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オズのエリカ

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第七幕その六

「猫の国ではないでしょ」
「そうした意味での猫ね」
「犬の国も鶏の国もあるのに」
 このオズの国にはというのです。
「けれどね」
「猫の国はないし」
「私も女王様になりたくてね」
「それでなのね」
「建国したくてここまで来たのよ」
 グリンダの許可も貰う為にというのです。
「そういうことなのよ」
「わかったわ、ではね」
「今から場所を選ばせてもらうわ」
「待って、もう夕方よ」
 アンは早速と言うエリカにこう忠告しました。
「だからね」
「それでなの」
「それは明日からにして」
「今日は休めっていうのね」
「ええ、夕食を食べましょう」
「それなら一緒に食べましょう」
 グリンダはアンが夕食と聞いてこう誘いをかけました。
「私もこれからだし」
「宜しいですか?」
「ええ、それとね」
 さらにお話するグリンダでした。
「お風呂も入ったらいいわ、お部屋もあるからベッドで休んで」
「何から何まですいません」
「いいわ。私もおもてなしが好きだから」
 それでと答えたグリンダでした。
「皆で楽しんで」
「そうさせてもらいます」
 アンも応えてでした、一行はグリンダのおもてなしを受けてそうして楽しい一夜を過ごすことになりました。
 夕食はロシア料理でした、ボルシチやピロシキに濃いサラダに鱒のフライそして茸料理にとても脂っこい肉料理です。
 それを前にしてです、グリンダは皆に言いました。
「では楽しんで食べてね」
「はい、ボルシチにはビーズも入っていて」
 ナターシャはそのボルシチを見てにこにことしています。
「本格的ですね」
「何か色々あって」
 カルロスはその沢山のロシア料理を見て言いました。
「どれから食べればいいかわからないですね」
「一度に一杯出ていて」
 神宝もそのお料理達を見ています。
「果たしてどれを食べようか迷います」
「フルコースみたいに一品ずつじゃなくて」
 恵梨香も迷っている感じです。
「こうして一度に出されると」
「本当に迷いますね」
 ジョージも言いました。
「果たして何から食べるべきか」
「迷う必要?ないでしょ」
 エリカは五人にあっさりと答えました。
「別に」
「あれだよね、一番食べたいものをだね」
「食べればいいのよ」
 これがエリカの言葉でした。
「どうせ皆食べるだし」
「それでだね」
「もうその目に入ったものを」
 まさにそれをというのです。
「食べればいいのよ」
「それだけなんだ」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「あんた達は好きなものをね」
「目に入ったものを」
「食べればいいから」
「それじゃあ」
「そう、迷うことはないから」
「好きなもの、目に入ったものを食べて」
「その次を食べればいいのよ。迷うことなんてね」
 それこそというのです。 
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