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オズのガラスの猫

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第六幕その一

               第六幕  二つの橋
 動物園に行ってからです、皆は動物園を出て暫く歩いてから晩御飯を食べました。そうしてまた近くの川で身体を洗ってテントの中で寝てです。
 翌朝は日の出と共に起きて朝御飯のパンとスクランブルエッグ、ソーセージにミルクを楽しんで出発しました。
 皆で十時まで歩いて十時は休憩も兼ねてティータイムとなりましたがオズマはこの時に皆にこんなことを言いました。
「もう少ししたら川があるの」
「川ですか」
「じゃあ橋があるんですね」
「そうなんですね」
「そうなの、ただその橋が面白いの」
 オズマはロシア風の紅茶を飲みながらジョージと神宝、カルロスに答えました。今回のティーセットはロシア風なのです。
「見たらオズの国らしいってわかるわ」
「その橋がですか」
「そうした風に思えるんですね」
「見れば」
「そうよ、成程って思えるから」
 そうした橋だというのです。
「本当にね」
「というと」
「どんな橋なのかしらね」
 ナターシャと恵梨香の女の子二人はオズマのお話を受けて二人でお話をしました。
「オズの国らしいっていうと」
「一体」
「よかったらお話するわよ」
 つぎはぎ娘は苺のジャムを舐めている二人に言ってきました、ロシアでは紅茶はジャムを舐めつつ飲むのです。
「そうするけれど」
「いえ、それはね」
「今回は見てのお楽しみにしておくわ」
「もうすぐその橋でしょうし」
「見てのね」
「そうなのね、じゃあ言わないわね」
 つぎはぎ娘も二人の言葉を受けて言わないことにしました。
「そうするわね」
「じゃあね」
「その時のお楽しみということでね」
「そうさせてもらうわ、しかしね」
 こうも言ったつぎはぎ娘でした。
「オズの国って確かに面白い国よね」
「ええ、何かとね」
 オズマはロシアのお菓子を食べつつつぎはぎ娘に応えました。
「色々なものがあってね」
「色々な人がいてね」
「本当に面白い国よ」
「そうよね」
「奇麗な猫もいるしね」
 ガラスの猫はこう言うのでした。
「あたしがね」
「そこでそう言うのね」
 ナターシャはそのガラスの猫に横からクールな表情で突っ込みを入れました。
「貴女らしいわね」
「そうでしょ、ここでこう言うのがね」
「貴女よね」
「だって事実だし」
 それでというのです。
「言うのよ」
「奇麗な猫なのは」
「言うのよ、ただね」
「ただ?」
「あたしは面白い猫でもあるでしょ」
「ええ、奇麗でしかもね」
 ナターシャは今度は微笑んで言いました。
「面白い猫よ」
「ガラスの身体に宝石の脳味噌とハートを持っていてね」
「面白いわ」
「しかも食べることも寝ることもしない」
「そんな猫は他にいないわ」
「オズの国でもあたしだけよ」
 そうした猫はというのです。 
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