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戦国異伝供書

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第六話 都への道その一

                第六話  都への道
 織田家はあらゆる政を行っていた、それは道を整えることもであり山内は今大和の道を整える政にあたっていた。
 そこの奉行を務める中で彼は共に働いている堀尾に言った。
「いや、道もな」
「うむ、あらゆる国でな」
「整えられていっておるな」
「殿がそうされよと言われてな」
「そうじゃ、川に橋もかけてな」
「そうしてじゃ」 
 堀尾もこう言う。
「人の往来をよくしておる」
「そしていざという時に軍勢も通りやすい様にな」
「あらゆる国の道を整えておられる」
「主な道だけでなくな」
「あらゆる道をな」
「ここまで整うとのう」
 山内は今は郡山にいる、その地面において堀尾に言うのだった。
「まことに何があってもな」
「すぐに大軍を送れて対することが出来るのう」
「そしてじゃ」
 山内は無意識のうちにある方を見た、それは信貴山の方だった。
 そちらを見るうちに睨む顔になってそのうえで堀尾に問うた。
「どう思うか」
「言わずともであろう」
 堀尾もそちらを睨んでから山内に応えた。
「あの御仁が何をしてもな」
「すぐにな」
「あの城に大軍を送り込めるわ」
「そうじゃな」
「お主もあの御仁は嫌いじゃしのう」
「お主と同じじゃ」
 松永を危険視し隙あらばと考えていることはというのだ。
「それはな」
「そうじゃな」
「だからじゃ」
 それでというのだ。
「わしもじゃ」
「隙があればか」
「すぐにじゃ」
 まさにその時にというのだ。
「背中からでも切るわ」
「そいうことじゃな」
「何時何をするかわかったものではないわ」
「だからじゃな」
「この大和だと信貴山じゃ」
「あの山にいる御仁こそな」
「大軍を送るべき相手よ」
 そう考えているからだというのだ。
「だからその為にもな」
「道を整えておくか」
「この大和でもな」
 まさにとだ、こう話してだった。
 二人で道普請の奉行として働いていた、それは吉野まで続くものであり。
 伊勢や摂津への道も整えられた、そして紀伊への道もだ。
 その細かい普請についてだ、今度は堀尾が言った。
「流石に吉野までは道も出来るが」
「うむ、そこから南はな」
「もう無理じゃな」
「殿も吉野までと言われたが」
「流石にのう」
「そこからは無理じゃ」
 道を通すことはというのだ。
「これはな」
「そうじゃな、しかしな」
「吉野までは通せる」
 そこまではというのだ。
「なら吉野まで道を通そう」
「そうしようぞ」
 このことも二人で話す、そうしてだった。
 彼等は信貴山城までの道も築いたがここで二人をその松永が笑顔で訪れたが二人も彼等の周りにいる者達もだ。
 一斉に険悪なものを出した、それで山内が彼に尋ねた。
「何の御用でありましょうか」
「いやいや、道普請にお励みなので」
「それで、でありますか」
「励ましに来たのであります」
「それには及びませぬ」
 山内は松永を睨み据えて彼に答えた。 
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