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空に星が輝く様に

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49部分:第四話 桜の木の下でその十二


第四話 桜の木の下でその十二

「伸びたいけれど」
「伸びたいのか」
「それでなの」
「そう、まだ伸びるかな」
 こう言うとであった。津島が言う。
「私は無理だと思うわ」
「無理なの」
「女の子の成長期って早いし」
 大体小学校高学年からである。この辺りから変わってくるのだ。
「私達の歳にはもう」
「終わるの」
「個人差があるけれどね。終わるから」
「じゃあ私はこのまま」
「言いにくいけれど」
 それでも言うのであった。
「諦めた方が」
「そうなの」
「まあ気にしない気にしない」 
 無理矢理こう言ってしまう津島だった。
「女の子はそれでもいいから」
「いいの」
「小柄な娘が可愛い娘がいるから」
 そうだというのだ。これは実際に好みなのでそうした男もいる。実際に椎名は顔立ちも整っている。美少女と言ってもいい顔立ちである。
「だから」
「だからなの」
「気にすることはないわ。あと斉宮」
「俺?」
「そうよ。あんたが贅沢なのは事実ね」
 彼への言葉はこれだった。
「それはね。断言できるわ」
「一八〇は欲しいって言ったわよね、今」
「ああ」
「それ贅沢だから」
 陽太郎を指差しながらの言葉だった。
「あんたもう一七五あるわよね」
「まあそれはな」
「それだけあれば充分じゃない。まあ狭山は無意味に背が高いけれど」
「俺だと無意味なのかよ」
「そうよ。変にひょろ長くて顔が長い印象を受けるのよ」
 狭山に対しても言うのであった。
「元々長い顔がね」
「人を茄子か何かみたいに言うなよ」
「まあそこまで顔は曲がっていないけれどね」
「それでも無意味かよ」
「それでバスケとかやるのならまだわかるけれど」
「バスケなあ」
 それを言われると首を少し捻っていた。お握りを食べながらそうしたのだ。
「嫌いじゃないけれどな」
「けれどあんた映研よね」
「ああ、そこだよ」
 所謂映画研究会である。そこに入ったのである。
「中学の時と同じでな」
「あんた映画好きよね」
「ドラマも好きだぜ」
 笑いながら話す狭山だった。
「そっちもな」
「そうだったわね、そっちも」
「そういうの観るの好きなんだよ」
 狭山の顔は笑ったままである。
「だからな。今日もな」
「部活?」
「そっちにも顔出させてもらってパソコンで観るんだよ」
「ドラマ?映画?どっち?」
「ああ、ドラマの方な」
 そちらだというのだ。
「そっち観ようって思ってるんだ」
「四月だから新しいドラマ一杯はじまるしね」
「だからな。まずチェックしないとな」
「それで面白そうなドラマある?」
「それを今から確かめるんだよ」
 そうするというのだ。
「帰ってからな」
「そうなの」
「最後まで観ないとわからないドラマだってあるしな」
 狭山はドラマについてさらに話す。
「まあそれはそれでな」
「いいの」
「観る価値はあるしな」
「成程ね。面白そうなのあったら教えて」
「ああ、そうするな」
「あっ」
 二人が話す中でふと椎名が声をあげた。
 
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