レーヴァティン

「そうだな」
「このことは間違いないでありますな」
「それが仙人だ」
　女なら仙女だがそうした者達だというのだ。
「だからな」
「わし等もでありますな」
「山の奥深くにだ」
「これより入り」
「そしてだ」
「会うでありますな」
「そうする、しかしな」
「しかしとは」
「魔物もいる」
　山の中にはというのだ。
「だからな」
「承知しているであります」
　峰夫は英雄の今の言葉に笑みで応えた。
「こうした場所にもまた」
「魔物はいる、しかしこの辺りの魔物は」
「噂に聞いたところでありますが」
「本土とはまた違う様だな」
「その様でありますな」
「さて、どういった魔物が出て来るか」
　幸正は己の武器である海彦の銛を構えつつ言った。
「楽しみだな」
「何が出て来てもだ」
　英雄もまた己の神の道具を見つつ言った。
「倒してだ」
「そしてだな」
「進む、十人目がいるその場所までな」
「山の頂上とのことだが」　
　幸正はその山の上の方を見た、今のはそのうえでの言葉だった。
「十人目がいる場所はな」
「聞いた話によるとな」
「本当にいるかどうか」
「それが問題だが」
「若しもだ」　
　幸正は英雄に顔を向けた、そのうえでの言葉だった。
「その十人目がだ」
「いなかったらというのだな」
「その時はどうする」
「その時は書き置きでも残しておくかだ」
「待つか」
「そうする、そしてだ」
　そうしたことをしてというのだ。
「何としても会う」
「山の頂上にいなくてもか」
「仙人なら普通に何処にでも行ける」
　八丈島の山の頂上にいながらというのだ。
「仙術で空を飛ぶなりしてな」
「そうしてだな」
「色々な場所にも行ける、それこそ雲にでも乗ってだ」
　久米仙人やそうした仙人を連想しつつだ、英雄は言った。
「何処にでも行ける筈だ」
「だからだな」
「いないことも普通に有り得る」
　最初からだ、英雄はその場合も考えていた。そのうえでの言葉だった。
「だがそれでもだ」
「いいんだな」
「そうだ」　
　こう言うのだった。
「俺達と同じなら仲間にすることは同じだからな」
「そして外の世界から来た奴なのはな」
「わかっている」
　最も重要なこのことはというのだ。
「ならばだ」
「ほぼ間違いないな」
「俺達がこれから会う女はな」
「十人目だ」
「そして俺達と共に戦う者だ」
　この島ひいては世界を救う、その運命を持っている者だというのだ。
「ほぼ確実にな」
「ならな」
「必ず仲間にする、ではな」
「魔物も倒しながらな」
「まずは頂上に行くぞ」
「わかった」
　幸正も頷いた、そしてだった。