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戦国異伝供書

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第五話 岐阜の城からその六

「そうするからな」
「わかり申した」
「とかくじゃ」
 今の織田家はというのだ。
「天下第一の家となったが」
「まだ敵は多い」
「そうした状況ですな」
「どうしても」
「だからじゃ」
「慎重に政を進めていきますな」
「そうする、では皆の者政に励むのじゃ」 
 内外のことを常に見つつとだ、信長はこう言って家臣達に政をさせた。そうしてその中で都にも行き。
 都もよく見た、それで信長は今の都を見て言った。
「わしが最初に来た時を思えば」
「はい、今は」
「かなり栄えていますな」
「あの時と比べれば」
「全く違いまするな」
 その時供をした者達が言ってきた。
「街並が整ってきました」
「人も多くなり」
「御所の壁もなおされ」
「実によくなりましたな」
「全くじゃ」
 このことを喜んで言う信長だった。
「だからな」
「このままですな」
「都は整えていく」
「確かな政をしていき」
「そうしていきますな」
「そうじゃ」
 その通りだというのだ。
「だからな」
「はい、これからも」
「都を整えていきまする」
「その様にしていきまする」
「頼むぞ」
 こう言う信長だった。
「これからもな。そして朝廷にはな」
「銭をですな」
「お渡しし」
「そしてですな」
「さらに整ってもらいますな」
「そうする」
 朝廷についてもというのだ。
「壁もなおったし御所もな」
「整いましたし」
「さらにですな」
「そうじゃ」
 そちらもというのだ。
「全て整えていくぞ」
「そうしてですな」
「朝廷にもですな」
「覚えて頂いてな」
 織田家のことをだ、信長は家臣達に話した。
「そうしてじゃ」
「はい、官位も必要ですから」
「そちらも頂く」
「そうしてもらうのですな」
「朝廷を立ててこそじゃ」
 まさにそうしてこそというのだ。
「天下は治まるからのう」
「はい、帝がおられます故」
「朝廷は立てるべきですな」
「こちらから銭を出し」
「そのうえで」
「そうじゃ、言うなら常に担いでおくのじゃ」
 朝廷をというのだ。
「担ぐことが出来ぬと国も民も治められぬわ」
「それだけの力がなければ」
「最初からですな」
「だからこそ朝廷を立てる」
「担ぐのですな」
「そうじゃ、ただ法は必要じゃな」
 ここでこうも言った信長だった。 
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