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永遠の謎

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131部分:第九話 悲しい者の国その四


第九話 悲しい者の国その四

「ですから何があろうとも」
「彼と共にいるのだな」
「はい、そうします」
 こう話すのだった。
「私はそうしなければ生きていられません」
「では。そうするのだ」
 公爵はここで遂に折れた。
「陛下のしたいようにだ」
「はい、それでは」
「例え何があろうとも」
 これは王への忠告に他ならなかった。
「彼を決してな」
「そうします」
「それならばいい」
 切実な顔で王のその美麗な顔を見て告げた。
「王室のことは私が見よう」
「申し訳ありません」
「一つ言っておく」
 そしてだった。王にまた告げたのだった。
「私は最後の最後まで。何があろうとも陛下の為にいる」
「有り難うございます」
「そうさせてもらうからな」
「それでなのですが」
 ここでだ。王は微妙な顔になりだ。叔父である公爵に対して自分から言ってきた。
「オットーですが」
「あれのことか」
「叔父上はどう思われますか」
 怪訝な顔になっていた。
「最近の弟は」
「危うくはないだろうか」
 公爵はここでも心配する顔を見せた。
「どうもな」
「叔父上もそう思われますか」
「時折突拍子もないことを言い出すようになってきたな」
「まさかあれは」
「いや、即断はできない」
 年長者としてだ。王のそれを止めた。
「だが。注意はしておこう」
「これからのことをですね」
「そうだ。オットーは王位継承の第一位だ」
「私に何かあればです」
「あれが王となる。だからな」
「その通りですね。何もなければいいのですが」
 王もだ。弟のことについて心から心配する顔になっていた。そうしてそのうえでだ。公爵と二人で彼について話をするのであった。
「落ち着けば」
「そうだな。それを願おう」
「よい医者は」
「医者か」
「誰かいたと思いますが」
 王がこう言うとだ。公爵はある人物の名前を出してきた。それは。
「グッデンか」
「グッデンというのですか」
「我が国の精神鑑定の権威だ」
 そうした人物だというのである。
「彼のことだな」
「何か。妙に気になる名前ですが」
 王はそのグッデンという名前にいぶかしむものを感じていた。そしてそのうえでだ。彼は公爵に対してこう話をするのであった。
「オットーよりも」
「というと?」
「私にとって。何か」
 こう言うのであった。
「引っ掛かるものを感じます」
「それはまたどうしてだ?」
「それが何故かはわかりませんが」
 自分ではわからない。しかしこう感じていたのだった。
 
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