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オズのエリカ

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第七幕その二

「城下町なのって」
「壁に囲まれてなくてお城を囲んでいる街って」
 カルロスも微妙な感じです。
「日本だけじゃないかな」
「グリンダさんの宮殿の傍の街も壁に囲まれてるよ」
 神宝はその街のことをお輪しました。
「今の外の世界は城壁はないけれどね」
「けれど街はそうしたものだっていう考えはあるから」
 ジョージのお国のアメリカでもです。
「日本はそうじゃないんだって聞いてこれも日本なんだって思ったよ」
「日本ってそうしたことからも不思議な国ね」
 アンの口調はしみじみとしたものでした。
「そんな街なんてね」
「けれどそんな街も面白いわね」
 エリカはこう言いました。
「私も猫の国はそうしてみようかしら」
「城下町にするの?」
「どうかしらね、気が向いたらね」 
 その時はとです、ジョージに答えるのでした。
「そうしようかしら」
「城下町にするんだ」
「壁は必要かしら」
 街を囲んで街をお城にしているそれはというのです。
「やっぱり」
「じゃあオズの国でもそうである様に」
「外の世界と同じ街になるわね」
「エリカも元々アメリカにいたしね」
「街は壁に囲まれているお城って思ってるわ」
 この認識は強くあります。
「私にしてもね」
「じゃあどうしてもだね」
「街があったら」
 それこそというのです。
「城壁で囲んで」
「国にもしたいんだね」
「そうも思っているけれど」
 それはというのでした。
「どうかしら」
「まあそこはエリカの好きにしたらいいわ」
「私の国になるから」
「そうしたらね」
「じゃあそうするわね、しかしオズの国には日本もあるけれど」
 この国のお話もエリカでした。
「面白い街だったわ」
「あの街は大阪なのよ」
 アンが言ってきました。
「日本のね」
「そのことは聞いてるわ」
「それでああしてね」
「たこ焼きとかお好み焼きがあって」
「通天閣や住吉の大社があってね」
「大阪城もあるのね」
 このお城もというエリカでした。
「随分と恰好いい塔がある」
「そうなのよ」
「あのお城も街に囲まれてるしね」
「昔は違ったそうだけれどね」
「あら、どうだったの?」
「昔はもっともっと大きなお城で」
 それでというのです。
「日本ではそうそうなかったそうだけれど」
「城塞都市だったの」
「そうでもあったらしいけれど」
「今はああなの」
「そう、小さくなってね」
「街に囲まれているのね」
「そうなったのよ、あと多分あんたが言う塔は」
 それはと言うアンでした。
「お城の真ん中にある立派な建物よね」
「あの青緑の屋根のね」
「その青緑は瓦で」
 アンはエリカにさらにお話していきます、赤い世界の中に囲まれている黄色い煉瓦の道を進みながら。
「あの建物は天守閣っていうのよ」
「あっ、そういえば宮殿で一番見事な塔は天主っていうわね」
「日本ではそう呼ぶの」
「天守閣って呼ぶのね」
「ええ、あれは天守閣よ」
 エリカが塔と呼んだそれはというのです。 
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