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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第百二十六話

ネコと姉と妹は風呂に入る事にした。

三人でだ。

織斑家の湯船はシングルサイズベッドより少し大きいくらいだ。

シングルサイズベッド、と聞くと小さいように思えるが、実際はかなり大きい。

なお備え付けたのはネコとウサギだ。

三人が脱衣場で服を脱ぐ。

ネコは小学生程の背丈しかないが、その体は鍛えあげられ、程よく筋肉がついていることがわかる。

妹は無駄な肉のないスラリとした体で、どう成長しようと異性同性関わらず引き寄せるだろうことがうかがえる。

姉はメリハリのある体つきに、うっすらと割れた腹筋など、女として魅力的でありながら所々に見える男らしさがアクセントになっている。

「お姉ちゃんって、かっこいいね」

「悩みは私よりかっこいい男がいないことだ」

ナルシスト的な発言だが、ISパイロットの大半が抱える悩みでもあった。

「お兄ちゃん……は可愛いだもんね」

「やかましいぞ円香」

一夏がプイッとそっぽを向くと、ほどいた長髪がふわりと舞う。

「ねぇお姉ちゃん。私よりお兄ちゃんの方が可愛い気がする」

「うむ。私よりは確実に可愛いだろうな」

「ねぇ、さっさとはいろうよ。いつまで脱衣場ですっぱだかでダベる気?」

耐えかねたネコが浴室に入る。

「んー…さきに姉さん洗うから円香は入ってて」

「ん」

円香が体を流し、湯船に浸かる。

「なんだ?洗ってくれるのか?」

「うん。たまには、ね」

ネコは風呂場にあるボディタオルを手に取る。

「箒とシタときみたいなのは無しで頼むぞ」

姉は冗談交じりにネコとサキュバスが風呂でイタしていた時の事を持ち出した。

「なんで知ってるの?」

ネコがボディタオルを取り落とした。

「……………ぁ」

「吐け」

「いや、その、なんだ、あれだ…うん…」

「しょうじきに言わないとリリムキッスを使ってからすでで姉さんを洗います。
10、9、8、7」

十本の指をゆらゆらと動かしながらカウントダウンをするネコに姉はたじろぐ。

「待て待て、言う!言うからそれだけは!」

「おら、はけ」

「あ、あんまりにも煩かったから気になって…、その…カンファレンス経由で…」

普段の戦乙女もかくやという姉がぽしょぽしょと話す。

「トヨタマの奴わざとかクソっ。
まぁ、いいや、洗ったげるから座って」

「う、うむ」

姉を座らせたネコは、丁寧に丁寧に姉の髪と体を洗っていく。

「……」

「ゅ? どうかしたの姉さん?」

「いや、こうするのも久しぶりだ、とな」

「んー…さいごに姉さんとおふろに入ったのいつだっけ?にねんまえくらい?」

「ああ、そうだな…」

「姉さんが神社からでてってから、濃かったね。
二回のモンドグロッソと、それにふずいする事件」

モンドグロッソは金が動く。

無論。人の欲望が絡み付く。

「簪が誘拐されたり俺が誘拐されたり。
『淀み』と戦ったり奏を調伏したり。
PMCをぶっ潰したりFTのマッドをぶっ殺したり」

「そのどちらも、私は間に合わなかった」

「なに?まだきにしてたの?」

「ああ、全て私が発端なのに、私は何も知らなかった」

「どっちもおれがかってに首をつっこんだだけさ。
それに第1回のことは、更識へのほうふく目的もあったらしいよ」

「報復…か…」

「詳しくはしらないけど束さんがいってた。
流すよ」

シャワーで姉にお湯をかけるネコ。

それを湯船の中からじっと見つめていた妹が気になった事をネコにたずねた。

「お兄ちゃん。自分の髪より短いのに同じくらい時間かけるんだね。
これが束お姉ちゃんのいってた『ふぇみにずむ』?」

「いや、そういうつもりはないけど…」

「お兄ちゃんは私が髪伸ばしたら時間かけてあらってくれる?」

「もちろん。でも自分でも洗えるようにならないとダメだからな」

「一夏の言う通りだぞ円香」

そう言いながら、泡を流した姉と妹が交代する。

風呂椅子に座った妹が一言。

「お兄ちゃん。やさしくしてね?」

