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孔雀王D×D

作者:焼肉定食
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14・世界の始まり

オカルト研究部の部室は、ライザーの話し声だけが響き、あとの者は静まりかえっていた。
「我々の世界は、先も言ったように、動物、昆虫など他の種類を除けば、大体、多かれ少なかれは4種類に分けられる」
「ライザー、何度同じことをいうの?」
 リアスは、ため息をつき言った。
「あのなぁ、お前たちが・・・・」
「お兄様、続けて」
 ライザーが再び脱線しそうになったところを レイヴェルは止めに入った。
「あぁ。すまない、 レイヴェル」
  レイヴェルの突っ込みに顔を赤らめて、一つ咳をした。
「さて、ここからが、本題になるわけだが、今では、3大勢力が和平をしたことで、多少の小競り合いがあるが、平和を取り戻してはいる」
 ライザーは、一言一言を慎重かつ丁寧に言った。
「が、以前は、その3大勢力の種を残すことも難しい程の戦争を繰り返しいた。
 ここまでは、我らが知るところだ」
「ええ、そうね。そして、神も魔王も滅んだって、コカビエルから聞いたときは、驚いたもの」
 ライザーの言葉に頷いて、リアスが言った。
「その通りだ、リアス。では、何故、その戦争が起きたのか解るか?」
 ライザーは、いつになく真面目な顔でリアスに問いかけた。
「も、もしや、その戦争の原因が、自分たちがどこで生まれ、どこから来たのかっていう理由になるのですか?」
 リアスより先にアーシアが問いかけた。
「さすが、元シスターだな」
 ライザーは、アーシアに向かって微笑んだ。
「どういう事?」
「それをこれからお話いたしますわ、リアス様」
 リアスを制し、 レイヴェルが言った。 レイヴェルに促されて、ライザーは、再び話し始めた。
「俺たちが、知っている3大勢力戦争の前に、ある戦争が、天界で起きていたんだよ」
 ライザーの話に、呼応してが、空は暗くなり、遠くで雷の音が鳴り、雷光が光った。
「その戦争の名前は、天使戦争と呼ばれた物だったらしい」
 どんどんと雷鳴は近づいてきていた。そして、ライザーの話に全員が固唾をのんだ。
「で、ですが、私が教会にいた時、そんな話は聞いていません」
 アーシアが、ライザーの話に反論をした。
「それは、当然さ。そんな話が、信者に流れれば、教会おろか、信仰されも危うくなる」
「ところで、ライザー。そんな大事になる戦争は、どんなものなの?」
 リアスは、ライザーに話を促した。
「その天使戦争の発端は、どこの世界でも同じさ。
 天界でも、天使と呼ばれる住民が増えすぎてしまっていた」
「も、もしや・・・・・」
 アーシアは、口をふさいで絶句した。目に涙をためながら。
「察しの通りさ。弱気ものは、淘汰される。
 天界の神々は、増えすぎた天使達を減らすために大虐殺を始めた」
「な、なんてことを・・・・・」
 アーシアは、絶句し、手で顔を覆い、泣き始めた。
「そこからは、我々が、話そう、ライザー君」
 どこからともなく声がすると、魔方陣が現れ、男女のペアが姿を現した。
「お兄様、グレイフィア」
「魔王様」
 部室にいる全員が、魔方陣から現れた男女に傅いた。
 魔方陣から現れた男は、リアスの兄であり、現魔王のサーゼスク・ルシファ。そして、その妻であり、秘書的な立場であるグレイフィア・ルシファであった。
「様、よいのですか?」
 ライザーは、に聞いた。
「ライザー君、いいのだよ。ここからの話は我らが、話す領域だ。そうですよね、ミカエル殿?」
 そういうと同時に、光の魔方陣から大きな羽を広げた天使が現れた。
「そうですね、サーゼクス殿」
 いつもは、朗らかな笑みを浮かべている大天使長・ミカエルだが、悲しげな表情をしていた。
 それは、アーシアやゼノビィアを教会より追放した時と同じ顔だった。
「ミカエル様・・・・・・」
 アーシアは、ミカエルを見るなり、大きな涙の粒を流した。
「すまないね、アーシア・アルジェント。また、君を泣かすようなことしてしまった」
 ミカエルは、深々とアーシアに頭を下げた。
「さて、天使戦争の事なのだが」
 サーゼクスが、口を開いた。
「ライザー君が、言った通り、増えすぎた天使達を神々が、虐殺し始めた時、先に地に落とされたのが、大天使長であったルシファーの妻であった蛇の王だった」
「な、なんですって!!大魔王・ルシファーが天使長ですって!!」
 リアスの大きな目が、驚愕のためにもっと大きく見開いた。
 その時、黙って話を聞いていた一誠が、一つ声をあげた。
「気づいたかね、一誠君?」
「さすがは、赤龍帝殿」
 サーゼクスとミカエルが、顔を見合わせてた後、一誠を見つめて微笑んだ。
「どうしたのですか、一誠さん? 何かわかったのですか?」
 アーシアが、心配そうに一誠を見つめた。
「羽だ。羽だよ、アーシア」
 一誠はアーシアを見つめて叫ぶように言った。
