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レーヴァティン

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第七十八話 山の頂上の仙人その七

「食物連鎖のその中に」
「だから必要だな」
「そうたい、いなくなったら生態系が崩れるたい」
「若しもです」
 良太も言ってきた。
「生態系が崩れると」
「その島が厄介なことになるとよ」
「はい、我々が起きた世界の日本の様になります」
 まさにこの国になるというのだ、自分達の祖国に。
「日本は獣害に悩んでいますが」
「ニホンオオカミがいなくなったとよ」
「そのせいで、です」
 一九〇五年に絶滅が確認されている、少なくとも公には。
「生態系が崩れ」
「鹿とか猪とか兎とかが増えてたいな」
「獣害が増えました」
「有名な話たい」
「狩りをしましても」
 獣害を防ぐにはその数を減らすことが必要だからだ、間引きの要領でもある。
「ですがそれでも」
「狩人の人の確保もたい」
「難しい状況です」
 日本は銃刀法が厳しい、それで猟師の確保にも苦労しているのだ。そこに猟師達の高齢化の問題も加わっている。
「そのことを観ましても」
「魔物はたい」
「多過ぎても困りますが」
「いなくなることも困るたい」
「あくまで程々ですね」
「そうたいがどうも多過ぎるたい」
 そうした状況だというのだ。
「だからたい」
「その数を減らして魔物に襲われる人を減らす為にも」
「私も旅に出てたい」
「この島、そして世界をですね」
「救いたいたい、だから」
 それ故にというのだ。
「ここはたい」
「俺達とだな」
「一緒に行くたい」 
 また英雄に答えた。
「そうさせてもらうたい」
「それではな」
「この家は別荘にしておくたい」
 今度は頂上を見回して述べた。
「気が向いたらたい」
「戻ってか」
「遊ぶたい」
「そうした場所にするか」
「そうするたい」
 まさにというのだ。
「これからは」
「そのこともわかった」
「では一緒に行くとよ。ただ」
「忘れていることがあるな」
「旅支度とたい」
 それにだった。
「自己紹介もたい」
「するな」
「そうさせてもらうたい」
「名は何という」
「泉田香織たい」
 こう名乗った。
「起きた世界では八条大学医学部の二回生たい」
「医学部か」
「そうたい、内科希望たい」 
 その希望のことも話した。
「それで頑張っているたい」
「医学部か」
 この学部のことを聞いてだ、幸正がこう言った。
「あの学部はな」
「レベルがたい」
「法学部と並んで全国トップクラスだ」
 それだけのレベルだというのだ。
「八条大学の中でな」
「八条大学の偏差値は殆どの学部がおおよそ五十八程度ですが」
 謙二もこう言った。 
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