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寝ると何でも

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第二章

「そうしているけれど」
「寝てないよね」
「最近夜も暑くて中々寝られなくて」
 寝苦しい、そうだというのだ。
「それでお昼はね」
「それよくないから」
 すぐにだ、ねむきは母に言った。
「そんな時はお昼にもね」
「寝ないといけないの」
「テレビ観るよりもね」
「そうなのね」
「だってテレビ観なくても死なないけれど」
 それは確かにだ、テレビを全く観なくても体力に関係しない。
「寝ないとね」
「死ぬっていうのね」
「だからね」
 それでというのだ。
「夏バテにならない為にも」
「寝ないといけないっていうのね」
「お昼も寝たら随分と違うよ」
「あんたみたいになのね」
「そうだよ、だから寝ようよ」
「そうね。じゃあそうしてみるわ」
 母は息子の言葉に頷いた、そしてだった。
 昼寝をする様にした、すると数日でだ。
 夏バテはかなりましになった、それで母は息子に言った。
「お昼寝する様になって随分変わったわ」
「そうだよね」
「ええ、夏バテがね」
 問題のそれがというのだ。
「随分楽になったわ」
「そうでしょ、夏バテにもね」
「寝ることなのね」
「食べることも大事だけれど」
 それだけでなくというのだ。
「寝ることもやっぱり大事だよ」
「その通りね、いつも寝てばかりって思っていたけれど」
 実際にその通りだ、ねむきはとにかく寝てばかりだ、
「その寝ることもいいのね」
「だから僕いつも元気なんだよ」
「そうね。じゃあね」
「これからはだね」
「夏の暑い時はテレビを観ないで」
「寝るんだね」
「そうするわ。考えてみればテレビの番組って」
 最近のそちらについてもだ、母は思って言った。
「正直全く面白くないし」
「そうなんだ」
「何かコメンテーターや司会の人が適当なことばかり言って」
 思えばそうだった、昨今のテレビ番組は。
「何の為にもならないしね」
「しかも面白くないから」
「スマホで情報見ればすぐだし」
 所謂奥様同士の井戸端会議の話題もそれでネタを仕入れられるというのだ、テレビでチェックしなくても。
「それじゃあね」
「もうテレビよりもだね」
「これからはあんたみたいに寝るわ」
「それがいいよ。じゃあ僕今からね」
「今日もお昼寝するのね」
「ゆっくり寝て」
 そしてというのだ。
「楽しむよ」
「寝るのが一番ってことね」
「ええ、そうよ」
 二人で話してだ、そうしてだった。
 ねむきはこの日も寝た、その寝顔は実に気持ちよさそうで楽し気なものだった。


寝ると何でも   完


                   2018・7・23 
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