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レーヴァティン

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第八十話 繁栄の中でその五

「刀も使わない」
「そういえばいい刀持ってるな」
「随分とな」
「何だこの刀」
「業物なのはわかるけれどな」
「いや、待て」
 ここでだ、ヤクザ者の一人が英雄の腰の左にあるその刀を見てだった。仲間達に気付いた顔になって言った。
「あの刀あれじゃねえのか?」
「あれ?」
「あれっていうと何だよ」
「天羽々斬じゃないのか」
 この刀ではというのだ。
「ひょっとしてな」
「おい、あの刀かよ」
「この世界を救うっていう」
「そういえばあの刀抜いた奴こっちの島に来ていたってな」
「そう聞いてたな」
「それが俺だ」
 英雄は自分達で話をしだしたヤクザ者達に普段と変わらない口調で答えた。
「何なら見せるが」
「見せてどうするんだ」
「一体」
「言った筈だ、殺しはしない」
 それはというのだ。
「抜くこともしない」
「おいおい、嘘だろ」
「この島と世界を救う人がこんなところに来るなんてな」
「嘘じゃない、そして来たのは必然だ」
「必然?」
「必然っていうのかよ」
「俺は今仲間を探している」
 このことを英雄に告げた。
「そしてその仲間がだ」
「あの人か」
「そうだっていうのかよ」
「外の世界に来ている、俺と同じくな。そしてかなり強いと聞いている」
 この二つから推測してというのだ。
「俺の仲間だ、その仲間に会いに来た」
「そうだっていうのかよ」
「それでこの賭場に来たのかよ」
「そうだっていうんだな」
「そうだ、わかったら合わせろ」
 今からというのだ。
「いいな」
「どうする?」
「頭に知らせるか」
「まずそうするか」
「それがいいな」
 ヤクザ者達は英雄の言葉を聞いてそうしてだった。
 また彼等の間で話した、それが一段落してから英雄にあらためて言った。
「ちょっと待ってくれ」
「まず頭に話してくるからな」
「それからにしてくれるか」
「わかった」
 英雄は彼等の申し出に頷いて答えた、こうしてだった。
 ヤクザ者達は一旦英雄達の前から退いた、すると暫くして眉が吊り上がり鋭い目をした大柄な男が出て来た。
 その者がだ、英雄にこう言ってきた。
「あんた、あの人と同じか」
「そうだ、外の世界から来てだ」
「あの人を仲間にしたいんだな」
「そうだ」
 英雄はその者に素直に答えた。
「その為に来た」
「成程な」
「それで返事を聞きたい」 
 英雄はヤクザ者達を後ろに従えているその者に問うた、このことから彼がこのシマの頭であることがわかった。
「頭であるあんたのな」
「そうか、若し断ったらか」
「俺も無理にだ」
 それこそと言うのだった。
「通らせてもらう」
「その腰のもの抜くっていうんだな」
「いや、抜かない」
「抜くまでもないってことか」
「そうだ」
 その通りという返事だった。 
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