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孔雀王D×D

作者:焼肉定食
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15・アザゼル 登場

 魔方陣から現れた男と女を一誠達は、見つめた。
 男の方は、堕天使の総督であるアザゼル。そして、女の方は、登城小猫の実の姉であり、元カオス・ブリゲイドと呼ばれたテロリスト集団の構成員だった黒歌だった。
「アザゼル先生と黒歌ねぇが、何故一緒に?」
 一誠は、両者を交互に見つめて言った。
「おぉ、一誠。久しぶりだな」
 アザゼルは、いつもと同じように人を食ったような物言いで一誠に手を挙げた。
「よぉじゃないわよ、アザゼル」
 リアスは、睨み付けるようにアザゼルを見つめた。
「なんだ? みんなして殺気立って」
 アザゼルは、部室にいるリアスを含めた部員たちが、アザゼルに敵対するかのような眼つきに、掌を見せて左右に揺らした。
「あぁ。今しがた、君の名前をみんなに教えたところだよ。アザゼル」
 サーゼクスは、にこりと微笑んでアザゼルに言った。
「あぁ、そうか、なるほど。天使戦争の事を教えちまったのか」
 サーゼクスの言葉で、すぐにアザゼルは、この場の雰囲気の事を理解した。
「まぁ、お前らは、生まれた前のずっと昔のことだ。気にするな」
 アザゼルの軽い口調に全員が立ち上がった。
「おいおい。俺とやり合うつもりか?
 やめておけよ、今は和平が成立している。
 ここでやり合えば、サーゼクスやミカエルが困るだろう?
 また、3大勢力戦争をお前たちが原因で起こすつもりか?」
 アザゼルは、全員を睨み付けた。その迫力に押され、全員がひるんだ。
「さて、まぁ、俺の昔話はおいておいてだな・・・」
「ま、待ってください。先生は、何故、ルシファー様を裏切ったのですか?」
 一誠は、アザゼルの会話を遮って問いかけた。
 一誠には、どうしても府に落ちなかった。確かに、今までは敵対勢力の総督として争っていたのかもしれないが、アザゼルから学ばせてもらったことは数多い。
「それはな、一誠」
 アザゼルは、いつもとは違った真剣な口調と眼つきで一誠を見つめた。
「そ、それは・・・・・・・・・」
 一誠は、一つ生唾を飲み込んだ。
「それはな。お前たちには、死んでも教えねぇよ」
 アザゼルは、豪快に笑い飛ばした。
「そんなことより、アザゼル。調べはついたのかい?」
 サーゼクスは、一つため息をついて、アザゼルに問いかけた。
「あぁ、そうだったな。鳳 凰蝶の事だったな」
 アザゼルは、大笑いしたせいか、涙を拭いてサーゼクスに答えた。
「どういう事なのです、お兄様?」
 リアスは、アザゼルからサーゼクスへと目を移した。
「私が、アザゼルに頼んだのだよ。鳳 凰蝶君のことをね。
 私もミカエル殿も公には動けないからね」
 サーゼクスは、ニッコリと微笑んだ。
「でも、なんで、黒歌ねぇまで、来るんですか?」
 一誠は、黒歌まで動いているとは、知らなかったのだ。
 ほんの少しまでは、また気まぐれで居なくなったのかと思っていた。
「あぁ、それは、雷の巫女さんに頼まれたからだよ、一誠」
 黒歌は、一誠を見て微笑んだ。
「え?朱乃さんに?」
 一誠は、黒歌か朱乃の方に目を向けた。
「私もリアスも、本校の生徒の事だから、公には、動けないのよ、一誠君。
 だから、気になる点を黒歌さんに依頼したのよ」
 朱乃は、にっこり微笑んで一誠に答えた。
「まぁ、そういう事だニャン。それに、堕天使の総督殿と目的は同じだったから、一緒に行動してたって訳」
「そういう事だ」
 黒歌に続いて、アザゼルも答えた。
「それで、黒歌さん、何かわかりましたの?」
 朱乃は、いつもの如く、にこやかに黒歌に問いかけた。
「あ、あぁ、朱さんから、聞いた呪文のような言葉のことだったよね?」
 黒歌は、頬を赤らめて答えた。
 どうも、黒歌にとって、朱乃が苦手というか憧れに近い存在で、朱乃の前では頬が赤くなってしまうのだった。
「ええ、私の推測が当たっていたとするなら、あれは真言」
「その通りだよ、朱さん」
 朱乃の推察に黒歌は頷いた。
「でも、どうして、黒歌さんにあの呪文の事を?」
 アーシアが、黒歌に尋ねた。
「私は、仙術や妖術に精通しているからだと思うよ」
 黒歌はアーシアに答えた。
「確かに仙術と真言は似ているからね。とはいえ、真言は、もともと空海が、大陸から持ち出し、日本に広めた宗教だから、流れが一緒なのさ」
 黒歌は、アーシアの答えに続けて言った。
「そして、俺は、ある男の事を調べていた」
