転生とらぶる

　俺達が……正確にはセイラがその部屋に入ると、その部屋の中にいた者達はざわめく。
　その中の多くがセイラを見て驚いた様子を浮かべていたが……何人かは、俺やシーマの存在にも気が付き、驚きを見せていた。
　そんな中で最初にこちらに近づいてきたのは、俺にとっても見覚えのある人物だ。

「アルテイシア代表、お久しぶりですね。まさか、ここで会えるとは思ってもいませんでした」

　そう言いながらセイラに握手を求めたのは、マスクをした女……キシリア。
　言葉では嬉しそうな様子を見せているが、その目には笑みが浮かんでいる様子はない。
　……まぁ、それも当然か。グラナダの件もそうだし、サイド6にあったニュータイプ研究所の件にしても、その両方が突撃機動軍……いや、キシリアの管轄下だ。
　その両方は、どちらも多くの労力を注いできたのに、それをルナ・ジオンが台無しにしたのだから、このような態度に出るのも当然だろう。
　寧ろ、こうして表面上は大人しくしているという時点で驚いてもいいのかもしれない。

「ええ、久しぶりね。もっとも、今までの会話は映像越しだったから、こうして直接会うのは初めてだけど」

　そう言い、セイラはキシリアと握手を交わす。
　にしても、キシリアもいるのか。……いやまぁ、次期主力MSを決めるとなれば、当然それは突撃機動軍でも採用される事になる。
　というか、ザクもドムもどちらも宇宙で使う事を前提にして開発なり改修なりをされた機体だ。
　……つまり、ジオン軍はこの戦局が連邦軍によって押し返されると考えてる、のか？
　連邦軍最後の軍事拠点たるルナツーを陥落させる為だけにこのような真似は……いや、まさかな。
　ぶっちゃけ、今のジオン軍の戦力でもルナツーを攻略しようと思えば出来る気がする。
　あくまでもジオン軍の全てが協力することが出来れば、の話だが。
　ザビ家でギレン、キシリア、ドズルの3人がそれぞれ対立している今の状況では、とてもではないが一致協力してといった真似は出来ないだろう。
　連邦という、戦うには巨大すぎる相手と戦いながら、身内同士で権力闘争を行う。
　正直なところ、本当にジオン公国が独立戦争で勝とうと思っているのかどうかが分からない。
　ああ、だからか？
　身内同士で権力闘争をやっているからこそ、連邦軍が宇宙で勢力を伸ばしてくる事を前提とした次期主力機のコンペを行う。
　そう考えると……まぁ、納得出来ない訳でもない、か？

「アクセル代表。貴方も来るとは思いませんでしたよ」

　人前だからなのか、それともお互いの間にある差を理解しているからかは分からないが、キシリアの俺に対する言葉遣いは丁寧なものだ。
　……セイラの時と同じく、決して目は笑っていなかったが。

「ジオン軍の次期主力MSのコンペともなれば、興味を抱くなという方が無理だろ。ヅダのライバルになるかもしれないんだからな」
「ははは、ヅダの性能は折り紙付きではないですか。正直なところ、あの機体をよくあそこまで仕上げたものです」

　そんなキシリアの言葉に、部屋の中にいる何人かの男が微かに嫌そうな表情を浮かべる。
　話の流れから考えると、恐らくツィマッド社関係の人物だろう。
　最後までヅダに拘った連中はルナ・ジオンにやって来たが、ツィマッド社に残っていても、ヅダの開発に関わった者はいるだろうし……何より、自分の会社で開発したMSを悪く言われて面白くないと思うものは当然のように多い。

「まぁ、ルナ・ジオンの技術者が頑張った結果だろうな」
「おや、てっきりシャドウミラーの技術が使われているのかと思いましたが？」

　意外そうに言ってくるキシリア。
　果たして、これが本当にそのように思っての言葉なのか、それとも単純に表向きだけのものなのか。それは分からないが、ヅダの改修にシャドウミラーの技術を使っていないのは間違いのない事実なので、俺はきっぱりと首を横に振る。

「いや、ヅダの改良にシャドウミラーの技術は使われていない」

　その言葉の意味をしっかりと受け取ったのか、キシリアは一瞬眉を顰める。
　そう、技術は使われていないが、ホワイトスターで……いや、キブツで生み出した資源の類は存分に使わせている。
　そうだな、幸いここにはジオニック社、ツィマッド社の関係者がいて、MIP社の者もいるし、その三大巨頭には及ばずとも兵器メーカーの関係者と思しき者が何人かいた。
　なら、ここでその辺りの事を説明しておけば……将来への布石となる可能性も高いか。
　そう判断し、俺はキシリアと話してい中で意図的に声を大きくして告げる。

