようやベル。
4日も寝とったんや、腹も空いとるやろ」

「4日!?」

「うん」

「ま、ベートがエリクサーぶっかけたから傷は問題あらへんと思うけど、マインドダウンも加わったからなぁ」

「えと、ありがとうございますベートさん」

「構わねぇよ。おら、メシ食うんだろ?」

「あ、はい」

ベルはアイズとリヴェリアに両手を握られ、食堂へ。

『ぷくく……グレイみてぇだな』

「ん?」

「どうかしたか?ベル?」

「いえ……今声が聞こえたような…」

「気のせいではないか?」

「だと思います」

一行が食堂に入る。

「あ、オハヨー、兎君」

「お早うございます、ティオナさん」

食堂に入ると、入り口近くでサンドイッチをたべていたティオナに話しかけられる。

「うん。いやぁ、4日前の君物凄くかっこよかったよ」

ベルはティオナの言葉に顔を赤くした。

「という訳で私に命令したのは不問にしてあげまーす」

リヴェリア達が命令というワードに首を傾げた。

「あのねー、兎君ったら私にレフィーヤを連れていくよう言って、『早く行け』って言ったんだよー。
いやー、かっこよかったなぁ」

既にベルは真っ赤である。

あまり面と向かって誉められる事の無かったが故に、照れているので。

ティオナが席を立つ。

「でもあんまり格好いいとさ」

ティオナが、ベルの耳元に口元を近づける。

「襲っちゃうかもしれないから、気を付けてね?」

「ひゃいぃっ!?」

飛び退いたベルがリヴェリアの後ろに隠れる。

「アハハー、冗談冗談。そんなに逃げないでよ」

「うー…うー…」

「それに、あんまりリヴェリアのお尻ばっかり触ってるとエルフが騒ぐよ?」

「ふぇぁ!?」

パッとベルが離れるが、勢い余って後ろに倒れた。

「はぁ…ティオナ、あまりベルで遊ぶな。それに私は尻など触られていない」

「そうなの? ごめんねー、兎君」

(か、からかわれた……)

ベルがヒョイ、と持ち上げられた。

「ぅゆ?」

「はぁ…ギャァギャァ騒ぐな。メシにすんぞ」

「やっぱベートはツンデレやなぁ」

「殺すぞ飲んだくれ」

「おー、おっかな」

一行が列に並ぶと、他の団員が順を譲る。

「あのー、僕…」

「ええよええよ。どうせ一人や二人変わらへん。
それにベルが頑張っとるのはみぃんな知っとる。
文句は出ぇへんよ…。なぁ! そうやろ皆!」

ロキが呼び掛けると団員達が肯定する。

「ほらな。皆ベルが毎朝アイズにボコられては立ち上がっとるのをちゃーんと見とるんや。
それに、幹部連中の扱きに耐えとるのも、リヴェリアのスパルタに着いていっとるのも、ぜぇーんぶ」

「…///」

「ほら、行くで」

プレートを取り、各々席に着く。

「ベル、こん後ウチの部屋でステータス更新するで」

「はいっ!」












食後、ロキの部屋。

ベルは上裸になり、ロキのベッドの上でうつ伏せになっていた。

「じゃ、更新しよか」

ベルの背中に、紅い血が落ちる。

ロックが解除され、道化師のエンブレムが浮かび上がる。

「ほーん……まぁ……そんな所やろな…うん…」

「ロキ?」

ロキの憂うような呟きに、ベルが不安げに尋ねる。

「喜べ。ベル。ランクアップや」

「本当ですか!?」

「嘘言うてどないするん」

「いいぃっやっほぉぉぉぉぉ!」

ベルがあらんかぎりの声で叫ぶ。

「じゃ、ランクアップさせるでー」

ロキが浮かび上がったヒエログリフを弄る。

「ほい、ランクアップ終了や」

「え?」

「どした?」

「意外とあっさりしてるんです…してるんだね」

「無理にタメ口使わんでもええよ?」

「意外とあっさりしてるんだね」

「そうやで、すでに器はできとる。あとは階段をあがるだけや。ヒョイっとな」

ベルが不思議そうに手を握る。

「ああ、それと発展アビリティやけど、一つしか発現しとらんから勝手にえらんどったで」

「発展アビリティ? 」

「うん『天運』いうスキルや。喜べ、レアスキルやで」

「天運……。攻撃が当たりやすくなったりですか?」

「さぁ?」

「えぇ…」

「だって見たことないスキルやしなぁ…。
あ、あんまり言いふらすなよー。うるさい神々が寄ってくるで」

「わかりました」

「あとランクアップもあんまり言いふらすな。
ファルナもらって二週間でランクアップ。異常や」

「そうなんですか?」

「これまでの最速はアイズの一年」

「………」

「大方アイズ達との訓練のせいやろうけど…。
公開は絶対にしたらあかん。死人が出てまう」

「……はい。気を付けます」

ベルが重々しく返事をした。

瞬間、空気が軽くなる。

「じゃぁ今夜は宴会やー! ベルの最速レベルアップを祝って飲みまくるでぇー!」

「いや…それバレるんじゃ…」

「そんときはそん時やー!」

そんな訳で、ベルの全快祝い兼最速レベルアップ祝い(という名目)で宴会が開かれる事となった。
 
 

 
後書き
一応前話で使った竜具と竜技をのせておきます。

アリファール:長剣【属性・風】
レイ・アドモス(大気ごと凪ぎ払え):周囲の風を集め、風の刃を放つ。
ヴェルニー(風影):風に乗り飛翔する。

エザンディス:大鎌 【属性・影】
虚空回廊(ヴォルドール):空間跳躍。
ティンカー(黒霧):鎌の軌道に沿って黒い霧を湧き出させる。霧はあらゆる攻撃を飲み込み無効化する。

ムマ:大斧 【属性・土】
アンジンクリーク(牙崩の壱):刃を上下に長くし、ノコギリ状の刃を付加する。
ドウヴァローク(角貫の弐):大きさを二周り大きくする。
トライクリーロ(翼飛の参):巨大化したムマを投擲する(ある程度自由に軌道を変えられる)。

ヴァリツァイフ:鞭 【属性・雷】
クスタル(硬鞭):鞭を棒状にする。
メルニテ(雷刃):無数の鋭い突起を持つ片刃の大剣と化す。
グロン・ラズルガ(天地撃ち崩す灼砕の爪):鞭の先端が九つに別れ、雷と化す。
ノーテ・ルビード(闇夜斬り払う刹那の牙):雷鳴と共に一直線に雷を放つ。

バルグレン:ダブルナイフ 【属性・焔】
プラムオーク(突火槍列):一直線上に幾つもの火柱を生み出す。
オルトレスク(陽炎):一定エリアを熱する。攻撃にも使えるうえ蜃気楼での幻惑も可能。
フランロート(双焔旋):焔を纏う。切りつけた相手の体内に焔を流し込み内側から焼く。

デュランダル:大剣 【属性・抗魔】
あらゆる魔法効果を弾き、断ち切る。
 
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