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ロボスの娘で行ってみよう!

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第9話 論文提出 問題続出


今はこっちの方が書きやすいので更新です。
ラインハルトに負けませんがスランプだー。
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第9話 論文提出 問題続出

宇宙暦788年4月14日

■自由惑星同盟首都星ハイネセン テルヌーゼン市 同盟軍士官学校

 4月1日、リーファが半年かけて作成した6種の論文が完成しロボス校長に提出された。内容が内容なだけに限られた教官達のみが閲覧をし矛盾点などを確認していたが、本日完璧な計算に基づいたモノであることが確認され校長に報告された。

またエル・ファシル関係の論文は未だ最終完成を見ていなかったが、
中途であるが十分に研究の価値有りと報告された。

「校長、御令嬢の論文ですが、我々教官としても辛口で審査しましたが、
齟齬がない確りとした論文になっております」
「うむ、そうすると、そのまま作戦に使えるほどの出来と言う事か?」
「正しくそうです。このまま作戦計画の基本ベーシックとして使用可能なほどです」

「そうなると、そうそう閲覧をさせるわけには行かなくなるな」
「統合作戦本部と宇宙艦隊司令本部からの出向してきている教官も同意見です」
「となると、ロボス候補生の赴任先は統合作戦本部と宇宙艦隊司令本部と言う事になるか」

「その様になると思います」
「ふむ、あの子は後方勤務本部へ赴任させたいのだがな」
「ご心中お察しいたします」

「しかし、此ではエル・ファシルへ行かすことも出来んな」
「万が一を考えますと、無理です」
「娘には私から言い聞かそう」

ロボスがリーファを校長室へ呼び出したのは1時間後であった。

「ロボス候補生入ります」
「入りたまえ」

リーファが校長室に入室するとロボス校長が教官以外の人物と一緒に待っていた。
ロボス校長が話し出す。
「ロボス候補生、貴官の提出した論文を、照査した結果大変素晴らしいモノだと我々だけで無く、統合作戦本部と宇宙艦隊司令本部でも賞賛を持って受け入れられた」

「はっ」
「しかし、余りに出来すぎているとの事でな」
校長が言いにくそうに話す。

「ロボス閣下、此からは小官が話します」
「頼む」

「ロボス候補生、小官は宇宙艦隊主席参謀ドワイト・グリーンヒル少将だ。
貴官の論文の中でも、帝国領侵攻作戦、イゼルローン要塞攻略戦、各種作戦案その傾向と対策及び遣ってはいけない作戦案、などが余りに良く出来すぎている為、外部に発表するわけには行かなくなったのだ。

そのまま作戦案として使用可能なほどだ。このような作戦を立てられる人物を前線は置けないというわけで、貴官を統合作戦本部或いは宇宙艦隊司令本部に配属を行うことが満場一致で決まったわけだ」

「小官がでありますか?」
校長が今度は話し出す。
「そうだ、卒業後はどちらかへ進んで貰う事になる、
それに伴いロボス候補生が申告していたエル・ファシルへの研修は却下された」

「了解しました」
「そうガッカリしないことだ、エル・ファシル等の辺境域防衛論文が未だであるようだが、他の6つの論文どれか1つでも十分に卒業資格を越えるほどだ」

「はぁ」
「資料ならば、統合作戦本部と宇宙艦隊司令本部に十分な物があるので、それを使えばいいのではないかな?」
「仰る事ですが、生の感覚を持ちたかったのです」

「エル・ファシルにいる人物からのレポートでは足りないのかな?」
「少ないのです、せめて小官が行けないならば、
誰か代わりに行って頂きたいのですが」
「うむ、確かにその位はしても良いかもしれない、どうだろう少将」

「確かに、エル・ファシルに対する論文も今後の帝国領近辺星域に対しての防衛などに役に立ちますからな、現地へ誰か調査に送るのも良いかもしれません」
「では、誰かを送ることを許可して良いか」

「閣下、その様にして良いかと思います」
「ロボス候補生、此で良いかな?」
「はい、その様にしていただければ幸いです」

「ロボス候補生、誰か送る人物を指定するかね?」
「少将閣下、閣下の所にいます、ヤン・ウェンリー中尉をお願いしたいのですが」
「ヤン中尉か、彼は優秀な人材らしいな」

「少々怠け癖は有るようですが優秀な人材です。シトレ閣下に叱咤激励されながら仕事をしていますよ」
「ほう、まあ人間何処かしらに欠点は有る物だからな」
「ヤン中尉なら今は役職には着いていませんから少々の出張ならば平気でしょう」

「校長閣下、少将閣下、ヤン中尉でお願いします。
出来れば5月前半には到着して調べて頂きたいのですが」
「判った、近日中にヤン中尉を此処へ寄越すので、その時必要な点を纏めて指示をしてやってくれ」

ロボス校長が残念そうな顔で話し出す。
「論文の内、帝国領侵攻作戦、イゼルローン要塞攻略戦、各種作戦案その傾向と対策及び遣ってはいけない作戦案は外部への閲覧が禁止される。

残りの補給線の面と線、帝国領近辺補給基地に対する考査、宇宙艦隊編成素案及び未完成ながら、エル・ファシル関係の論文は閲覧許可が可能な物に認定される予定だ。折角沢山書いたが閲覧禁止が出てしまい残念だろうが、此も国防に関わる事と思い諦めてくれ」

