| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

真ソードアート・オンライン もう一つの英雄譚

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

インテグラル・ファクター編
  運命の始まり

 
前書き
よろしくお願いします 

 
「ついにβテストも最終日か……長いようで短かったな」
 
迷宮区を歩く俺は感慨に浸っていた。
俺の名前は《Ayato》世界初のVRMMORPG【ソードアート・オンライン】略して【SAO】。その発売前のβテスト版をプレイしている。
 
このβ版のSAOは全世界からの応募者の中から僅か1000人しかプレイ出来ないという難関大学もびっくりの倍率である。俺も軽い気持ちで応募したのだが、まさか当たるなんて思わず腰を抜かしたのを今でも覚えている。
 
俺自身この手のハンティングアクションゲームは「モン○ン」や「ゴッ○イーター」 をプレイして来てたので自信があった。が、流石はVR。自分自身が動いて攻撃する訳で、頭に身体が追いつかないのに絶望。ようやく慣れて来たのが一昨日で今日こそ攻略の手伝いをしようと迷宮区に入ったという感じだ。
 
「とりあえず、先に進んでる上位陣に追いつかなきゃな!」
 
俺は更に奥に進んで行くと、一人の女の子が立っていた。
 
「あ、あの!」
「あ!はい。どうしました?」
 
まさか声かけてくるとは思わなかった……。
 
「はじめまして。私、コハルっていいます。その突然なんですけど、私あまりゲームが得意じゃなくて、調べたりとかしても攻撃も躱されちゃたりしてて……最終日だから最前線の迷宮区に来たんですけど迷子になっちゃって!……図々しいと思うんですけど、戦い方を教えてくれませんか?」
 
「そういうことなら大丈夫。俺も慣れてきたばかりだったし一緒に練習しようか!」
 
「ありがとうございます!」
 
コハルはぱあっと顔を輝かした。
 
「あ、俺はアヤト。呼び捨てでいいし、タメ口で大丈夫だよ。よろしくね」
 
「うん!よろしく!アヤト」
 
俺とコハルは迷宮区を出てMobのいる原初の草原に行き、目の前の《フレンジー・ボア》相手に何度も練習した
。初めこそ尻餅ばかりついていたコハルも大分攻撃を当てられるようになってきた。俺も負けてられないな!
 
「コハル!そっちに行ったよ!」
 
「やあ!!」
 
コハルの細剣が上手く突き刺さってMobは消滅した。
 
「今の良かったよね!」
 
「ああ。尻餅付かなくなってきたしな」
 
「もー!それは言わないでよー!」
 
「ごめんごめん!」
 
俺たちは笑い合う。空は夕暮れのように赤く染まり、もうすぐ終わりのアナウンスが流れる頃だ。
 
「ねぇアヤト?」
 
「ん?どうした?」
 
コハルはメニュー画面を閉じて、こちらを向かないでいる。
 
「正式版でも一緒にプレイしてくれる?」
 
「おう!いいよ」
 
「ほ、ほんと?よかった。……じゃあ」
 
コハルは夕陽をバックに
 
「またね!」
 
それと同時に目を覚ます。
 
「『またね』か……」
 
俺は窓の外を見る。現実世界も夕暮れの空が広がり、コハルの最後の顔を思い出す。ナーヴギアを机に置き、再びベッドに体を預ける。
 
「悪くないな。こういうの」
 
俺はそのまま眠りに落ちていった。少し温かい気持ちだ。これがなんなのかは分からない。でも本当に悪くない。
 
 
 
 
それから2ヶ月
 
 
「リンクスタート」
 
 
「戻って……来れたんだな」
 
ジワジワと喜びの感情が溢れてくる。とりあえず、コハルに分かるようにβテストの時と同じ姿にしてあるけど、こうも人が多いと流石に探すのが大変だな。それに周りは女性アバターばかりだ。こんなコアなゲームで女性アバターが多いとは考えられない。こりゃあ大半はネカマだな。ん?中央にいるあの子はもしかして……
 