対するネコと姉は…

「姉さん」

「わかった。明日会ったら束をぶっ飛ばすんだな?」

顔を見合せうなずいていた。

「?」

ネコは何時ものように、ここ数日と同じように妹の髪を洗う。

「はふぅ~」

「きもちいか?」

「うん」

「お兄ちゃんって自分のも他のひとのも洗うの上手だね。
お姉ちゃんは下手なのに」

「あー…俺がじんじゃでくらすようになって始めてしかられたのはマナーとかじゃなくて髪のあらいかただったからなぁ」

「くくっ…あの時の柳韻さんのポカンとした顔には私も束も笑った物だ」

湯船の縁に頬杖をつく姉が笑いながら言った。

「まぁ、そんなわけで髪のていれに関してはほかのどの男にもまけない自信はある」

「神事の際の化粧も、だろう?」

「あんまりいわないでよ姉さん」

「お兄ちゃんお化粧するの?」

「一年に二三回はな」

妹はネコの言葉を理解できなかった。

「どうやってお化粧するの?」

「は?どうやって?そりゃもちろん…」

「お兄ちゃん、鏡に映らないのに?」

浴室を沈黙が包み込んだ。

姉はネコと妹の正面の鏡を見た。

だが曇っていて何も見えない。

姉がお湯を掬い、鏡にかけた。

曇りのなくなった鏡には、妹の姿しか写っていなかった。

「どう?うらやましいでしょ?
後ろからいたずらしほうだいだよ」

ネコは何て事のないように話す。

事実、ネコは気にしていない。

「体なんてただのいれものだよ。俺はきゅーけつきだけど、心はきゅーけつきになれない。
俺を俺たらしめるのは、俺のこころだけだ」

「我思う、故に我在り。か?」

「そう。コギト・エルゴ・スム」

姉が持ち出した名言にネコが頷く。

「円香。お前の兄をよく見ておけ。お前も自分は自分であると胸を張って言えるような人間になれ」

「姉さん。はずかしいからやめて」

そう言いつつもネコの尻尾は嬉しそうにくねくねと動いていた。

姉に褒められてネコは照れていた。

頬の赤みは浴室の熱気のせいだけではない。

照れながらもネコは丁寧に妹の髪と体を洗い終えた。

妹と姉が湯船に浸かりながら、ネコがその長い髪を手入れする様子を見ていた。

「むぅ…束は毎日これを見れるのか…」

「どうしたのお姉ちゃん?」

「なんでもない」

ネコが自身の髪を洗う姿は美しかった。

小柄な体躯、鍛えられた筋肉、幼女のような顔つき、腰まで伸びる長髪。

ひどく混沌とした美がそこにはあった。

「一夏。修学旅行で襲われないよう気を付けろよ」

「修学旅行? たぶんいかないけど?」

「は?」

「しょーがっこーの修学旅行も俺と箒休んでたし」

「待て!初耳だぞ!」

「いってないもん」

姉が声を荒げるが、ネコは平然と答える。

「しょーがっこーの修学旅行きょーとだったけど、あんな狙われやすいばしょ行くわけないじゃん。
『家の都合』ってりゆーで休んだよ」

ネコはサキュバスを大切にしていた。

そのネコがサキュバスを危険な場所に連れていく事を許すはずがない。

「だからまぁ、ちゅーがくも修学旅行は行かないとおもう」

「そうか…」

「そのぶん家でずっと箒とイチャイチャしてた」

「それは私への当て付けか?」

「ゅ? なんで?」

「なんでもない」

ネコが体を流し、湯船に浸かる。

「はにゃ~…ごくらく~…」

それを当然のように姉が引き寄せ、自身の膝の上にのせた。

「ふみゅぅ?」

姉はネコのへその辺りで手を組む。

姉に包まれたネコは安心しているのかふにゃっと力を抜く。

目を細め、口元を緩め、完全にリラックスしていた。

姉弟という、甘えられる関係。

恋人であるウサギやサキュバスとは別ベクトルの甘え方。

完全に心を許し、自身の心も体も…その全てを明け渡すような行為。

何もしなくてもネコは時折甘えた鳴き声を出す。

「ふみゅぅぅ~…」

やがてネコが船を漕ぎはじめた。

「一夏、そろそろあがるか?」

「みゅー…」

「寝ぼけてるな…」

姉妹はうつらうつらしているネコを湯船から出し、浴室を後にするのだった。
 
 

 
後書き
ガンダムのSS書き初めました。 
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