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オズのエリカ

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第五幕その三

「おわかり頂けたでしょうか」
「それはね」
「はい、それでなのですが」
「何かしら」
「私は見ての通りピエロです」
 笑っている表情にしているメイクの顔での言葉でした。
「そしてピエロは芸をするものです」
「それを今考えていたのよ」
「私がどういった芸をするのかをですね」
「どういった芸をするピエロなのかをね」
「はい、私は言うのです」
「言うのが芸なの」
「そうです、ピエロは芸を見せておどけて人気を得ますね」
 それがピエロというのです。
「そうですね」
「心があると面白いものが好きだからね」
「はい、おどけて惚けてです」
 そうしてというのです。
「人気を得ます、そして表情もです」
「それもなのね」
「この通りです」
 自分のお顔を指さして言うピエロでした。
「笑っていますね」
「にこりとね」
「そう見えますね」
「ええ、誰がどう見てもね」
「ですが」
「ですが?」
「おどけて惚けてです」
 そしてというのです。
「笑って見えていますが実は」
「あっ、わかったわ」
 エリカはここでピエロが言わんとしていることを察しました、そしてそのうえでこうピエロに言うのでした。
「それは芸であってね」
「はい、演技なのです」
「そしてその笑顔もね」
「塗っているだけです」
 メイク、それをしているだけだというのです。
「果たしてその実は」
「わからないわね」
「そして人気を得れば生きものはその言葉を信じますね」
「そうなるわね」
「それがどんな言葉でも」
「人も私達獣も好きな相手の言葉なら信じるわ」
「そうです、しかしです」
 その好きな人の言葉を信じることもというのです。
「その人の本心はどうか」
「ピエロの本心は」
「それはおわかりでしょうか」
「笑顔で言っていても」
「その笑顔は真実か」
 エリカに問う様にして言うのでした。
「本心は何か」
「それはわからないのね」
「例えばです」
 ここでピエロは旗を出しました、小さなそれぞれの色の旗が二十七枚万国旗の様に上にある糸につるされています。
 そのうちの一つを指示してです、こう言うのでした。
「私がこのうちの一枚を集まりから外せばいいと言う」
「私がそうすべきと思うか」
「はい、貴女はどう思いますか?」
「別にいいでしょ」
 エリカはピエロにすぐに答えました。
「一つに集まっているなら」
「このまま一緒で、ですね」
「ええ、一枚だけだと寂しいでしょうし束ねていないから」
 その糸にです。
「その一枚簡単に失ってしまいかねないわよ」
「そうなってしまいますね」
「だからそこにある旗は一緒にあるべきよ」
「それは私が貴女と初対面だからですね」
「それであんたのことを知らなくて」
「それで私のことをご存知なく」
 その為にというのです。
「私への好き嫌いはないですね」
「ええ、全くね」
「私が好きならばどう思われますか?」
「私がその一枚の旗を外す様に言えば」
「信じられますか?」
「そうね、生きものは好きな人の言葉を信じるからね」
「その時はですね」
 エリカに尋ねるのでした。 
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