「俺達シャドウミラーが、このUC世界において興味を持っている事の1つに、この世界独自の兵器がある。それを開発してもらう意味もあって、ヅダの改修チームにはシャドウミラーの技術を与えてはいない。代わりに、資源はたっぷりと……それこそ使い切れないくらいに与えたけどな。そんな訳で、資源が足りなくて困ってる会社だったり、自分達の開発した兵器が新しすぎて理解されないということがあったら、こっちに話を持ってきてくれれば相応の待遇で遇させて貰う」

　その言葉に何人かが表情を動かすのが分かった。
　どうやら、無事に種をまく事には成功したらしい。
　後はその種が芽を出すかどうかだが……さて、どうなる事やら。

「やってくれる」

　小さく、それこそ口の中だけで呟いたキシリアだったが、生憎と俺の聴覚を誤魔化せる筈がない。
　キシリアにしてみれば、自分を出汁にして引き抜きを図ったのだから、苛立って当然だろう。
　もっとも、ジオン公国とルナ・ジオンではその国力にも戦力にも差が大きい。
　いや、純粋にルナ・ジオンだけであれば、ジオン公国ならどうとでも対処出来るのだろうが……生憎と、ルナ・ジオンの背後には俺が、シャドウミラーがいる。
　そうである以上、ジオン公国としては下手に出る……とまではいかないが、それでもある程度は対応を考える必要があった。
　それこそ、自分を出汁にして引き抜きを仕掛けたからといって、攻めるなどという真似をする事は出来ないだろう。
　ともあれ、俺はキシリアの言葉を聞こえなかった振りをし、不思議そうな表情を作って尋ねる。

「うん？　どうした？　何か言ったか？」
「いえ、何でもありません。ですが、うちの国の兵器メーカーを誘惑するのは出来れば遠慮して欲しいですね。ただでさえ、最近はそれぞれの会社から人数が減った事により、困っているのですから」
「そうか？　逃げられたくなかったら、それこそもっと厚遇すればいいだけじゃないか？　幸い、ジオン公国はオデッサという資源が大量に眠っている場所を押さえてるんだし」
「……参考にさせて貰いましょう」

　これ以上俺と言い合いをしても得るものはないと判断したのか、キシリアは俺との会話を止め、次にシーマに視線を向ける。
　キシリアにしてみれば、シーマというのは不倶戴天の敵……とまでは言わないが、それに近い存在と言ってもいいだろう。
　何しろ、コロニー落としの際のG2ガスの一件を広く公表されてしまったのだから。
　そうである以上、キシリアにとってシーマというのは可能な限り排除しておきたい相手だったのは間違いない。
　……もっとも、シーマがルナ・ジオン軍にいるという時点で、そのような真似も出来なくなってしまったが。

「久しぶりね」
「は！」

　キシリアの言葉に、シーマはそう言って敬礼を返す。
　キシリアがシーマを憎んでいるのと同様に……いや、それ以上にシーマもまたキシリアを憎んでいる。
　だが、今のシーマは無頼の輩という訳ではなく、ルナ・ジオン軍にて遊撃隊とも呼ぶべき海兵隊を率いている実力者だ。
　そうである以上、今のシーマがキシリアに対して何らかの妙な態度をとれば、それはそのままルナ・ジオン軍に対する傷となる。
　それが分かっているからこそ、シーマもキシリアを前にしても特にどうこうする様子はないのだろう。

「姉貴、俺にも挨拶をさせてくれ」

　シーマとキシリアの間の緊迫した空気を破壊したのは、巨漢と呼ぶべき男。
　当然、俺は目の前に立つ男が誰なのかは知っている。
　ドズル・ザビ。その名の通りザビ家の三男……いや、サスロとかいう次男が死んだ今となっては、三男じゃなくて次男なのか。ともあれ、ザビ家の男だ。
　ガトーから聞いた情報によれば、部下からはかなり慕われているらしい。
　ただし、直情径行らしく、感情の赴くままに行動する事が多い。
　そしてザビ家の中では純粋な軍人。
　……ラルに対し、コロニーの住人を毒殺しろと命じたのも、この男らしいしな。
　結局ラルはそれを断り、結果としてシーマがこれ以上ない貧乏クジを引く事になったのだが。
　ともあれ、軍人らしい軍人というのは間違いない。
　現在は完成したばかりのソロモンを拠点とし、宇宙攻撃軍を率いている。
　先見の明という点では、キシリアに劣るのは間違いないだろう。
　MSに関しても、キシリアは最初からMSを主力にしようとしていたのに対し、ドズルは軍艦を主力として、MSはあくまでも補助戦力という風に扱っていたらしいし。
　だが……MSが主力として使えると分かれば、すぐにMSを主力として使うという柔軟さを持ってもいる。
　陰謀家と呼ぶべきギレンやキシリアとは違い、付き合いやすい相手であるのは間違いない。

