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ドリトル先生と和歌山の海と山

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第六幕その九

「きっと秀頼さんを助けて落ち延びてね」
「そうしてだね」
「生きていたよ、この説は流説と言ったけれど」
「根拠あるんだ」
「鹿児島の方にあるんだ」
 そちらにというのです。
「あそこにね」
「そうなんだ」
「生きているって話がね、秀頼さんもね」
「幸村さんが秀頼さんを助けて落ち延びたんだ」
「それで薩摩藩に匿われてるって話があってお墓も残ってるよ」
「お墓も?」
「秀頼さんのお墓もね」
 この人のものもというのです。
「そう言われてるよ」
「そうだったんだ」
「秀頼さんじゃないかっていう浪人のお話もあるし」
「じゃあ本当に鹿児島まで逃れたのかな」
「何しろ幸村さんの首もね」
「さっきお話した通りに」
「そう、首も三つあったし」
 幸村さんのものとされている首のお話をまたしました。
「本当はどうなのか」
「諸説あるんだ」
「そうなんだ、これが」
「ううん、そうしたお話って世界中にあるけれど」
「日本にもあってね」
「源義経さんにもあったね」
「うん、西郷隆盛さんにもあるし」
 明治の元勲のお一人で西南戦争で死んだこの人にもというのです。
「そして幸村さんにもね」
「あるんだね」
「そうだよ、そして僕はね」
「死んでいるとはだね」
「思いたくないよ」
 こう言うのでした。
「絶対に大坂の陣で生き延びてね」
「十勇士の人達と一緒に」
「秀頼さんを助けて鹿児島まで逃れたんだよ」
「そうであって欲しいんだね」
「うん、一度鹿児島に行く機会があれば」
「そのこともだね」
「是非調べたいね」
 本当に幸村さんが鹿児島に逃れたのかどうかということをです。
 そしてです、こうも言った先生でした。
「幸村さんの恰好よさはまた特別だからね」
「戦国時代では織田信長さんも恰好いいですね」
 トミーはこの人のお名前も出しました。
「あの人も」
「そうだね、型破りな改革者でね」
「我が道を行き天下布武を目指した」
「日本の歴史で最も有名な人の一人だけれど」
「あの人も恰好いいですね」
「うん、やっぱりヒーローだね」
「何か西洋の甲冑とマントを羽織っていて」
 日本人ですがそれでもです。
「颯爽と軍勢を率いて戦う」
「そんなイメージだね、信長さんは」
「戦争に勝って天下統一を目指す」
「幸村さんとは違う格好良さがある人だよ」
「そうですね、幸村さんは武将の恰好良さで」
「信長さんは天下人の恰好良さになるかな」
「そうですよね、そこが違いますね」
 トミーもこう言います。
「幸村さんと信長さんは」
「同じ戦国時代のヒーローでも」
「本当に全く違います」
「勝っていって歴史に名を遺した人と」
「負けても歴史に名前を残した人で」
「また違うんだよね」
「はい、ただ負けた人でも格好良くて慈しむのは」
 ここでトミーはこうしたことも言いました。 
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