「コハル!」
 
「あ!アヤト!」
 
手を振るとコハルは走って来てくれた。
 
「待ち合わせ場所決めておけばよかったね!」
 
「そうだね」
 
「あのさ、早速なんだけど戦い方をまた教えて欲しいんだけど…….」
 
「おっけー。β版と違って時間はあるし、ゆっくり着実にいこうか!」
 
「うん!」
 
俺たちは早速《原初の草原》に向かう。草原には早速《フレンジー・ボア》が沢山いた。俺は剣を振る。おお!時間が経ってまた頭と身体が追いつかない残念な事になっちゃうかと思ったけど、どうにか感覚を思い出してきた。
 
「ちょっ!?きゃ!」
 
コハルはまた尻餅をついていた。相変わらず逃げるのはうまいんだけどなー。
 
「あれ?なんだか感覚がちょっと違う?」
 
「時間が空いたから感覚を忘れちゃったんだと思う。じゃあ構えからまた練習しよう」
 
俺は片手直剣をしまい、細剣を出す。二人で突きの練習をしていると
 
「お二人さん初日から仲がいいねぇ!」
 
赤毛ロングのバンダナ男が声をかけてきた。
 
「俺はクラインだ!よろしくな」
 
「俺はアヤト。こちらこそよろしく」
 
「コハルです。よろしくお願いします」
 
一通り挨拶を交わす
 
「見たところバトルの特訓みたいだな!うーむ。アヤトは問題なさそうだけど、コハルはモーションが根本的にわかってねぇようだな。ここはキリト先生にご教授願おうか」
 
「「キリト……先生?」」
 
クラインについていくと、今度はアシンメトリーな髪型の男が居た。この人がキリトって人らしい。とりあえず各々自己紹介して早速見てもらう。
 
「じゃあコハル。ちょっと構えてもらってもいいかな?」
 
「は、はい!」
 
キリト先生によるコハルのモーション矯正が始まった。俺とクラインはソードスキルの練習をする。えーっと腰を据えてっと……おー!!出来た出来た!
 
「やるじゃねぇかアヤト!こりゃあ負けてらんねーな!……そりゃあ!」
 
「クラインもな!」
 
練習をしているうちに夕暮れになってきた。もう5時だな。
 
「おっともうこんな時間か。そろそろ落ちるわ!アツアツのピザが待ってるからよ!キリト達はどうする?」
 
「俺も落ちるよ」
 
「私はアヤトとキリトさんに教えてもらったことを復習してから落ちようと思います」
 
「そっか!キリト色々あんがとよ!二人もまた会えたら狩りに行こうぜ!」
 
「私もありがとうございました!もうこれで尻餅つかなくてすむかも」
 
「俺からも礼をいいます」
 
クラインはメニュー画面を出してちょっと弄ると突然動きが止まる。
 
「あれ?ログアウトボタンがねぇな?」
 
「「「え?」」」
 
ゴーン ゴーン ゴーン
 
するとどこからか鐘の音が聞こえて……え?
 
 
 
 
《はじまりの街 転移門前》
 
「全プレイヤー集められたんじゃないか?」
 
「なんだか……怖い……」
 
コハルは俺の服の裾を摘む。それにしても…………空が……赤いな
 
WARNINGの文字が浮かび上がる。すると瞬く間に空一杯に広がり、そこから巨大な赤ローブを着た何かが現れた。赤ローブは自らを茅場晶彦と名乗りそして、世界は一変した。
 
 
 
 
これはーーゲームであって遊びではないーーー
 
 
何処で聞いたのか何処で見たのかは覚えていない。でも、俺たちはその言葉を痛いほど思い知る事となった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ふざけるな!!」
「ここから出せ!!」
「こんなのいやあああ!!」
 
恐怖でみんな混乱してる!こんな時に下手に動けば命取りになる……!コハルは!?
コハルは呆然と座り込んでいた。
 
「コハルっ!!」
 
「アヤト……。私達、もう帰れないの……?閉じ込められちゃったの……?」
 
ポロポロと涙を流すコハル。俺がここで慌ててはいけない。とりあえず今やるべきことは
 
「コハル……。まず落ち着けるところに行こう」
 
コハルの手を取り転移門前の広場から離れたところにあるベンチにゆっくり座らせる。本当にこれからどうしようか。ここにずっと籠る?そんなの嫌だ!こんなところで腐ってるぐらいなら俺も戦いたい!
 
