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レーヴァティン

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第七十六話 ローマに行ってその八

「御前とは違う」
「やっぱりそうだよな」
「東の島は西の島と違う」
「文化も何もかもな」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「そこは違っている」
「そうだよな、魔物だってな」
「そちらの島ではモンスターというがな」
「そっちでは魔物だしな」
「種類も全く違う」
「そっちは日本の妖怪ばかりだな」
「霊の類もな」
 英雄はこちらの話もした。
「生霊や死霊が敵だが」
「あとがしゃどくろとかか」
「そうした連中だが」
「こっちはレイスとかファントムとかスペクターだな」
「そうした奴等が出るな」
「微妙に違うんだよな、どれも」
 レイス、ファントム、スペクターと名前が違うだけではないというのだ。どれも死霊と言えばそれまでだが。
「外見だってな」
「それも違うな」
「ゾンビも出るしな」
 久志はこのアンデットモンスターの話もした。
「弱いけれどな」
「映画やゲームと違ってだな」
「只の生きる屍だよ」
 文字通りのそれだというのだ。
「そっちの世界にも出るだろ、ああしたモンスターは」
「少し違うがな」
「生き骸とかいってたな」
「ゾンビと似ている様で違う」
 それが東の島に出て来る生き骸という魔物だというのだ。
「落ち武者の様な外見で然程腐っていない奴が多い」
「そこはゾンビと違うな」
「ゾンビはかなり腐っている奴が多いな」
「しかし生き骸は違う」
「大して腐ってなくてな」
「武器を持っていたりもする」
「それで弱いんだな」
 ここで久志はこうも言った。
「あれだな、生きていた時の方がか」
「強い」
「そうなんだな、本当に魔物も何かと違うな」
「人魚もな」
「ああ、マーメイドな」
「そちらではそう言って上半身は美形だな」
「そっちだと猿みたいな顔っていうな」
「そうだ、人魚も違う」
 今久志が言った通りにというのだ。
「顔以外は人間のものだがな」
「その顔がか」
「猿みたいだ」
「日本の人魚だな」
 その肉を食うと八百年生きられるという人魚だ、西洋の人魚にはそうした伝承はない様である。ただ肉に毒があるという話は本来は日本の人魚にもない。
「本当に」
「ただ食って長生きする話はな」
「そっちの島にはないか」
「聞いていない」
「あれか。死んでも復活出来る世界だしな」
「術でな」
「それで天寿を全うできるならな」
 それならとだ、英雄も納得して言った。
「それじゃあな」
「長寿もな」
「普通に出来るしな」
 その天寿までだ。
「それじゃあな」
「八百年生きるということもな」
「興味がなくなるな、それでか?」
「そうかもな、ただこちらの世界の人魚も好戦的ではない。それにだ」
「ああ、その人魚とは別にな」
「下の世界には様々な人間以外の種族がいてな」
「人魚族もいるらしいな」
 久志もこう応えた。
「どうやらな」
「その様だな」
「あれはな」
「凄いか」
「凄いっていうかな」
 むしろという言葉だった。 
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