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レーヴァティン

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第七十八話 山の頂上の仙人その一

               第七十八話  山の頂上の仙人
 一行は遂に頂上が見える距離まで登った、そしてだった。
 その頂上を見てだ、英雄はこの言葉を出した。
「あと少しだな」
「いや、険しい山だったでござるな」
 智はその頂上を見て感嘆の言葉を漏らした。
「想像以上に」
「全くだな」
「これだけ険しい山だったとは」
「いや、この山は」
 山伏である峰夫も言ってきた。
「わしから見てもであります」
「険しかったな」
「そうそうない山であります」
 この山はというのだ。
「まことに」
「山伏から見てもか」
「まさに仙人が住むに相応しい」
「そうした山だったか」
「高くまた斜面も急で木々は深く」
 そしてだった。
「魔物も多い」
「険しい要素に満ちていたな」
「はい」
 まさにとだ、峰夫はまた述べた。
「こうした山はわしもあまりであります」
「登ったことはないか」
「この島は険しい山が多いでありますが」
 それでもというのだ。
「大変であります」
「そうだったか、しかしな」
「しかしでありますな」
「どういった山も先に進んでいけばな」
「こうしてでありますな」
「頂上に辿り着ける」
 英雄もまた頂上を見ている、そのうえでの言葉だ。
「流石に人が行けない山もあるがな」
「それでもでありますな」
「これ位の山はまだな」
「登られるであります」
「そして登られる山ならな」
「この様にでありますな」
「登っていけばだ」
 先、もっと言えば上に進んでいくとだ。
「必ず頂上に辿り着ける」
「その様な山でも」
「だから進むことだ」
 山を登るにはというのだ。
「諦めずにな。お祖父ちゃんに言われた」
「英雄殿の」
「そうだった、お祖父ちゃんは今も生きているが」
 英雄はその祖父のことも話した。
「幼い俺にいつも言っていた」
「どの様な山もでありますか」
「登っていけば必ずだ」
「頂上に辿り着ける」
「それが出来る」
 こう言うのだった。
「必ずな、そしてな」
「今こうしてでありますね」
「辿り着く、そして頂上に着いてだ」
「十人目の仲間に」
「会う」
 そうするとだ、英雄は強い声で言い切った。
「これからな」
「それでは」
「頂上に行くぞ」
「わかったであります」
 峰夫も他の面々も頷いた、そうしてだった。
 一行はさらに頂上に向かった、そうして半刻程歩き。
 遂に頂上に着いた、そこはのどかな庭園を思わせる場所だった。夕子は頂上のその状況を見てこんなことを言った。
「意外とですね」
「整っていますね」
 謙二がその夕子に応えた。
「雑然としておらず」
「お池や木々があって」
「石の置き方もいいです」
「まるでお庭ですね」
「はい」
 まさにとだ、夕子は謙二に答えた。 
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