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レーヴァティン

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第七十八話 山の頂上の仙人その九

「だからそうした薬はたい」
「いらんか」
「それでそっちたい」 
 性病用の丹薬を造って渡すというのだ。
「楽しみにしてるたい」
「ううむ、幾らでも遊びたいんじゃがのう」
「遊びも過ぎると毒だ」
 幸正はまだ言う当季にこう返した。
「だからな」
「ここはか」
「そちらの丹薬にしておけ」
 性病用のそれにというのだ。
「節度を保つ為にもな」
「おまん一晩でも遊んでいたいと思わんか」
「そこまで遊んだら後が辛いぞ」
 朝や翌日がというのだ。
「徹夜ともなればな」
「後で響くっちゅうんじゃな」
「それが過ぎるとさらに悪い」
「早死にの元っていうのう」
「そうだ、だからな」
「一晩中遊郭で遊ぶっちゅうんはか」
「鉋で身体を削る様なものだ」
 そうしたものだというのだ。
「身体にいい筈がない」
「徹夜は身体に最悪で、じゃな」
「女と酒で遊ぶのだ」
 その徹夜の間ずっと、というのだ。
「まさに鉋、それも二重のだ」
「早死にするもんじゃな」
「遊郭とはそうした場所だ」
 幸正はこうも言った。
「遊ぶのはいいがな」
「程々か」
「夜は適度なところで寝ることだ」
「ううむ、英雄を見ればのう」
「俺も寝ている」
 その英雄の返事だ。
「そうしている」
「そうだったんか」
「何人も相手にして遊ぶがな」
 勿論酒も飲む。
「しかしな」
「それでもか」
「寝ることは寝ている」
 このことは忘れないというのだ。
「毎日な」
「徹夜はしないぜよ」
「それは絶対にしない」
 英雄は強い声で述べた。
「身体に何よりも悪いからな」
「まあ確かに悪いのう」
「そうだ、徹夜をするとだ」
 英雄は自分達の世界で言われていることを話した。
「脳細胞が多く死ぬし身体もだ」
「相当に疲れてじゃな」
「後でくる」
 身体にというのだ。
「三日続けての徹夜なぞだ」
「そんなことをしたらか」
「後で絶対にくる」
 そうなってしまうというのだ。
「昭和の頃の漫画家の人達もそうだった」
「トキワ荘とかの人達か」
「あの人達は若くして亡くなった人が多いが」
「徹夜を続けたのが響いてか」
「そうなったと思ってだ」
 まさにというのだ。
「いい筈だ」
「やっぱりそうなるんかのう」
「本当に若い頃三日続けて徹夜をして描いていた人もいた」
 石ノ森章太郎だ、この偉大な漫画家は若い頃そこまでして描き続けていたのだ。そこまで漫画を愛していたと言えばそうなる。尚この人は漫画を萬画と呼んでもいた。 
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