「コハル落ち着いた?」
 
「うん……。迷惑かけてごめんなさい。こんなときしっかりしなきゃいけないのに……」
 
コハルは俯いてしまう。俺はポンと手をコハルの頭に乗せて優しく撫でる。
 
「こんな時だからだろ?迷惑なんかじゃないよ」
 
「ありがとう。アヤト」
 
コハルは精一杯頑張って笑顔をつくってみせる。
 
「こんな時に人助けとは余裕だナ」
 
「!?誰だ」
 
現れたのはフードを被った女性プレイヤーのようだ。
 
「アルゴだヨよろしくナ。まーそう警戒するなっテ」
 
飄々とした態度で近づくアルゴ
 
「私達はどうすればいいのか……外から助けは来ないんでしょうか?」
 
「その可能性は低いナ。プレイヤーが脱出出来なくなって大分経っているが、きていないダロ?つまりそういうことダ」
 
「俺たちは前に進みたい。こんなところで燻るつもりは毛頭無い。どうすればいいのか教えてくれ」
 
ニシシとアルゴが指で円を作る。
 
「まずやるべきことは金を貯めるんダ。オマエ達は幸運だナ。今回はサービスで難易度低めで稼ぎのいいクエストと寝床を教えてやるヨ。ま、難易度低めのとはいえ油断は出来ないけどナ……」
 
「アヤト……」
 
コハルは俺の方を見る。俺に判断を任せるという事だろう。
 
「わかった。頼む」
 
 
 
 
 
 
翌日
 
「助けてくれぇぇえぇえ!!」
 
俺たちは《ダイアー・ウルフ》の討伐クエストをやっている。一匹一匹は弱い《ダイアー・ウルフ》だが、群れで行動しているため集まられると厄介だ。
 
「ギャッ……」
 
目の前の男性プレイヤーがやられてしまった。まずい!今の光景でコハルは怯えて動けなくなってしまってる!
ダイアー・ウルフはコハルに向かって飛びかかった。
 
「はっ!!」
 
俺はダイアー・ウルフの首を斬り落とし倒す。戦意喪失しているコハルの手を掴み、安全なところに避難する。
 
「さっきのプレイヤーさん達。本当に……し……死んじゃったのかな?」
 
「わからない。でもおそらくな……」
 
「血も出ないし怪我も無いのに……エフェクトで消えていくなんて……」
 
確かにあんなの普通の人間の死に方じゃない。これが『現実』だってわかってたのに俺は何も出来なかった……!
俺は拳を強く握る。
 
「アヤトは……平気なの?その……怖くないの?」
 
「……全て怖くないって言えば嘘になる。でも何よりこの世界に負けたくないって思ったんだ」
 
俺はコハルに手を伸ばす。
 
「強くなろうコハル。二人で最後まで生き抜く為に!」
 
「でも私……アヤトみたいに強くないよ。アヤトの足手まといになっちゃうよ……」
 
コハルは俯く。
 
「そんなことないよ。コハルは今よりずっと強くなる。それに……さ。俺がこの世界で信用できるのはコハルかなってさ」
 
「うん……!私、強くなってアヤトにも負けないぐらい強くなる!その時は覚悟してね!」
 
俺たちは……
私たちは……
 
 
 
 
 
 
強くなる!!キミと一緒に!!
 
 
 
 
 
 
 
 
それからは俺とコハルは数々のクエストをこなし、着実に強くなっていった。コハルはもうMobを恐れず、尻餅もつかなくなっていった。拠点も移し、《トールバーナ》で宿を借りて転移門からはじまりの街に行ってクエストを受注するのが日課になっていた。
そんなある日。
 
「クエストの報告完了っと」
 
「これからどうしy『ぐぅ〜〜』……」
 
コハルのお腹から盛大に音が鳴った。
 
「そういや腹減ったな」
 
コハルは赤くなったままプルプルと震えている。あれ?あんまりフォローが効いてない?
 
