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汝(なれ)の名は。(君の名は。)

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プロローグ

 
前書き
この二次小説はフィクションです。歴史考証を大幅に捻じ曲げられていますので、ご了承ください。 

 
(なれ)の名は。

 どこかの小さな湖と川沿いの集落、冬守とよばれる地域。
 時は神代(しんだい)、まだ神も国も定まらぬ最中の出来事。
 最近になり頻繁に朝廷(ちょうてい)を名乗る者の使者が訪れ、神である朝廷の家臣として仕え、朝貢をするよう勅令が下っていた。
 神武天皇以前の、統一される前の日本本土内陸の話。

 冬守寄合所、藁ぶきの高床式住宅。村の長老や豪族が集まって話しあっていた。
「我らは出雲の神に仕える者、見も知らぬ朝廷に下るなどあり得ぬ」
「いや、既に出雲では神々は敗れ、建御雷神(タケミカヅチ)と呼ばれる男に建御名方(タケミナカタ)神が両腕を潰され、社にも火を放たれ社稷を砕かれ、諏訪まで逃げて臨時に(まつりごと)を行っておるそうではないか?」
「出雲でも国譲り(侵略、簒奪)が行われ、民は朝廷に屈し、税と呼ばれる貢物を捧げることによって無病息災、立法と呼ばれる制度で護国豊穣(インフラせいび)を与えられると言う」
「奴らが唱える新たな神で巫女、数世代目の姫巫女(ヒミコ)天照(アマテラス)を頂き、天下に覇を唱え牛耳を執らんとしておるそうじゃ」
(注、卑弥呼とは、中国から卑しい者として、匈奴、吐蕃、女真、朝鮮(朝貢の貢物が(すくない))、などのように、呼称に卑しい文字や動物名を一文字入れて蔑むのが中国スタイルである、日本語ではない)

「奴らは高天原(タカマガハラ)なる場所より来た渡来人。聖櫃なる物と神より与えられし十戒を奉じ、鉄と呼ばれる青銅よりも固い剣を振るい、さしもの出雲の神々も、今世の大国主命も国を譲った(滅ぼされた)そうじゃ」
 高天原(タカマガハラ)とは、天神にも似た技術や医術を持ち、鉄器の製作や米麦の収穫方法も知る渡来人が、中国の亡国から、もしくはユダヤの地から失われた十氏族が移動して、黒潮に乗って海の果てである極東、伝承通りなら淡路(おのころ)島に辿り着いたとも言われる。
 数千年前、ヘブライ語を話す集団が九州や日本本土に上陸し、神にも似た様々な技術を持って入国して、肥沃な火山灰の上に生活基盤を作り、人数を増やして各地を制圧し始め、数世代が経過していた。

 日ユ同祖論と言われる、聖櫃と神輿の共通点。感謝の言葉「アリガト」、意味不明の掛け声、「ヨイショ」は「主よ助けたまえ」、「ワッショイ」は「神が来た」、「ヤーレン ソーラン」は「神が答えてくださった」。
 門を鳥居(トリイ)と呼ぶ言語の共通点、ヒラクティリーと山伏の兜巾、現代にまで続くカタカナやひらがなと単語の意味の重複。
 他国に逃れた士族は土着の言語と文字に飲まれて失われてしまったが、それまで文字や共通の言語を持たなかった日本では、この場に書ききれないほどヘブライ語との共通点が存在する。
 そして、エルサレム神殿、ユダヤ教のシナゴーグの門には、天皇家と同じ16弁の菊花紋が刻まれる。
 三種の神器の一つ、八咫の(やたのかがみ)の裏側にはヘブライ語が記され、モーセが神にその名を問うた時の答「我は有て在る者なり」の文字があると言われる。

 弥生式土器に似た器と火を囲み、予言者の準備が整うのを待つ一同。
「おお、シヨウ様のお出ましじゃ」
 依り代や危険薬物によって神憑りになった巫女(シャーマン)が下す天啓を信じ、占いによって集落の運命を決めていた、暗愚で暗黒な時代。
 ローマ、中国では立法が行われ、城塞都市が立憲君主制によって統治され、ギリシャでは議会制民主主義が存在していた時代。
 日本ではまだシャーマニズムによる予言を元に小さな集落が統治されていた。
「静まれ、シヨウ様が神を降ろして、口寄せで天啓を賜る」
 過去の巫女で長老の一人、イチヨウが孫の代の巫女を連れて入場した。
 目隠しもして、天啓を得られる大麻や阿片の系統の薬草を与え、祈祷、口寄せを開始させる。
「出雲の神々よ、我らの行く末をお導き下され」
 イチヨウ婆様が芝居がかった声と動きで、神棚にひれ伏して願う。