「羽?」
 アーシアは、何事かわからずキョトンと一誠を見つめた。
「いいか、アーシア。俺たち、悪魔にも羽があるだろう?
 堕天使にだって羽がある。もちろん、天使達にも」
 一誠は、アーシアを見つめて興奮した感じで言った。
「羽がどうかしたんのですか?」
 アーシアは、いまだにきょとんとしている。
「そういうことね」
 リアスは、一誠の言った事をすぐに理解し、答えを導いた。
「お姉さま、どういうことなのですか?」
 アーシアは、リアスに救いを求めた。
「いい、アーシア?一誠が言ったように羽がキーなのよ。
 なぜ、私達にも堕天使にも羽があるのか?
 それは・・・」
「あっ!!」
 アーシアもすぐに理解できたようだった。
「私たちは、もともと同じ種族。つまり、天界の者だったでしょ、お兄様」
 リアスは、サーゼスクに言った。
「その通りだよ、リアス。さすがだね」
 サーゼクスは、リアスにいつもの如く優しく微笑んだ。
「でも、何故、3大勢力と発展していったのですか?」
 一誠は、素直な疑問をサーゼスクに問いかけた。
「おそらく、その天使戦争が関係しているのですわ」
 朱乃が、一誠の問いに答えた。
「そう、天使の大量虐殺に関与したのが、大天使長ルシファーであり、その行為に反旗を翻し、天使戦争を起こしたのもルシファーなのだよ」
 ミカエルは、悲しそうな目つきで言った。
「なんですって!!」
「どういうことなのですか、ミカエル様?」
 リアスに続いて、一誠も驚愕した。
「ルシファーは、正義感の強く愛に満ち溢れた男だった。
 自らの妻が蛇の王であっても、愛し慈しみ、大量粛清の時も神々の命令に従っていた」
 ミカエルは、遠き日のことを思い出しながら語った。
「が、優しすぎるが故に、その行為に疑問を持ち始めた。そして、子供の天使が、殺されそうになった所を止めに入り、その衛兵天使を惨殺してしまった。そこからだった。
 弱き天使達は、ルシファーを祭り上げ、神々に反乱を起こした。これが、天使戦争の始まりだった」
 ミカエルは、相変わらず悲しそうな目を浮かべていた。
「始まりだったって、それから何か起こったのですか?」
 一誠は、その後を気にしていた。
「天使戦争は、泥沼の様相を示し始めた。
 多くの天使達が死んでいった。が、ルシファー側に裏切りがあった。」
 ミカエルの顔が、歪んだように見えた。
「う、裏切りって・・・・・・」
 一誠は絶句して、ミカエルを見つめた。サーゼクスは、目を閉じていた。
「そう。もし、裏切りがなければ、ルシファー側が勝利していたかもしれない。が、その裏切りによって、ルシファー側は、総崩れを起こし、ついには、ルシファーは地に落とされてしまった」
「その裏切り者って、一体、誰なのですか?」
 一誠は、ミカエルに率直に聞いた。
「それは、前ルシファーの親友・サタンだよ、一誠君」
 ミカエルに変わり、サーゼクスが目を閉じたまま答えた。
「な、なんだって?サタンと言えば、ルシファー様と並び立つ程の大魔王じゃないですか」
 一誠の顔色が、興奮で赤く染まった。
「あっ。でも、魔界には、サタン名を継ぐ人はいませんよね?どうしてですか?」
 アーシアの問いに、サーゼクスは微笑んだ。
「よく気が付いたね、アーシア・アルジェント。それは、彼が天界からも魔界からも追放された身だからなのだよ」
 何故か誰しもアーシアには、微笑む。
 彼女の雰囲気が、そうさせるのかは、わからないわけでもないが。
「じゃあ、サタンは今、どこにいるのですか?」
 一誠の問いに、ミカエルとサーゼスクは、顔を見合わせた。
「君たちのすぐ傍にいるよ、一誠君。そして、赤龍帝もその正体を知っている。
 そうだろう、ドライグ殿?」
 サーゼクスは、一誠の左手に問いかけた。
「おい、ドライグ、俺たちの傍にいるって、どういう事なのだよ?」
 一誠は、自らの左手に問いかけた。
「ま、まさか!!そんなことって!!」
 ずっと今までの話を思案するように、腕を組んでいたリアスが、叫んだ。
「何かわかったんですか?お姉さま」
 リアスの叫び声に、びっくりするかのようにアーシアは、目を大きくして見つめた。
「相棒、3大勢力のツートップが、今ここにいる。じゃあ、もう一人は誰だ?」
 一誠の左の手の甲が光り輝くと、まるで、その手が喋っているかのような声が聞こえた。
「え?今、いないのは、アザゼル先生だけど?
 ま、まさか」
 一誠も何かに気付いたように大声を出した。
「そのまさかだよ、一誠君。アザゼルの本当の名前は、アザゼル・サタン」
 サーゼクスの衝撃的な告白に一同が目を大きく見開いた。が、リアスだけは、察したようにサーゼクスを見つめていた。
 その時、堕天使を示す魔方陣が現れ、一人の男と猫の姿をした女性が一人、姿を現した。
 
 

 
後書き
アザゼルの名前を物語上サタンにしてみました。
原作やアニメでは、サタンという名前ではありません。
ご了承ください。 
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