「あんたがアクセル・アルマーか。……俺はドズル・ザビだ」
「ああ、名前くらいは知っている」

　こちらに差し出された手を握り……ドズルの手が俺の手を握り潰そうとするかのように力が込められる。
　だが、巨漢とはいえ所詮はUC世界のただの人間でしかない。
　これでサイボーグ手術とかそういうのがされていれば、多少話は違ったのだが。
　俺の握力は、それこそ金属で出来た床や壁を毟り取るくらいは楽に出来る。
　そんな俺と握力勝負を挑んできたのは、ドズルにとって致命的と言ってもいいだろう。

「ぐっ、ぐぐ……」

　結果として、ドズルは俺の握力に耐えながら、痛みで顔を歪める。
　一応、今の状況でもかなり力を抜いてはいるんだが……まぁ、このくらいでいいか。

「おっと、悪い。ちょっと手に力が入ってしまったみたいだな。ドズルの身体の大きさを考えると、このくらいなら平気かと思ったんだが……悪い、今度握手する時は、蟻でも摘まむ時のようにそっと握らせて貰うよ」

　それは、半ば……いや、完全に挑発交じりの声。
　もっとも、ドズルにしてみればまさか俺が力自慢だろう自分よりも力が強いとは思ってもいなかったのだろう。
　ちなみに、今の俺はシャドウミラー代表のアクセル・アルマーという20代の姿だ。
　だが、ドズルはそんな俺よりも背が高く、横幅も広い。
　……これで、10代半ば、もしくは10歳の姿でここに現れていれば、一体どうなったんだろうな。ちょっと興味がないかと言われれば、興味深いと言いたくなる。
　ドズルが恥を掻かされたと思ったのか　部屋の中にいた何人かが俺を険悪な表情で睨み付けてくる。
　中には腰の銃に手を伸ばしている者もいるのだから……ドズルが下の者に慕われている証になると言ってもいいだろう。

「がっはっは。俺も力には自信があったんだが、まさかその見た目で俺よりも力が強いとはな」

　そんなジオン軍の兵士達の動きを牽制するかのように、ドズルの声が部屋の中に響く。
　その声の中には恨みや憎しみといった感情がなかったからだろう。周囲にいる兵士達も、俺に対しての視線を弱める。……もっとも、ドズルは表情にこそ出していなかったが、その視線には強い力を込めて俺を見ていたが。
　ドズルにしてみれば、俺はジオン公国の野望を邪魔すべき相手という認識なのだろう。
　もっとも、その思いも分からない訳じゃない。
　基本的に策謀とかを好まないドズルにしてみれば、俺は色々な意味で厄介な相手以外の何物でもないのだろうから。
　とはいえ、だからといってこちらもそれで手を抜くような真似は出来ない。

「喜んで貰えて何よりだよ。俺はPT……いや、このUC世界ではMSだったか。MSの操縦も得意だが、それ以外に生身での戦闘も得意でな」

　実際には生身での戦いとなれば、この世界の人間で俺に勝てる相手はいない。
　将来的に魔法や気といった事が広がれば、もしかしたら……本当にもしかしたら、そういう可能性もない訳ではないが、正直なところ、この世界の人間でそこまでの腕になるのは……ちょっと難しいように思えた。

「ドズル、お客人達が迷惑しているだろう。少しは慎め」

　ふと、そんな声が響き……俺は、声のした方に視線を向ける。
　そこにいたのは、髪をオールバックにしている男……ギレン・ザビだった。 

アクセル・アルマー
LV：43
PP：235
格闘：305
射撃：325
技量：315
防御：315
回避：345
命中：365
SP：1987
エースボーナス：SPブースト（SPを消費してスライムの性能をアップする）
成長タイプ：万能・特殊
空：S
陸：S

海：S
宇：S
精神：加速 消費SP4
　　　努力 消費SP8
　　　集中 消費SP16
　　　直撃 消費SP30
　　　覚醒 消費SP32
　　　愛　 消費SP48

スキル：EXPアップ
　　　　SPブースト（SPアップLv.9&SP回復&集中力）
　　　　念動力 LV.11
　　　　アタッカー
　　　　ガンファイト LV.9
　　　　インファイト LV.9
　　　　気力限界突破
　　　　魔法（炎）
　　　　魔法（影）
　　　　魔法（召喚）
　　　　闇の魔法
　　　　混沌精霊
　　　　鬼眼
　　　　気配遮断A+

撃墜数：1435