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戦国異伝供書

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第十八話 道を走りその一

               第十八話  道を走り
 信長が率いる織田家の主力は無事に備前を越え備中に入っていた。これまで織田家は毛利家を一方的に押していた。
 それでだ、信長はこう言った。
「さて、そろそろな」
「毛利家からですな」
 竹中が言ってきた。
「言ってきますな」
「降る話が来る」
 そうなるというのだ。
「おそらく高松城を囲んだ時にな」
「その時にこそ」
「降る話が来るからな」
 それ故にというのだ。
「その時にじゃ」
「降ることを許し」
「毛利家の戦は終わりじゃ、そして毛利家はな」
「織田家の家臣としてですな」
「その一端を担ってもらう」
 降った後はというのだ。
「天下の政にな」
「毛利殿もですな」
「あの智が欲しい」
 元就のそれがというのだ。
「謀だけでなく政も見事であるからな」
「それだけに」
「毛利家を降せば」
 その後はというのだ。
「是非役立ってもらう」
「では」
「毛利家が話をしてくれば」
 その時にというのだ。
「話を聞いてな」
「そのうえで」
「降ることを認めてな」
「終わりにしますな」
「うむ、処遇は後にするが」
 それでもというのだ。
「国持大名であることは認め」
「そのうえで」
「毛利家との戦は終わりじゃ」
 その様にするというのだ。
「そうする、そしてな」
「武田家ですな」
「あの家と戦いに向かう」
 またこう言うのだった。
「必ずな、そしてな」
「上杉家とも戦いますが」
「両家との戦がですな」
「我等の正念場ですな」
「まさに」
「そうじゃ、武田と上杉は強い」
 それこそ他のどの家よりもというのだ。
「だからじゃ」
「両家と戦う時がですな」
「我等の正念場ですな」
「勢力は我等の方が大きいですが」
「それでもですな」
「油断出来る筈がない」
 到底というのだ。
「だからじゃ、打つ手も用意したのじゃ」
「武田、上杉と戦う時の」
「それも用意しておきましたな」
「その時のことを考え」
「それで、ですな」
「毛利家には鉄甲船を用いた」
 この船達をというのだ。
「そして瀬戸内で勝った、そしてじゃ」
「それで、ですな」
「武田と上杉にもそれぞれですな」
「打つ手を置いておいた」
「そうでしたな」
「うむ、勿論北条にもな」
 あの家にもというのだ。
「打つ手は用意しておる」
「それで、ですな」
「全ての家を降し」
「関東まで手に入れれば」
「我等は天下布武に王手となりますな」
「後は奥羽と九州だが」
 この二つの地域のみになるというのだ。 
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