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ネラプシ

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第三章

「蘇りかねないからな」
「相手は吸血鬼ですからね」
「倒すぞ」
「はい、じゃあその村に行きますか」
「今からな」
 こう話してだった、二人は日本の中古車に乗ってそうしてゼンプリンのある村に入った。その村はのどかでそれでいて人もそれなりにいるいい感じの村だったが。
 村人達は二人が村に入るとすがる様にして言ってきた。
「どうかお願いします」
「ネラプシを倒して下さい」
「その為にお二人に来てもらいました」
「日本から」
「ええ、わかっています」
 役は自分達に口々に言ってくる村人達に流暢なスロバキア語で答えた、尚本郷はスロバキア語は知らないので会話は役に任せている。
「ここは私達が全てです」
「やってくれますか」
「ネラプシの退治を」
「それを」
「はい、それでなのですが」
 役は村人達に問うた。
「一つお聞きしたいことがあります」
「何でしょうか」
 村の村長と思われる大柄で恰幅のいい老人が応えてきた、髪の毛は奇麗に禿げ上がり目は薄いブルーだ。
「一体」
「ネラプシのことですが」
 役が問うたのはその吸血鬼のことだった。
「頭につむじが二つある者がですね」
「そのことをご存知でしたか」
「はい、聞いていましたので」
 このことを既にというのだ。
「それで」
「左様でしたか」
「はい、そして」 
 役はさらに話した。
「今は昼ですが」
「昼は出て来ないです」
「夕刻にですね」
「出てきます」
 この時間にというのだ。
「そしてその時間にです」
「人を見てですね」
「殺します、今は数人だけですが」
「若しもです」
 役は尊重にあえてこのことを話した。
「教会の塔の上に上がれば」
「その時は」
「恐ろしいことになります」
「村全体がですね」
「何人犠牲になるかわかりません」
 このことを話したのだった。
「ですからそうなる前に」
「すぐにですね」
「今すぐにです」
 まさにという返事だった。
「動きます」
「そうですか」
「それじゃあですね」
「もう今すぐに」
「ネラプシを退治してくれますか」
「では行くか」
 役は今度は本郷に言った。
「今から」
「ええ、行く場所は一つですね」
「墓場だ」
 そこだとだ、本郷に火床で答えた。
「あそこに行くぞ」
「ですよね、やっぱり」
「吸血鬼は普段は棺の中で寝ている」
「このことはどの吸血鬼も同じですね」
「土の中に埋められているな」
「それですね」
「ここもあれですからね」
 本郷は目だけで周りを見回した、二人はもう村の墓地に案内してもらっているが歩きつつそうしたのだ。 
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