星河の覇皇
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第六十九部第二章 軍と警察その二十一
「動きません」
「諜報活動にしても、ですが」
こうも言った八条だった、ここで。
「必ずです」
「活動が出来る様にですね」
「遅れてでもしますので」
「ではお願いします」
「はい、作戦が終わり」
「新型戦艦の建造も終わり」
「それからになります」
マウリアにおけるエウロパに対する諜報網の充実はというのだ。
「お待ち下さい」
「それでは待たせて頂きます」
「それでは」
「しかし、エウロパではです」
「はい、国防費はですね」
「予算と比較してかなり多いですね」
「我々に比べて」
連合と、であることは言うまでもない。
「そうです」
「その通りですね」
「しかも総統の権限で臨時予算が組まれ」
「その予算も回されますね」
「額自体は我々より遥かに低いです」
この辺り国力差が出ている、やはり連合は豊かで巨大でありその予算も膨大なものだ。連合の予算はエウロパのそれの百倍はある。
「しかしです」
「割合としては」
「総生産の一割を越えているとか」
「はい、大体それ位です」
「だからですね」
「我々よりも予算には困っていませんね」
「そうですね、国家の状況の違いですね」
連合とエウロパのである。
「連合はエウロパという敵がいて国内に犯罪組織があろうとも」
「大きな驚異かといいますと」
「違います」
そこまでではないというのだ。
「至りません」
「そうですね」
「しかしです」
「エウロパは」
「我々、そしてサハラとも近年まで対立していて」
「今もですね」
「そうした状況なので」
それ故にというのだ。
「国防が重要です」
「ましてや今は敗戦後ですし」
「どうしてもです」
「国防の優先度が高いですね」
「予算も多いのです」
「その割合が、ですね」
「そうなっています、彼等は苦しい状況にあります」
他国と比べて遥かにだ、エウロパは唯一の同盟国はマウリアであり他の国は敵であるのだ。そうした状況だからだ。
「国防が充実していなければ」
「生きることが出来ないですね」
「まさに」
「そうした状況ですね」
ディカプリオも頷いて答えた。
「彼等を羨ましいと思えば」
「それは違いますね」
「まさに」
「そうした苦しい状況では大変です」
「国家自体が」
「むしろ国防の優先度が低い方がです」
即ち予算が少ない方がというのだ。
「国家としては幸せなのでしょう」
「そうなりますね」
「連合は千年の平和の中にあります」
これは今もである。
「この平和は守らねばなりませんが」
「その平和があるからこそ」
「幸せなのですから」
守らねばならない平和が維持されている、それが為にというのだ。
「いいとすべきです」
「そういうことになりますね」
「戦争よりも平和ですね」
「はい、軍人にしましても」
ディカプリオは軍人として答えた。
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