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戦国異伝供書

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第十六話 天下の大戦その三

「あの城を軸として」
「播磨で防ぐのじゃ」
「そして戦に手出しはさせぬ」
「そうする」
 都、そして本願寺での戦が長引けばというのだ。
「そして両方を収めてからな」
「毛利攻めですか」
「どちらにしてもじゃ」
「まずは都と本願寺ですな」
「中の憂いを消してから外を攻める」
 これもまた信長の考えだった。
「そうしてじゃ」
「敵をですな」
「あらためて攻めていくぞ」
「わかり申した」
 黒田も異論なく応えた、そしてだった。
 秀長がだ、こう信長に言ってきた。
「最も警戒すべきは武田家ですが」
「あの家じゃな」
「はい、前の様にまずは徳川殿に向かうでしょうが」
「竹千代もこの度は迂闊には動かぬ」
 信長は秀長に家康のことを話した。
「だからな」
「もう、ですか」
「うむ、下手に攻めぬわ」
「守りに徹されますか」
「そして武田を足止めしてくれる、徳川家の力は弱いが」
 武田家と比べてだ、二百四十万石と五十万石では比較にもならない。信玄にとっては何でもない様に見える。
 しかしとだ、信長は言うのだ。
「だがな」
「徳川殿もお強いですな」
「三河武士は強い、しかもどの家よりもまとまっておる」
 家康の下にというのだ。
「将兵達が一つになっておるわ、だからな」
「一旦守りに入れば」
「あれだけ強い家はないわ」
 そこまでのものだというのだ。
「だからな」
「竹千代殿については」
「安心してよい」
「左様ですな」
「うむ、あ奴が防いでくれる間にじゃ」
 まさにその間にというのだ。
「我等は必ずじゃ」
「毛利家を降し」
「今度は東に向かう」
 そうするというのだ。
「一気に戻ってな」
「そのうえで」
「今度こそ武田と上杉を降し」
 そしてというのだ。
「北条も降しな」
「西国に加えて」
 即ち山陽と山陰、毛利家が領地としている国々だ。
「甲信、北陸にな」
「関東もですな」
「手中に収める、そうなればじゃ」
 そこまですればというのだ。
「既に天下の大半であろう」
「統一は成ったも当然ですな」
 荒木が鋭い目で言ってきた。
「その時こそ」
「だからじゃ、この度で一気に降すぞ」
 本願寺だけでなく諸大名達もというのだ。
「そしてじゃ」
「そのうえで」
「天下布武を定める政を行う」
 天下の大半を手中に収めてからはというのだ。
「そして残りの国々もな」
「やがては」
「降して統一じゃ、その統一を決めるのが」
「この度ですな」
「それだけに全ての戦に勝つ」
 信長は家臣達に強い声で述べた。 
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