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理解可能

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第三章

「マスター」
「マスター?」
「そう、マスター」
 こう言うのだった。
「マスター」
「マスターっていうと」
 すぐにだ、持ち主にもわかった。
「僕のことかな」
「・・・・・・・・・」
 ノイズは今度は文字を出さなかった、だが。
 こくりと頷いた、そしてだった。
 暫く手話も出した、持ち主は手話はわからなかったが。
 このやり取りをだ、友人に話すと友人は驚いて言った。
「あれっ、それじゃあ」
「うん、やり取りがね」
「出来る様になれるかもね」
「まさか彼女が手話を覚えるなんてね」
「パソコンの中で学んだのかな」
「パソコンの世界に入ってね」
「あの中は学べるものの宝庫だからね」
 検索すればそれこそだ、興味のあるものを幾らでも学べるというのだ。
「だからだね」
「手話も覚えたのかな」
「そうかもね」
「じゃあ君も覚えて」
 友人は持ち主に話した。
「彼女とそれでやり取りをするといいよ」
「その通りだね」
「そしてね」
 友人はさらに話した。
「彼女君をマスターと言ったね」
「うん、そのことは正直驚いたよ」
「そうだね、遂に言葉をだね」
「出したんだよ」
 例え一言でもだ、そうしたというのだ。
「凄いことにね」
「それは凄いね」
「意味がわかる言葉もね」
「遂に出したんだね」
「そうだよ、ひょっとしたら」
 それこそとだ、持ち主は友人に希望に満ちた目で話した。
「これから徐々にでもね」
「君とだね」
「やり取りが出来るかも知れない」
「そうなるかもね、それじゃあ」
「うん、今日もね」
「彼女と意志の疎通を図っていくね」
「そうするよ、勿論手話も覚えて」
 そしてと言うのだった。
「彼女と話していくよ」
「応援させてもらうよ」
 笑顔でだった、持ち主は友人に話した。そして手話の本を買って読むのだった。


理解可能   完


                 2018・7・18 
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