「なんで仮想世界なのにお腹すくんだよぅ!すっごくイジワルな仕組みだよね!」
 
「ふふふっ」
 
ふと声が聞こえた。コハルの隣に座っている女の子のようだ。
 
「笑ったりしてごめんなさい。私はサチ。キミたちが楽しそうだからなんだか嬉しくなっちゃって。モンスターやクエストじゃない話を聞くと、なんだか落ち着くんだ」
 
「私はコハル。で、こっちはアヤトよろしくね。あなたは一人なの?」
 
「ううん。同じ高校……リアルの友達と一緒だよ。今は別行動だけどね。少しだけお話ししてもいいかな?コハルって結構噂になってるんだよ」
 
「私が?どうして?」
 
「私たちと同じぐらいの女の子なのに前線で頑張ってるすごい子がいるって」
 
「な、なんだか照れるな」
 
コハルは満更でもなさそうに頬に手を当てる。ホント満更でもなさそうに。
 
「そうだ。これよかったら食べて。みんなの分買っておいたんだけど、消滅しそうだから」
 
中身はサンドイッチだった。早速食べてみる。……なかなかイケる!
 
「そう言えばサチは友達と一緒に行かなかったのか?」
 
「……私怖がりだから。圏外に出ただけで足がすくんじゃって……。それなら敵と距離が取れる長槍を買う為にみんなが私のために稼ぎに行ってくれてるんだ。私……みんなに迷惑かけてる……」
 
「怖いのは当たり前だよ!少しずつ頑張ればいいんだよ!」
 
「コハルも怖いの?」
 
「今でもすっごく怖い。でも仲間がいるから頑張れる」
 
「……そうだよね。仲間がいれば私もいつかは……頑張れる気がしてきたよ」
 
「俺たちも手伝えることがあれば手伝いたい」
 
「そうだ!初めて会うMobの行動がわかったら戦いたいやすいんじゃない?私達で調べてくるよ!」
 
「え?……いいの?」
 
サチは申し訳なさそうに聞き返してくる。まぁサンドイッチのお返しとして行ってくるのも悪くないか。
 
「もちろんだよ。じゃあ早速行こうコハル」
 
「うん!」
 
 
それから俺たちはMobの動きを観察しながら倒しは次のMobを観察、倒しを繰り返してレベルは俺が13。コハルは12になった。
 
俺たちはサチが待つはじまりの街に戻ると早速レポートを渡した。
 
「うわぁ!これだけ詳しく調べてもらったらきっとみんな喜ぶよ。本当にありがとう!コハル!アヤト!」
 
「いいっていいって!なぁ?」
 
「うん!喜んでもらえてよかった!」
 
「そこのキミ達」
 
「ん?」
 
俺たちが振り向くと青髪の男が立っていた。
 
「キミ達は自分達で得た情報を公正に他のプレイヤーに伝えようとしている。おっと俺はディアベル。以後よろしく!」
 
「俺はアヤト。こっちはコハルだ。こちらこそよろしく」
 
「コハルです。よろしくお願いします」
 
「うんよろしく。この世界では知識が命を救うことが多い。これからもみんなを助けてくれ。後、今はフロアボスに挑戦する為のメンバーを集めているんだ。上の層に挑戦する意志があるなら明日トールバーナの街に来てくれ。期待して待ってるよ」
 
そう言うとディアベルは去っていった。フロアボスか……攻略の為には避けては通れない道だ。
 
「行こうコハル」
 
「わかった。アヤトが行くなら私も行く」
 
俺とコハルは頷き合う。
 
「ボス攻略に行くなら……絶対に生き延びてまた会おうね」
 
「うん!約束する!」
 
そうして俺たちはトールバーナの拠点に戻った。 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