| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ドリトル先生と和歌山の海と山

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十幕その十一

「そうしようね」
「いいね、じゃあね」
「まずはお茶を飲もう」
「そうしてね」
「悲しい思いを忘れようね」
「そうしようね、悲しい思いばかりだとね」
 それこそというのです。
「心が塞ぎ込んでしまうしね」
「シェークスピアも悲劇ばかり観てるとね」
「悲しい気持ちになるし」
「ハムレットとかロミオとジュリエットとか」
「そうした作品ばかりだと」
「だからね」
 それでというのです。
「悲しい気持ちは切り替えて」
「お茶を飲んで」
「そうしてまた他の場所を巡って」
「学んでいってね」
「そうしていこうね」
「高野山は本当に色々な場所があるから」
 それ故にというのです。
「そうしていこうね」
「うん、じゃあね」
「さらに観ていこうね」
「そして気分転換にね」
「今はお茶を飲もうね」
 動物の皆も応えてです、そのうえで実際に皆でお茶を頂いて楽しく飲んででした。その後で再びです。
 皆で金剛峯寺の中を見て回ります、すると最初に王子が気付きました。
「あれっ、屋根の上にね」
「桶があるね」
「うん、あれは何かな」
「防火の桶だよ」
 先生は王子にすぐに答えました。
「何かあったその時の為のね」
「水を入れてだね」
「火を消す為のね」
 まさにその為のというのです。
「桶だよ」
「そうだったんだ」
「そう、ただね」
「ただ?」
「あの桶があるのは今はここだけなんだ」
 先生はこうもお話しました。
「この高野山でね」
「あっ、そうなんだ」
「今はもうね」
「ああ、消火器とかあるしね」
「それにね」
「消防署もあるし」
「流石に大きな火事だとわからないけれど」
 それでもというのです。
「そうしたことも整ってるからね」
「だからだね」
「もう桶よりもね」
「消火器や最悪消防署の人達がだね」
「高野山の中にも消火担当の人達もおられるだろうし」
「あっ、そういえば」
 王子は先生の今のお話で思い出したことがありました、その思い出したことは何かといいますと。
「天理教の神殿もね」
「奈良のだね」
「すぐそこにね」
 神殿のです。
「消防隊が控えてるよ」
「天理教の人達のね」
「もうすぐに動ける様になってるね」
「そうしたものも必要だからね」
 宗教施設にもです。
「だからね」
「そうした用意をしておいて」
「いつも万が一に備えているんだ」
「成程ね」
「そうしたものが整っているからね、今は」
 あらためてお話をした先生でした。
「だからだよ」
「もう桶はだね」
「ここだけにしかなくなっているんだ」
「成程ね」
 王子も頷きました、そうしてです。
 皆は金剛峯寺のお庭にも向かいました、そうしていると十時になって遂に先生のお楽しみの時間となりました。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