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目からビーム

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第一章

               目からビーム
 赤目という種族がいる、この種族は普段は目を閉じているかサングラスをかけている。
 この種族についてだ、若いホビットであるシグマルド=ホライゾンは村の長老に対して興味深そうに尋ねた。
「何で赤目の人達はね」
「いつも目を閉じているか、か」
「サングラスをかけているのかな」
「あれは危ないからじゃよ」
 長老はパイプを吹かせつつ自分の家に来て聞いてきたシグマルドに答えた。
「だからじゃ」
「危ないから?」
「そうじゃ」
 それでというのだ。
「だからああしてな」
「目を閉じているか」
「サングラスをかけておるのじゃ」
「そうなんだね」
「いや、サングラスはな」
 長老は自分の服のポケットから自分のサングラスを出してシグマルドに話した。
「よいものじゃ」
「恰好いいよね」
 シグマルドも自分のサングラスを出して長老に応えた。
「これは」
「そうじゃな」
「ただこれはお日様の光が眩しくない為か」
「お洒落じゃな」
「僕はそれで持ってるけれど」
 人間族にすると子供そのものの顔で言う、小柄で巻き毛の髪はホビット族独特のもので長老も髪の毛は白くなっているが外見はそうした感じだ。服も子供用のものに見える。
「あの人達は違うんだね」
「そうじゃ、危ないからじゃ」
「どう危ないのかな」
「それは本人さん達に聞いてくれ」
 赤目達にというのだ。
「そうしてくれ」
「うん、じゃあね」
 シグマルドも頷いた、そしてだった。
 彼が住んでいる村に赤目達はいないので近くの街に仕事がない時に馬車に乗って行ってみた。そうしてだった。
 市場にいた赤目、エルフに似た外見でサングラスをしていた果物を売っていたエラリー=アヤナという中年の女に聞くと。
 エラリーはシグマルドにこう言った。
「これはね」
「目のことはだね」
「仕方ないんだよ」
「赤目の人達はだね」
「若しもだよ」
 こう言うのだった、シグマルドに。
「私達がそのまま目を開いたらね」
「サングラスとかなしで」
「大変なことになるからね」
「目からだよね」
 シグマルドはエラリーから買った洋梨を立ったまま齧りつつエラリーに言った、見れはエラリーは外見はエルフに似ているが肌は黄色く髪の毛は黒だ。
「光が出て」
「それが危ないからね」
「だからなんだよね」
「いつもこうして目を閉じているか」
「サングラスをしているんだね」
「そうだよ」
 まさにとだ、エラリーも答えた。
「そうしてるよ」
「そうなんだよね」
「あんた知ってるじゃない」
 エラリーは自分に的確に応えるシグマルドにこう返した。
「私達のこと」
「話としては知ってるけれど」
「見たことはないのかい?」
「おいらの村には赤目の人達はいないからね」
 それで知らないというのだ。 
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