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戦国異伝供書

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第十六話 天下の大戦その二

「公方様がわしにどうこうされる様なな」
「そうしたことはですな」
「思いもしなかった」
 そうだったというのだ。
「それでじゃ」
「だからですな」
「この度のことは恨めしい」
 義昭の挙兵はというのだ。
「わしの目がおかしかったか」
「しかし公方様を擁していなければ」
 林が信長に難しい顔で述べた。
「当家はです」
「今に至っておらんな」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「これまでのことをよしとして」
「これからか」
「そうです、公方様の挙兵にです」
 林は信長にさらに話した。
「応じていきましょう」
「そういうことじゃな」
「公方様は何もわかっておられぬので」
「わしに兵を向けられたか」
「ならばそれに対してです」
 そのうえでというのだ。
「こちらもです」
「兵を向けてじゃな」
「降しましょう、こうなっては仕方ありませぬ」
「よし、ではな」
「まずは」
「都を安らかにし」
 義昭の挙兵を鎮圧してというのだ。
「そしてじゃ」
「本願寺ですな」
「その様にしていく」
 兵を進めていくというのだ。
「そしてじゃ」
「毛利ですな」
「山陽から攻める、そして毛利を降せば」
 それからのこともだ、信長は家臣達に話した。
「大返しをするぞ」
「西国からですか」
「一気にですか」
「そうじゃ」
 石田と大谷にも答えた。
「東に向かってな」
「そしてそのうえで」
「武田、上杉、北条とですか」
「戦う」
 これが信長の考えだった。
「軍勢を進めやすい為に道を整えておったが」
「これまでも役に立ってきましたが」
 万見が言ってきた。
「この度は」
「特にじゃな」
「少なくとも播磨から尾張までです」
 毛利家との戦が終わり武田家との戦になることを考えてだ、万見は述べた。
「進めますな」
「道が整っておる分な」
「都まで戻りそこから
「武田に向かうにも上杉に向かうにもな」
「どちらもですな」
「進める、無論加賀も美濃の東も守りを固めよ」
 どちらもというのだ。
「蟻一匹通さぬ様にせよ」
「その様に伝えまする」
 竹中が軍師として答えた。
「すぐに」
「その様にな、そして守りを固めてな」
「敵を攻められぬ様にして」
「こちらを攻める、まず都を収め本願寺を降すが」
 最初のこの時はというと。
「長引く場合毛利が攻めてくる、その時はな」
「姫路城ですな」
 黒田官兵衛が言ってきた、もう姓は変えている。 
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