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ドリトル先生と奇麗な薔薇園

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第五幕その十一

 昨日の午前のティータイムの時にです。
「それもよかったよ」
「ああ、実は僕薔薇の花びらをワインに入れて」
「そうして飲むんだね」
「この飲み方を聞いたけれど」
「それもいいね」
 先生は王子がお話したその飲み方について笑顔で応えました。
「ワインの簡単なカクテルだよ」
「そうだよね」
「うん、そして奇麗なね」
「そうした飲み方だね」
「そう思うよ、僕も今度そうして飲んでみようかな」
 ワインをというのです。
「そうしようかな」
「それもいいね、じゃあね」
「それじゃあだね」
「うん、今夜はワインを飲もうかな」
「薔薇の花びらを入れてだね」
「そのうえでね。そしてジャムは」
 パンに付けるそれはといいますと。
「薔薇にしようかな」
「いいね、薔薇のジャムだね」
「それにしようかな」
「じゃあ僕もね」
「今夜はワインだね」
「そしてパンにはジャムを付けるよ」
 そのジャムはといいますと。
「薔薇のジャムをね」
「僕みたいにだね」
「してみるよ」
「あの、王子」
 ですがここで執事さんが王子に言ってきました。
「今宵はエジプトのお嬢様と会食ですが」
「あっ、そうだったね」
 王子も言われて気付きました。
「あちらの要望でね」
「今宵はしゃぶしゃぶです」
「神戸牛のね」
「ですからジャムは」
「うん、しゃぶしゃぶといえば御飯だからね」
「しゃぶしゃぶにワインはいいとしまして」
 これはというのです。
「ですが主食は御飯なので」
「それでだね」
「ジャムは」
「うん、じゃあ今度にしようかな」
「それが宜しいかと」
 こう王子に申し上げるのでした。
「やはり」
「じゃあそうするよ」
「しゃぶしゃぶか、いいね」
 先生はしゃぶしゃぶと聞いて目を輝かせて言いました。
「あれも素敵なお料理だね」
「うん、牛肉の食べ方としてね」
「美味しい食べ方の一つだよ」
「すき焼きと並んでね」
「変な料理漫画でどっちもまずい食べ方だって言ってたけれど」 
 王子にもこの漫画のことをお話した先生でした。
「あの漫画はもう一から千までおかしな漫画だから」
「ああ、あの百巻以上続いてる新聞記者が主人公の漫画だね」
「王子も知ってるね」
「知ってるよ、主人公が気に入らないとお店の中で大声で文句を言うなんてね」
 王子は眉を顰めさせてこう言いました。
「野蛮なことこの上ないよ」
「とてもね」
「何ていうかあの漫画はね」
 それこそというのです。
「短気で下品で無教養な野蛮人ばかり出るからね」
「そうだね、登場人物がどうもね」
「普通におかしな人達ばかりだよね」
「王子の言う通り短気で下銀で無教養な人ばかり出るね」
「主人公も周りの人達もね」
「あれもおかしなことだね」
「だから僕は読まないんだ」
 この漫画をというのです。
「そうしているんだ」
「読んでも意味がないからだね」
「その通りだよ、しゃぶしゃぶはね」
「美味しいね」
「僕はそう思うよ」
 確かにというのです。
「本当にね」
「そしてそのしゃぶしゃぶをだね」
「お嬢さんにご馳走するんだ」
「うん、そういえば僕もしゃぶしゃぶは」 
 先生はここでこのことに気付きました。
「最近食べていないね」
「じゃあ先生も食べたらどうかな」
「そうだね、トミーにも言ってみるよ」
 先生は王子に笑顔で応えました、そうしたことをお話しながら今は薔薇の素敵な姿と香りを楽しむのでした。 
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