 神道、つまり天皇制が日本各地にまで行きわたる以前なので、白装束や赤い袴などは存在しない。
 全員が貫頭衣のような、綿製品で染色もされていない貧しい身なりが普通。
 藁で作った上着、雨具、紐、ロープ、草履。
 お隣の国の大河ドラマだとか、ボリウッド映画の歴史物語のように、一般人までが煌びやかで色とりどりに染色されて、金糸銀糸で飾られ始めるのは、産業革命以降になる。
 李氏朝鮮でも、人民の服装も鎧までも綿の無着色で、ブッダの衣装やバラモン僧の衣服がオレンジなるのも、数世紀後の話である。
 染料が開発されていないので紺屋の白袴、綿に定着する染料も紺色程度しか発見されていない。

「主の命、大国主命に願い奉る……」
 米や麦が伝来する以前、日本では栗の木を元にした集落を築き、縄文式土器で煮て食べられるように加工し、巨木信仰、シャーマニズムや精霊信仰がなされていた。
 さらに天からの飛来物、隕石への信仰によって集落を統治していた場所も存在する。
 冬守の地も隕石信仰、もしくは巨石の飛来物信仰によって統治されていた。
「願わくば我らに天啓を与えられたし、神々のお言葉を賜れますよう言上致し奉る」
 現在から7千300年以上前、太陽が隠れるほどの災厄、九州南端にある海底火山、鬼界カルデラの噴火があった。
 九州を焼き尽くし、山口県まで火砕流が到達、日本全土に火山灰を撒き散らし、栗の木を基にした文明と、土地と人を火山灰の下の地層に追いやった破局噴火。
 天の岩戸に天照大神がお隠れになった、須佐之男命(スサノオノミコト)の暴虐とも、八岐大蛇とも称される伝説の大災害。
 当時、大気圏を突破して、再度地上に落ちた巨石があったかもしれない。
 天手力男命(あまのたぢからをのみこと)という相撲の神様が、天の岩戸を開いて投げたという伝説があるが、長野県戸隠にまで飛んで天岩戸神社が建立され、奈良市柳生町にも天の岩戸が落下したとされる天乃石立神社(あめのいわたてじんじゃ)が実在する。
 日本各所に鬼界カルデラからの噴石が到達したものと思われる。

 残念ながら箒星は氷で構成されていて、地面にまで到達できない。
 ツングースカの大爆発、数年前ロシアに落ちた氷の塊のように、太陽系外周オールトの雲から落ちてきた氷塊は、断熱圧縮によって上空で水蒸気爆発を起こして、地上到達前に爆発して粉砕され、隕鉄や岩石もクレーターも残さない。
 コアに岩石が少数存在するので、半壊して大気圏でも燃え尽きず、クレーターを形成する可能性は存在する。

 それから5千年、集落や人員が再建された時代。
 人が存在できなくなっていた九州、立ち入ることも居住する事も禁忌となっていた場所に、海から渡来人たちが辿り着き、都市を建設して人数を増やし、一大勢力となって東方侵攻を開始していた。

「降り来たり給えっ! 出雲の神よっ!」
 神憑り状態となって、シヨウは倒れた。
 天空には、この時も凶星(まがぼし)、尾を引いて天を割いている箒星が現れていた。
 
 

 
後書き
テレビで「君の名は。」を見て発作的に書いたものです。
隕石の落下年と宮水神社の縁の起こりは、一葉お婆さんから語られていたかもしれませんが、隕石落下が複数回あったとお考え下さい。
君の名は警察に逮捕されない程度にしていきます。
日本の神話系、神々の序列関係など書くと、一瞬で逮捕されそうです。
ヒロインが四葉さんで、恋愛相手は憧れの先輩とかオリ主で、いつものセリフよりも脚注だとか説明が異様に多い文ですがご容赦ください。 
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