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助っ人は多忙

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第一章

                助っ人は多忙
 山本凛子は日常生活の中では文武両道で眼鏡が牛乳瓶のそれである以外は外見もよく学校の人気者だ。それであらゆる部活に何かあると助っ人を頼まれている。
 この日は新体操部から頼まれた、この部活の二年生が彼女のところに来てそのうえでこう言ってきたのだ。
「あの、凛子ちゃん今度ね」
「うん、学校の皆の前でよね」
「部活の皆で団体演技を披露しないといけないけれど」
 それがというのだ。
「昨日うちの娘が一人足を挫いて」
「演技に間に合わないのね」
「そうなの」
 困った顔で言うのだった。
「これがね」
「それでよね」
「悪いけれど」
 神に頼む様にだ、凛子に述べた。
「代わりに出てくれる?」
「ええ、それじゃあね」
 凛子は新体操部の娘ににこりと笑って答えた。
「私でよかったら」
「それじゃあね」
「出させてもらうわ」
 こう言ってだ、凛子は新体操部の助っ人として出た。するとその演技は素晴らしく誰もが特に男子が魅了された。
「いいよな、山本さん」
「演技よかったな」
「動きが凄い自然でな」
「新体操部の娘達と変わらなかったな」
 そこまでよかったというのだ。
「あれだとな」
「ああ、合格だな」
「しかもスタイルよかったしな」
「レオタード姿最高だったぜ」
 このことでも評判だった、そして新体操部の後はだ。
 卓球部の練習試合で欠員が一人出たのでそちらの方を頼まれた、それでそちらも快諾してであった。
 見事活躍したがここで言われた。
「卓球も出来るからな」
「フットワークも打ち方もよくて」
「体力もあるし」
「よかったな」
「ああ、山本さんが代打で出てくれて」
 本当によかったとだ、卓球部の面々も喜んだ。その他の部活でも凛子は代打として活躍し評判だった。
 だがある日だ、凛子のところに生徒会長が来て彼女にこう言った。
「山本さんいいかな」
「何でしょうか」
「実は最近書類仕事が多くて」
 それでとだ、彼は言うのだった。
「それがあんまりにも多くなって生徒会だけでは」
「処理がですか」
「出来なくなってきたんだ」
 もう顔に疲れが出ていた、疲れきっているとも言ってよかった。
「これがね」
「それでは」
「うん、よかったらね」
 図書委員会や厚生委員会の仕事も出来ていてそちらでも評判の凛子に白羽の矢を立てたのだ、要するにそういうことなのだ。
「生徒会の仕事手伝ってくれるかな」
「私でよければ」
 凛子は微笑んでこう答えた、そしてだった。
 凛子は生徒会の溜まった書類仕事を手伝った、すると主に彼女が書類整理を行ってだ。
 山の様な書類の決裁も処理も瞬く間に行った、この事態に生徒会長も唖然として言った。 
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