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おぢばにおかえり

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82部分:第十二話 制服その八


第十二話 制服その八

「夫婦揃ってじゃない。しかもここまで話しておいてちっちだけ何もなしってのは駄目よ」
「駄目っていうか」
 私は困った顔で答えます。
「私は。彼氏はそのまま」
「そのまま?」
「ずっと一緒にいたいのよ」
「それって結婚ってこと?」
 彼女は私に尋ねてきました。
「そんなの考えてるの?もう」
「十六から結婚できるじゃない」
 私はそう彼女に言いました。
「それだったら。やっぱり」
「それってかなり飛躍よ」
 彼女は私に対して呆れた顔と声で言ってきました。
「何で彼氏がそのまま結婚なのよ」
「駄目かしら」
「駄目っていうかね」
 また呆れた声になっていました。
「今時の考えじゃないわよ」
「それでもよ」
 何か夢見る年頃なんでしょうか、私って。
「私は。やっぱり」
「凄いわね。そうした考えって」
 今度も呆れられました。
「けれどちっちらしいかしら」
「私らしいの」
「ええ。そうしたところってね」
 今度は笑ってきました。何か随分と表情が変わります。
「らしくて。いいっていえばいいかも」
「はあ」
 彼女の言葉に応えます。
「そうなの」
「そうなのっていってもね」
 そうしてまた言われました。
「実際そうなんだし」
「ううん、そうかしら」
「自覚はないのね」
「悪いけれどね」
 本当にないです。自分では本当にわからないものみたいです。
「あまり。っていうか」
「けれど実際そうした娘って今時あまりいないわよ」
 これはよく言われる気がします。
「お堅いんだから」
「別におみちってそういうのは五月蝿くないけれどね」
 一応色情のいんねんって言葉があって戒められています。けれど正しい恋愛や結婚、夫婦生活は非常にいいことだとされています。
「昔からそう思っていたのよ」
「彼氏とそのままゴールインかあ」
 彼女は少し上を見上げて言いました。
「実際にそれって理想なんだけれどね」
「そうでしょ?やっぱり」
「けれど。滅多にないわよ」
 実際にそれはそうですけれど。
「高校時代の相手なんて結局別れるものだっていうし」
「あっ、それ違うから
 これは否定することができました。私にとって有り難いことに。
「うちの大教会にね」
「奥華よね」
「そうよ。二組もおられるんだから」
 高校時代から一緒でそのまま結婚されたっていう方々が。ちゃんとおられるんです、しかも凄いことにそれが二組もあったりします。
「だから実際にあるわよ」
「ちっちもそれを目指すの?」
「目指すかどうかはわからないけれど」
 そこまでははっきりしません、まだ。
「けれど。相手はやっぱり」
「そのままずっと一人がいいのね」
「それに私を好きでいてくれる人だったらいいのよ」
 容姿は確かに役者さんには求めますけれど。友井雄亮さんみたいに精悍な顔立ちの方もオダギリジョーさんみたいな方も好きですし。
「それだけで」
「ああ、それは駄目ね」
 けれど今の言葉は笑って否定されました。
「どうしてよ」
「男は浮気するもの」
 すぐにこう言われました。
「それも絶対にね」
「絶対にって」
 今の言葉は。確かに否定できないものがありました。
「浮気は大抵男がするでしょ?」
「まあそうらしいわね」
 お母さんの言葉だとそうです。言葉を漏らしていたのを覚えています。
「噂では」
「現実よ。ちょっと目を離すと危ないらしいわよ」
「ちょっとって」
「浮気しなくても動かないとかお酒ばかり飲むとかギャンブルするとか」
「何か大きな子供みたい」
「そう、子供なのよ」
 言いたいことはそこみたいです。
「相手は大きな子供なのよ。覚えておくのね」
「じゃああれなの?」
 私はそれを聞いてまた彼女に尋ねました。
 
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