 続けて、アザゼルが話し始めた。
「え?ある男って?」
 一誠は、その真言とアザゼルが言った男の関係が分からなかった。
「ええ、その男は、私達にも関係していた。だから、先生と一緒に行動したって訳」
 黒歌は、一誠にウインクをした。
「で、その男ってなんなの?」
 リアスは、なかなか本話が進まない事に苛立ってきていた。
「その、男は、カオスブリゲートに一時期身を置いていたらしい」
 アザゼルは、リアスを落ち着かせるようにゆっくりとした口調で話した。
「その男は、鳳凰と名乗っていたわ。坊主らしからぬいでたちで。でも、かなり強かったよ。偵察に来ていた堕天使達を一瞬にして皆殺しにしたわ」
 黒歌は、アザゼルに続いて言った。
「黒歌の話を聞いて俺は、ぞっとしたよ。なぜなら、その部隊は、バラキエルの強者達で構成していたからな」
「ええ、たぶん、鳳凰と名乗った男は、バァリと同等。いや、それ以上の強さかもしれない」
 アゼゼルと黒歌は、嫌な予感を感じつつ、言った。
「そ、そんな。バァリ以上の奴がいたなんて知らなかったです」
 一誠の顔は、青ざめていた。なぜなら、バァリを抑えるのでさえ、四苦八苦していたのだから。
「それは当然よ」
「どういう事なの、黒歌?」
 リアスは、一誠を心配しながらも、黒歌に聞いた。
「あの男は、大魔王サタンを名乗たとしても可笑しくない力を持っていたもの。そして、ある程度、力を持った魔族ともども、この世界から消えてしまった」
「超えてたってどういう事なんだ?」
「そのままよ。言った通りよ、一誠」
 黒歌の話にかぶせるように、一誠は問いかけ、黒歌は、答えた。
「そこで、俺たちは、ある仮説を立てた」
 アザゼルは、その場にいる全員を見渡した。
「が、一旦休憩としよう。リアス、お茶を頼むぜ」
 アザゼルは、人を食ったような笑みでリアスに言った。
「な! なんで私が。貴方ね、私は理事長代理よ。お茶が飲みたければ、自分で煎れたらどう、アザゼル先生」
 アザゼルを睨みつけてリアスは、皮肉を込めた。
「ははは。理事長代理なんか、お茶汲み係のようなものだろう」
 アザゼルは、その皮肉に答えるように笑ってみせた。
「な、なんですって!!」
「ま、待ってください、部長」
 リアスが切れかけたとこに、一誠が二人の間に入った。
「お茶なら、俺とアーシアが煎れますから。こんなところで、部長とアザゼル先生がぶつかったら、他の生徒達が被害を蒙りますよ」
 一誠の言葉にリアスは、冷静さを取りも出した。
「そ、そうね。では、一誠、アーシア、頼むわね」
 リアスに頼まれた一誠とアースアは、茶室に向かっていった。
「それで、アザセル。君の仮説というのは、どういったものなんだい?」
 サーゼクスは、こっそりアザゼルに聞いた。
「まぁ、せくなよ、サーゼクス。そろそろ、みんな揃うころだ。そこで、発表するからよ」
 アザゼルは、サーゼクスに笑ってみせた。
 そうこう、しているうちに、小猫、牙場、ゼノヴィアと凰蝶を除いた全員が部室に揃った。
「さて、全員、揃ったな」
 アザゼルは悠長にお茶をすすっていたが、その光景をみるや椅子から素早く立ち上がった。
「え?凰蝶ちゃんがいないですけど?」
 アーシアが、アザゼルに問いかけた。
「あぁ、彼女には、先に帰ってもらった。彼女自身の事だ。まだ、知らない方がいいだろう」
「へぇ、先生も優しいところあるんですね?」
 アザゼルの言動に意外そうに、一誠は、アザゼルを見つめた。
「ばか野郎、一誠。俺は、優しい男だぞ」
 アザゼルは、一誠の頭に一発拳骨を食らわせた。
「いってぇ。それのどこが優しいっていうんですか?」
 一誠は、拳骨を食らった場所を手でさすった。
 全員が、その光景をみて、笑った。
「ところで、先生。話ってなんですか?」
 牙場が、アザゼルに聞いた。
「あぁ、その事なんだが、掻い摘んで言うと、鳳 凰蝶の事だ」
 アザゼルは、全員の顔を見渡しながら言った。
「わかったのか、あの子の正体が?」
 ゼノヴィアが、興奮気味に体を乗り出した。
「あぁ、まぁ、推測ではあるがな」
 アザゼルは、顎を撫でて言った。
「ねぇさまも先生と一緒だったのですか?」
 子猫は、黒歌を見て言った。
「まぁ、行き釣りなんだけどにゃん。おそらく、アザゼルの推測は大方当たっていると思う」
 小猫と黒歌は、一時期袂を分けてはいたが、一誠のおかげで少しばかり仲良くなっていった。そして、アザゼルは、今まで一誠達にはなしたことを、小猫達に掻い摘んで話していった。
 全員が、息を潜めてアザゼルの話に聞き入っていた。

 
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