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真田十勇士

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巻ノ百五十三 戦の終わりその十三

「それでよいか」
「はい、それでは」
「見せてもらおう」
 こう幸村に告げた。
「是非な」
「わかり申した」
 幸村も応えた、そしてだった。
 一同はさらに酒を飲み馳走を楽しんだ、その夜は心までそうしてだった。明け方までそうしていて。
 夜が明ける前に風呂に入ったがそこでだ、幸村は夜空を見て言った。
「これでじゃ」
「まさか」
「まさかと思いますが」
「巨星が落ちた」
 そうなったというのだ。
「今な」
「では」
「遂にですか」
「あの方が」
「そうなられた、これでもう完全にな」
 まさにというのだ。
「戦の世は終わったわ」
「ですか、長く続きましたが」
「長く続いた戦の世でしたが」
「それもですね」
「終わったのですか」
「あの方は戦国の世に生きられ戦国の世を完全に終わらせた」
 幸村はその星が落ちた空を観つつ十勇士達に話した。
「それ故にな」
「この度のことで」
「遂にですか」
「戦国の世は完全に終わった」
 終わらせた者が去ってというのだ。
「そしてな」
「これからは、ですか」
「真に泰平の世がはじまりますか」
「そうなるのですな」
「うむ、もう民達が戦に困ることはない」
 それから必死に逃げたりすることはなくなるというのだ。
「そしてな」
「民達は泰平を謳歌出来るのですな」
「待ちに待ったそれを」
「遂に」
「そうなる、そしてこれからはな」
 まさしくというのだ。
「長い泰平の世になる」
「戦の世は長かったですが」
「今度はですか」
「長い泰平の世になりますか」
「そうなるのですか」
「間違いなくな、そのはじまりじゃ」
 今のことはというのだ。
「それになる、そして報がな」
「やがて薩摩にも届きますか」
「この地に」
「そうなるであろう」
 十勇士達に話してだった、幸村は今は風呂に彼等と共に入った。そうして戦の世が完全に幕を下ろしたことを実感していた。


巻ノ百五十三   完


                 2018・5・1 
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