「少将閣下、質問宜しいでしょうか?」
「構わんよ」
「閲覧禁止は、全体でしょうか、それとも統合作戦本部と宇宙艦隊司令本部は可能なのでしょうか?」

「統合作戦本部と宇宙艦隊司令本部は閲覧できる事に成っている」
「それでは作戦案としては利用可能なわけですね」
「そうだ、あの作戦案を見たところ、参謀連中が驚いていたよ」
グリーンヒル少将は、ここで初めて笑顔を見せる。

「お恥ずかしい限りです」
「ロボス候補生、此からも頑張ってくれたまえ、期待して居るよ」
「はっ」

「ロボス閣下、小官はそろそろ戻ります」
「うむ、御苦労」


グリーンヒル少将が去った後に残される親娘。
「リーファすまんな、儂は後方勤務本部に行って貰いたかったが」
「父さん、まあ仕方ないですよ、あんな論文書けば外へは出しておけないでしょうからね」
「仕方が無いか」

「まあ、ヤン先輩には苦労してきて貰いますよ」
「そうだな、ヤン中尉なら心配なかろう」
「怠け癖は有るんですけどね、元々学者志望だったから」

「ほう、しかし何で軍に?」
「両親が亡くなって、お金が無くて士官学校へきたそうですよ」
「なるほどな、それが人生の分かれ道になったわけだな」

「そんな所ですね、父さんが艦隊司令に復帰して、空いていたら参謀としてスカウトした方が良いですよ、怠け者だけど意外に責任感は強いから確りやってくれますよ」
「ふむ、人間個性が有った方が良いからな、ユースフ・トパロウルもリン・パオもアッシュビーも何かしらの個性が合ったからね」

「そうそう、ヤン先輩は化けますよ」
「リーファの人物眼かね?」
「ええ」

「注意しておこう」
「それが良いですよ」
「リーファの言う通り、ドーソンはどうしようもない人物だったからな」

「それで、4月1日付けで第2艦隊後方主任参謀に栄転《させん》させたわけなんだ」
「そう言う事だな、彼処の分艦隊司令のパエッタ准将が、お仲間だから話が合うだろう」
「弱そうな艦隊になりますね。兵が可哀想な気がしますよ」

「取りあえず、候補生の士気にも関わる輩は早めに出さないとと思ってな」
「仕方が無いですね。代わりに来た方が、若干26歳のチュン少佐ですけど、
僅か2週間で候補生の支持がうなぎ登りですからね、良い人材が来てくれたと思いますよ」

「そうだな、チュン少佐は非常に優秀だ、まあ食事マナーは最悪だけどな」
「まあ、それも個性ですからね」
「ハハハ違いない」

「そうそう、アッテンボロー君の家へ挨拶は卒業後になりそうだが、
先方の御家族にその旨を伝えておいておくれ」
「判ったわ、父さん」
「母さんも楽しみにしているからな」

「では帰ります」
「リーファ、御苦労様」
「父さんもお疲れ様です」


■自由惑星同盟首都星ハイネセン テルヌーゼン市 同盟軍士官学校寮 リーファ・ロボス

しまったなー、彼処まで評価されるとは思わなかったよ。
まさかグリーンヒル少将がやってくるとは思わなかった。
しかも閲覧禁止とは、そのまんま使う気か?失敗集を山ほど書いてあるから馬鹿参謀が喚いても先例があると却下される様になれば良いね。

ともかく無駄な戦力の枯渇を行わなければ、ある程度ラインハルトの攻勢を堪えれば、若死にするからそこで反撃すれば、新銀河帝国を内部崩壊させることも可能なはずだ。ラインハルトがチートだから、殺せないけどオーベルシュタインの謀略を逆手にとって嵌めれば何とか出来るかもしれないからな。

まあ、エル・ファシルはラップ先輩に加えてヤン先輩を向かわせるから、何とか成るでしょう。けどその場合エル・ファシルの英雄が2人と言う事になるわけだな。フレデリカがどちらに惚れるかが見物だね。

リンチ少将も可哀想だからて訳じゃなく、変な恨みを残さないように、自ら囮と成って民間人を救った英雄としてヤン先輩達と同列に並べてあげれば、ラインハルトの手先にならないんじゃないかな。まあその時が来ないと判らないけどね。しゃあないや、ヤン先輩に渡す資料の作成を始めようっと。


宇宙暦788年4月15日

■自由惑星同盟軍 宇宙艦隊総司令部  ヤン・ウェンリー

 今朝出勤したら、主席参謀ドワイト・グリーンヒル少将に呼び出しを受けた。
「ヤン中尉です」
「入りたまえ」
「はっ」

部屋にはグリーンヒル少将が書類を持ちながら待っていた。
「ヤン中尉、貴官に出張を命ずる」
「出張で有りますか?」

「明日、士官学校へ行き、ロボス校長から子細を聞いて欲しい、
出張期間は2ヶ月ほどだが伸びることもあり得るので、それ相応の準備を行うように」
「了解しました、失礼致します」

しかし、ロボス校長が俺に何の用だ?
まさかと思うが、リーファの差し金か?
まあ明日になれば判るか。

 
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